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短編小説

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fastKiss

fastKiss

昭和50年
残っていた木造校舎も
建て替えられ
仮設のプレハブ校舎が
無くなる頃
蝉の声が 小さくなり
もう夏休みも思い出に変わり
瀬戸内海が見える丘
授業が終わるチャイム
賑やかな教室

中学生活1年目
他の小学校からの新しい友達
ふざけてブチまけた消化器
担任に怒られ バカやっていた
小さな町の中学校
仲が良い数人の同級生
小学校からの顔見知り
嫌いな授業

あの日
6時間目が終わり
担任か

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ファインダー

ファインダー

カメラを始めたキッカケなど もう覚えていない

たぶん父がカメラを持っていたからだろう

カメラで撮影するのは風景が多かったかな

ある日 街中で 人物を撮影している人を見て

雑誌などのタレントや歌手の人じゃなくて

撮影会などモデルって職業が在ると知ったんだ

SNSなどで見掛けるモデルの女性 本当に綺麗だ

その中でも僕の目に一瞬 何かを感じた女性が

僕は その女性が気になって 毎回撮影会

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雨の日  あの日の想い出

雨の日 あの日の想い出

雨が降るたびに 嫌でも思い出す
何度 彼女を泣かせたのだろう

二十代から付き合い 同棲して
六年の歳月を一緒にすごした

出会いは雨の日だった
仕事で 遅くなり 電車で帰宅する中

滴る傘を手に 立っていた君
僕は席の一番端だったから

傘を持つ手を掴み 軽くひっぱり
席を譲った そんなたわいない始まり

軽く お礼を言われたが 余り気にしては
それから数週間が経ち また電車で

帰宅ラッシュを

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クリスマスイブ

クリスマスイブ

彼女と 知り合ったのは 高校二年の頃
文化祭で 他校から来ていて
たまたま 廊下で 催しのクラスを聞かれ
そこから 文化祭が終わる頃には
一緒に駅のホームで 沢山 話しを していた

すぐ 付き合って 毎週 土日は 二人で
出掛け 色々と お互い 行った事が無い街
場所 店を 楽しんで クリスマスを 迎え
小さなプレゼントに 喜んでくれた

大学に進学しても 同じ大学を無事に
二人で合格して 周

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Trick or Treat

Trick or Treat

また この季節が
秋の長雨も終わりを告げる頃
子供達が仮装をして賑わう
ウチでは毎年 妻が沢山のお菓子を
用意して 仮装して来た子供達に配る

ただ、あの年だけは出来なかった
二十年 連れ添った妻が
病院で息を引き取った年
あれから二年 私がお菓子を用意する
妻は子供が大好きだった

ウチは子供には恵まれず
一度 妻は流産をしていた
性別も判明していて 女の子だった
名前も妻と考えて季節に因んで

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ノスタルジックに惹かれて

ノスタルジックに惹かれて

騒がしい蝉が鳴く季節が終わりを告げる頃
二十年前に家庭を捨てた父親が
この世を去った

父方の親戚からの連絡を受けて 遺品整理に
都会から離れた田畑の多い町へと

昭和何年の建物だろうか古ぼけた家屋に
小汚い錆びたシャッターのガレージ

周りは農道が多く ひぐらし が鳴いていた
近くには新しいバイパス道路が延びて

遺品整理と言っても差程 持ち帰る気も無かった
ただ、僕の戸籍は父親に入ったままだか

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真夏の恋模様はパステルカラー

真夏の恋模様はパステルカラー

昼間の猛暑で、夕方には 雨が降り出し
オフィスの窓から ブラインドを少し開けて
外を見ていた

書類も纏め 残業なんて毎日の事で
オフィスを出るのは 何時も僕が最後
電気を消し ロックをしたら
エレベーターで

さて、降り出した雨は まだ止んでいない
ため息ひとつ吐き出し
誰かの忘れた傘を借りて駅まで
長い歩道橋を歩いていたら
雨の中 傘も無く 下を走る車を眺める
少女と出会った

