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【Partner Business × Sales Enablement】パートナービジネス/パートナーセールス/代理店販売の最大のメリットは最大のイシュー

パートナーサクセスの村田です
前回、パートナーサクセスへのエントリーとして、パートナービジネスとSales Enablementの掛け算の可能性を理由として挙げました。

今回からは、Partner Sales Enablement、つまりパートナービジネス/パートナーセールス/代理店販売における、Sales Enablementの実践方法に関して述べていきたいと思います
※[ パートナービジネス/パートナーセールス/代理店販売 ]と3種類の表現方法を使っているのは、業界的にコレという唯一の呼び方がないため、何のことか理解して頂けるよう記載しています

まずは、パートナービジネスのメリットを改めて再認識することからスタートしたいと思います


パートナービジネス/パートナーセールス/代理店販売の最大のメリットとは何か

パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)の最大のメリットとは何でしょうか?

それはシンプルに社外(パートナー企業)の営業アセットを活用できることです

toCビジネスに多い消費財のようなECで提供できる価格帯の商品であれば、マーケティングによるアプローチが重要戦略になりますが、
BtoB商材、かつ、ソリューション型でのハイタッチセールスが必要な商材に関しては、パートナーセールスが非常に有効な手段です

直販部隊ではリーチできない商圏へのアプローチなどを目的として、パートナーセールスを展開することが多いですが、一方で、「販路を増やす」という解像度では、パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)のメリットを理解できているとは言えません

以下は、直販と代理店においての違いはありませんが、
まず、営業マンという人を介在したハイタッチセールスを前提とした場合、実績を構成する方程式は、「販売 × 単価 × セールス一人当たりのケイパビリティ」となります

商材の種類によっても違いはありますが、どのようなトップセールスであっても、一人当たりが生み出せる業績には限界がありますので、セールスでの業績アップをはかる場合は、必ず以下いずれかの戦略的な意思決定に迫られます

  • 一人当たり能力(ケイパビリティ)を向上させるための育成施策の実施

  • セールス人数を増加させるための採用活動の強化

セールスを通じた業績向上では、営業のヘッドカウントは、ほぼ必ずと言って良いほどキードライバーとなります。
つまり、パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)の最大のメリットとは、「パートナーの営業マンという人的アセットを最大限に活用できること」です

自国ではなく、隣国の傭兵部隊を大量に抱えて戦えるようなものですので、有利な作戦が展開できます

メリットが最大のイシューである理由

前述の通り、パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)の最大のメリットは、「パートナーの営業マンという人的アセットを最大限に活用できること」であるにも関わらず、その実態としては、1%のリソースしか活用が出来ていない、という問題が発生しています

パートナービジネス/パートナーセールス/代理店販売の1%リソース問題

なぜ、このようなことが起こっているのか?
その要因は、大きくは以下の3点に集約されます

  • 社外との協力という関係性の難しさ

  • パートナー企業は複数商材を扱うという競合性

  • パートナー企業の営業担当のインセンティブ

社外との協力という関係性の難しさ

自社社員の場合では、2-6-2の法則(いやゆる働きアリの法則)は現れますが、活動面において1%ということはまずあり得ません。
そもそも評価制度という強力なインセンティブが働きますし、ある意味強制的に活動させることは、マネジメント次第で可能になります(強制的な方法が良いかどうかは置いておいて)

一方で、パートナービジネスの場合は、パートナー契約を締結しているとはいえ、あくまで社外の協力者という立場になりますので、強制力を働かせることは非常にハードルが高いです

アカウントプランの実行によって、パートナーと目標を握る、という戦略もありますが、深い関係性や目的なしにパートナーに対して目標を提示しても、彼らからすると、余計なプレッシャーをかけられたくない、という思いの方が強くなるため、まず受け入れてもらえません

パートナーに動いてもらえるように働きかけるのが、パートナービジネスの重要アクションですが、社外の協力関係という立場から、直販とはその難しさが全く異なります

パートナー企業は複数商材を扱うという競合性

出典:株式会社才流 代理店(パートナー)ビジネスの 実態調査  

パートナー企業がパートナービジネスを実施する目的としては、

  • 自社商品とのクロスセルによる付加価値の向上

  • 市場トレンド商材の提供による顧客エンゲージメントの向上

  • 新規ビジネス立ち上げ

  • 利益率の向上

などが挙げられますが、
その実態として、80%以上のパートナー企業が同一カテゴリの複数商材を扱う状況にあります

アンケートからは、平均すると4商材を扱っていることになるため、まずパートナー企業の営業担当者が提案する俎上に乗らなくては、当然成果には繋がりません

パートナー企業の営業担当のインセンティブ

パートナー企業と売上目標を握ることは、理想的なパートナーシップですが、ある意味最高クラスの関係値が築けて初めて実施できることです

パートナー企業側は、各営業マンの個人予算は設定しているものの、商材ごとの目標まで設定しているケースは多くありません

営業マン個人にとっては予算達成がミッションであり、それは同時に評価を獲得することなので、彼らの関心は「売れるモノを売る」ことにあります

例えば、既に顧客基盤も安定しており、継続的に結果が出せる営業担当者であれば、わざわざ売れるかどうか分からない商材の提案にチャレンジするインセンティブがありません

感度の高い担当者であれば、今売れている商材では、いずれ成果が出せなくなることを察して、定期的に新しい商材の売り方を開発するハズですが、自社の商材が、彼らの提案したい商材とイコールであるとも限りません

