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エッセイ 水深二尋【ねこの悪だくみ2024年5月】

 毎月、月初めに計画などを書いています。
 達成できたりできなかったりします。悪しからず。

 6月に文学フリマ岩手に参加します。有給もちゃんと取得済みです。
 今年は何を見て、何を食べようかな……とか、観光計画を立てる前に、本を作ろうと思います。「面白すぎないおとぎ話」のその2です。

 去年作った本にはいくつかの反省点があります。いちばんの反省点は余白が異常に少ないことだと思う。本を印刷するのが初めてなのに、自分でレイアウトをしたせいですが、やっぱり今年も自分でやろうと思っているわけで、なんでかというと本文を装飾したい野望があるんです。そういう本が好きなんですよ。

 noteを数年続けてきたお陰(?)で、見知った方が賞を獲ったり、商業出版をなさったりするのをお見かけするようになってきました。おめでとうございます。(全然関係ないのに)鼻が高いです。そうやって、続けていくと「じゃない自分」にどうしても目がいくようになります。チャレンジの向こう側に必ず待っているもの。「チャレンジしたところで、結果の出せない自分」。数を試した後に残る「運の良し悪しではないところで落ちた自分」。そういう、情けない自分をずるずる引きずりながら過ごす毎日です。

 あとは自分の中のことなのでちょっと書くのが難しいけれど、私が色々作るのは、自分は小説家になれることはないだろうな、という思いが大きいからだろうと思います。「いつかこういうものを作ろう」の「いつか」が待ってても来ないと踏んでいるので、今作っているのかもしれない。

 逆の立場(起業するひとを応援したりするとき)だと、「「成功する」と自分を信じられる人が成功するんですよ!」としたり顔で言ったりするので、私はすごくずるいやつです。

 ただ、たいていの仕事と同じように、どうかな、大体10か20やって上手くいくのが1くらい。私が仕事ができないせいもあるかもしれませんが、何かが「成功する」って多分そのくらいだと思う。もっと少ないかもしれない。(そうでもないです?)そうやって毎日飽きもせずにやっていたら、「成功」とか「成功じゃない」とかでなく、人並みくらいには書けるようになるかもしれなくて、何しろ、書いていること自体が好きなものだから、ここにこうして、昨日も今日も、いつの間にかたくさんの人がいなくなっても、いまだにいたりします。おかしいね。
 今月の予定の話を続けましょうか。


 朗読企画の「SAND BOX 1099」は今月も継続いたします。朗読もイラストをすでにお願いしてあるのです。楽しみにお待ちくださいね。(私もいただくのが楽しみです)。


 星々の活動のお話もほんの少し。
 現在、ほしおさなえ先生の『言葉の舟 心に響く140字小説の作り方』の刊行を記念して、140字小説コンテストが開催されています。星々の運営スタッフの選ぶ「星々」賞もあります。

詳しい応募方法はこちらをどうぞ。


 「言葉の舟」について考えるとき、自分が今編める舟って、どのくらいの大きさなんだろうなあ、ということを思います。
 自分の把握している範囲では「時間さえあれば書ききれる」と思えるのがだいたい1万字くらい。「いつまでに書ける」とちゃんと思えるのが4千字。「今日中に書けます!」が2千字くらいです。で、どうかなあ。「沈まない舟」になんとかできるかな、というのは2千字くらいまでなんじゃないだろうか。スーパーめちゃくちゃいい舟、じゃなくて、なんとか人を乗せられる、くらいの舟。いつか大きな船が編めたらいいけれど、今の私に編めるのはきっとそのくらいです。

 素材というか、文章的にも私の船が豪華客船じゃないことは確実で、丸太で組んだ筏のような、とりあえず沈まなきゃいいんだ、みたいな舟をいつもいつも書いている気がします。ハックルベリーフィンがジムと河を下るようなやつです。

 こういう舟のいいところは、浮かべるのに水深がそれほどいらないところでしょう。わーっと組んで、ひとまず浮かべて、流れにのったら、後は野となれ山となれ。どうにかイベントまでに盛岡に流れ着いて、そしてできれば誰かのところに届くといいです。本ができたら記事にしますね。
 今月が、いい月でありますように。

エッセイ No.116