真っ黒な闇に溶

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オンライン

オンライン

昔は、ゲームセンターかファミコン
次第にPCからPs(プレイステーション)等
そしてスマホ
ゲームと言う物も徐々に変わり
1人で遊ぶ事から オンラインへと

普段の生活で色々な人と交流が在る中
わざわざ、ゲームの中まで人に気を遣い
見知らぬ人と 言葉や文字で交流する
そんなに時代に

基本的に昔からゲームと言う物には
差程興味が湧かない 何故ならば
アウトドア系で 部屋に居る事より
外で

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bilingual

bilingual

6部作 第5話

6年 長かった
別れた時は 初めて心が折れる音が聞こえた
何も食べれず 睡眠も取れず
かと言って 折角ヘッドハンティングで
僕を指名で 固定給プラスアルファで
雇って頂いた会社には迷惑を掛けられず
ほぼ1週間近く 働き 眠れず 食べれず
かろうじて生きていた あの時

救われたのは車だった
あの車に出会わなければ 本当にあの世行き
散々落ち込んだ僕を友達が 気分転換にと

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Borderline

Borderline

6部作 第4話

まだ10代の本当にガキだった
失うモノも無く 理不尽な奴には牙を剥き
イキがった嫌なガキだった
ポルシェだ メルセデスだ と乗り
皆が道を開けた 時代

奈良でボディーガードとしての鍛錬する日々
観光地ほど 反社会勢力の方々が多い
京都など日本1 多かった そんな時代に
店で騒ぐ 反社など 叩き出すのが
楽しみの1つなクソガキ

あの連中は 仕返しに来る
素性を調べ 張り込み

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気まぐれな仔猫

気まぐれな仔猫

6部作 第3話

彼女と喧嘩した
毎回 早口の英語で捲し立てる
つい勢いで 出て行くよ!と
言ってしまった ……
彼女の性格を良く理解していたのに
言ってしまった ……

彼女からの一言は
男に、二言はないよね!だった
…………
そう 彼女は本当に自然体の人
取り返しがつかない言葉
1年の同棲生活が終わった

その日から駐車場に停めてある
SUVの中に荷物を詰め込み
車の中で寝た ………
翌日も

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偶然の出会いと必然の別れ

偶然の出会いと必然の別れ

6部作 第2話

毎日 暑い中で 作業着を着て
頭にはタオルをハチマキにして
休憩時間には わざわざコンビニまで
車で下り

あれはまだ24の夏だった
多摩ニュータウン都市開発の頃 次から次へ建物が出来 永山から始まり、堀ノ内、南大沢、多摩センターと その中で建築業をやっていた時代

下っ端の(免許持ちでは)使いっ走り コンビニまで
皆の飲み物を買いに行く
現場内の自販機は 飽きていたから

カゴ

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おもひで

おもひで

6部作の第1話

人として存在している以上は
誰しもが 沢山の 思い出を抱えているだろう

楽しかった事
悲しかった事
嬉しかった事
辛かった事

思い出って奴は その時に併せて
蘇って来て

手を繋いだ中学生を見ると
あぁ、あの年頃は 誰が好きだったなぁ〜
アイツとは良く遊んだな
色々な思い出が 蘇るよね

アニメやドラマ 漫画でも
二人が別れるシーンでも
あの子には本当に悪い事したな
泣かせ

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あの日 あの場所

あの日 あの場所

雨降る 仕事帰り 銀座の中央通りは
濡れた路面が 煌びやかに ネオンが反射して
何処か 近未来を 思わせる

四丁目の交差点を曲がり 日比谷から半蔵門へ
そこから新宿へと 何時もの慣れた道だ

トンネルを抜けると ネオンが反射する
街中へ 飛び込む 眠らない街 新宿

雨の夜は、少しメローな「恋におちたら」でも 聴きながら🎶

あぁ、煙草を切らしてたんだ 左のコンビニで 買うか! 甲州街

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