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おすすめの美術図書 クリエイティブ×リユース

私が今note内で唯一入会しているメンバーシップ「オトナの美術研究会」の恒例企画に、今月も参加してみようと思います♪
「毎月ひとつ美術に関するお題を決めてnoteを書いてみよう!」
6月のお題は、「おすすめの美術図書」

これ、すごく悩みました、、、なぜなら、、、
たくさんあるから!!!

わたしが紹介するのは、一番影響を受け、読んだ後の行動が変わった本。

『クリエイティブリユース〜廃材と循環するモノ・コト・ヒト』著:大月ヒロ子


私は美術講師として、幼児や小学生を対象に絵を描いたり、工作の授業をしている。また高校では美術の先生をしている。
どちらも約100人程の生徒がいるので合わせると200人程になる。決して少ない人数ではない。楽しく制作をする分には良いのだが、ひとつ問題がある。

ゴミの量が大量なのだ。

世の中ではやれSDGsだと言いながら、私は自分の仕事では毎回大量のゴミを出していることに心を痛めていた。大いなる矛盾。なんなら子どもたちも言っている。「これ全部捨てるの?」と。
制作にはゴミがつきもの。それで終わりにして良いのか?

例えば、年度始めに注文する一人一つの絵の具セット。これが100人分、ひとつづつ段ボールに梱包されていると、いっきに約100個の段ボールのゴミが出来る。
その絵の具セットの中の筆、ペーパーパレット、筆洗器、など、それぞれの画材がひとつづつビニール袋に梱包されている。ひとつの絵の具セットからビニール袋のゴミが4つ出るとしたら、100人分で400個のゴミになる。
そうやって、1回の授業で出るゴミがいちいち大量なのだ。

しかし、気にしないとただの『ゴミ』なのだが、同じ種類の素材が大量にあると、だんだんそれが『材料』に見えてくるのである。
モノによってはお店で買えないような、『特別な材料』になるのだ。
毛糸を材料に工作をし終わったあと、半端に余ったカラフルな毛糸の山をみると、もうひとつ別の作品さえできそうな気がする。
段ボールが100個あれば、何か立体作品の土台の素材になるかも。

ゴミには、破棄してしまうには惜しい美しさやおもしろさを秘めたものがある。(中略)しかし、ゴミの種類によっては、そこに至る手前で再度新しい命を吹き込み、生かす方法がある。何のために?どのように活用する?誰が携わる?再び流通させるには?そこには「クリエイティブリユース」という考え方が存在する。

クリエイティブリユース 大月ヒロ子

材料の画用紙はきれいな四角じゃなくてもいい

この本に出会ってから、子どもたちが自由に切った後の色画用紙を捨てずにとっておくようになった。自分じゃない誰かが切った後の、不思議な形が他の何かに見えて、それが表現のタネに繋がる瞬間が何度もあった。画用紙の廃材コーナーはとても人気のコーナーです。

短くなったクレヨンから生まれる線

もう描けないくらい短くなったクレヨンを集めている。12色セットのクレヨンなんで、1000円もしない値段で売っている。が、短くなったクレヨンを集めて置いておくと、普通には描けないので、こどもたちは工夫をする。例えば手をパーにして、画用紙に擦り付けるように描いたり。するといつもと違う線が描ける。

不要になった古雑誌も作品に利用できる!


要らなくなった雑誌を大量にいただいて、コラージュをして制作をしたこともあった。ファッション雑誌からはモードな女性たち、旅行雑誌からは絶景、グルメ雑誌からは美味しそうなパスタ。それぞれ印刷物との出会いを楽しみながら、コラージュ作品の出来上がり。これも購入出来ない材料だ。不要になったものがうまく循環され、子どもたちの表現として二次利用された。

市場に出ない不思議な廃材には創作意欲を大いにかきたてられる。それに、廃材は少量で種類が混在していると魅力が見えづらいが、色や種類別に分類すると、急に輝きだし、美しく見えてくる。また、欠けがあったり半端なモノは想像力を刺激する。子どもがかじりかけの食パンを何かに見立てて遊ぶのは、そこに想像をふくらませるフックが潜んでいるからなのだ。

クリエイティブリユース 大月ヒロ子

このように、『そういう視点』を持ってみていると、世の中には宝物のような『材料』で溢れている。

この本には、「制作すること」と「ゴミ」との可能性が書かれている。
廃材・廃棄物に新しい価値を発見すること。既に身の回りにあるモノに工夫を加えて活用すること。自らの手でモノをつくる喜びや楽しさ。「クリエイティブリユース」は、見捨てられているモノを観察し、想像力と創造力によって再び循環させることです。



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