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140字小説集 8月のまねきねこ座(『八月の星々』応募記録)

 twitter上で開催されている、140字小説コンテスト「八月の星々」への応募記録です。
 ※全応募作はnoteでも公開されています。ぜひご覧ください。

毎回漢字1字のお題が指定されます。8月のお題は「遊」でした。

No.1

 まずはストレートプレイ。「遊ぶ」。特別な単語を使わないでいい話が書けたらな、という野望があります。生意気なのです。
 職場などで年上の方と話していると「この年になって始めた○○が面白い」みたいなことを聞く機会があります。話してくださる様子が、本当に楽しそう。
 以前、『都会の自生植物を観察しよう!』というツアーにでかけたことがあり、ガイドをしてくださった里山の研究者の方が、野道の草花をとても嬉しそうに観察していたのを思い出しながら書いた話です。遊んでるんだって。
※予選通過のご評価をいただきました。ありがとうございます。純粋に嬉しいです。


No.2

「屋上遊園地」。名古屋には日本最古級の屋上観覧車があります。びっくりするほど小さいです。観覧車のある百貨店の向かい側にはアミューズメント施設があり、ビルに大きな観覧車がついてます。新旧の観覧車が向かいあう、不思議な通りです。
 私自身は小さい頃、百貨店に行くなんて裕福なおうちではなかったんですが、なんとなく憧れがあって、140字じゃないショートショートも含め、何度もこの観覧車の話を書いてしまいます。
 ちなみに、高所恐怖症です。


No.3

「三遊間」。うーん。振るわず(野球だけに)。描写だけのは毎月1本あげたいなあ、と思っています。うまくなりたいのです。これはちょっと自分の中での新しさがない気がする。
『三遊間を抜けた』のときの爽快感を目指したもの。もう一声(自分との戦い)。

No.4

 「回遊」。『遊』の字、「遊説」とか「遊学」とか、遠くを旅するような意味に使うことがあるんですよね。「遊星」と最後まで迷ってこっち。
 『オホーツク海〜アラスカ湾』までの、地名だけの字数消費に震えた覚えがあります。いいのか、こんなに字数使って、本当にいいんだな! という。
 鮭の回遊の帰結は、新しい命の誕生と同時に、自身の死です。生よりも死の方に焦点をあてて、語り手の行動自体を疑問と重ねました。人間こそ合理的じゃない生き物なので。5作中一番トリッキーな話。
※二席にご選出いただいております。どうもありがとうございます。

No.5

「遊園地(じゃない)」。近所に地元の子供たちが『遊園地』と読んでいる公園があります。全力で言いますが、遊園地ではないです。電力で動いているものは何一つありません。
 けれど、入り口に板書で『◯◯遊園地』って、書いてあるんです。ここで育つ子は、きっと一生(外で他の『遊園地』を見た後でも)ここを『遊園地』と呼ぶのだと思います。
 なんだかそういうの、愛しくて好きなんです。

 最近は、ショートショートでも、「話が動いているか」に焦点をあてて物語を作るようにしています。はじめとおわりで、違うところにたどり着けているか。
 どうだろう。ちょっとうまくなったかな。

 意識しなくてもできるようになって、また、新しい課題が見えてくるといいなあと思った8月でした。

 入賞作品はHPで講評をいただいています。
 他の方の作品と並んで講評をいただき、作品をあらためて読んで、この方達がひしめく中で、またここまで来られるだろうかと、指が震えたりしています。

 参加させていただき、どうもありがとうございました。

140字小説集 No.001