つまり、パートナービジネスは、コントロールできる範囲に制約があるという困難性を持っています

パートナー営業マンのアクティブ化が最大のレバレッジを生む

1%リソース問題は、パートナービジネスにおける最大の問題でありながら、最大のメリットを発揮する"伸び代"でもあります

パートナー企業の取引社数や、その先にいる営業マンの数は、企業によって違いますが、大抵は自社の営業組織の何倍・何十倍もの人数がいる状態が通常です

ハイタッチセールスの成果方程式を「販売 × 単価 × セールス一人当たりのケイパビリティ」に当てはめたとき

直販部隊の場合、訪問数や提案数を増加させることによって、成果を向上させることは可能ですが(成約率が変わらないものとした場合)、一人あたりが増加させられる活動量には限界がありますし、急激に営業担当者を増やすことは難しいので、現実的には、そのインパクトはおおよそ1.2~1.3倍程度ではないでしょうか?

一方で、パートナービジネスは、提案をしてくれる営業担当者の人数を増やすことができます

仮にこれまでの成果が、本当に全パートナー営業担当者の1%しかアクティブでなかったとした場合、そのアクティブ率を1%向上させるだけで、200%成長のインパクトを出せる可能性が十分にあります

パートナー企業の営業担当のアクティブ率を向上させることで、これほどのレバレッジがかかる、というのがパートナービジネス最大のメリットです

パートナー担当者のアクティブ率は何%ですか?

何社のパートナー企業と取引をすれば良いか?という間違った問い

パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)において、パートナー企業の開拓は、成果を左右するマストアジェンダですが、とはいえ、ただ増やせば良い、という話ではありません

前述の通りで、パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)の最大のメリットは、パートナー営業担当者のアクティブ率の向上による成果レバレッジです

では、そのメリットを最大限に活かすために何をすべきなのか?

当然まず最初に、パートナー営業担当者の人数にフォーカスしなくては、その議論をすることは不可能です

一方でこれまでは、パートナー営業担当にフォーカスを当てられていなかったために、パートナービジネスは、セールスとしての科学がされていませんでした

実際に、「パートナー企業毎の売上は把握しているが、担当者レベルでは分かっていない」というメーカー・ベンダー様のお声をよく聴きます

パートナービジネスも、テクノロジーの力によって、こうした科学が可能になってきました
だからこそパートナービジネスにも、Partner Sales Enablementが必要な時代になっています

Partner Sales Enablementの最初の一歩

Partner Sales Enablementとは、戦略的かつ効果的なセールスサポートの実行により、パートナーの成果を最大化することで、Win-win関係を創出する、
つまり、Partner Successを実現するために必要なアジェンダです

社内の営業組織を対象としたSales Enablementと、Partner Sales Enablementでは、スコープや必要なスキル・実行すべきアクションが異なります

とはいえ、(これはビジネス全般においての共通点ですが)まずはファクトを捉えて課題を特定するという、データドリブンなアプローチが欠かせません

これまでも、パートナービジネスを展開されている方々は、勉強会の実施・商談同席・資料の改善など、業績拡大のために様々な努力をされていらっしゃると思います

一方で、「色々と試行錯誤して実行しているが、結局何が正解なのかよく分からない」という葛藤の中で戦っていらっしゃったのではないでしょうか?

それは、結果ではなくプロセスをファクトで捉えれていないことが原因であり、これを知ることが、Partner Sales Enablementを実行する上での最低限の絶対条件となります

VUCAの時代と言われビジネスのスピードが驚異的な速度で加速しています

パートナービジネスは、日本において長い歴史を持っていますが、良くも悪くも、古い商習慣から抜け出せていない側面があります

パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)も、変革を起こす時代に突入してきました

だからこそ、Partner Sales Enablementの考え方が重要になり、Partner Successを実現させていくことが求められます

まずは、パートナービジネスの業績を拡大させるための新たな手法、Partner Sales Enablementを実践するための最初の一歩として、パートナービジネスのメリットを再認識し、パートナーのファクトを可視化することからスタートしましょう

次回は、Partner Sales Enalementの考え方について投稿したいと思います

この記事が、皆様にとっての一助となれば幸いです

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パートナービジネス(パートナーセールス/代理店販売)とSales Enablementを掛け算したPartner Sales Enablementを構築すべく、週1回のnote投稿にチャレンジしています

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