ゲーテの言葉メモ その11

本稿はこの記事の続編である。Let's dive in!

ゲーテ「人間のもつ最高のもの,もっとも優れたものには,形がない。」

ゲーテ「仕事は真面目さと厳格さを要求するが,生活はわがままを要求する。仕事は純粋な結果を求めるが,生活にはしばしば矛盾が必要不可欠。それどころか,矛盾は愛すべきもの,楽しい気持ちにさせてくれるものである。」

ゲーテ「生活はまず楽しむべきものだ」

ゲーテ「気持ちよい生活を作ろうと思ったら,済んだことをくよくよせぬもこと,滅多なことに腹を立てぬこと,いつも現在を楽しむこと,とりわけ人を憎まぬこと」

ゲーテ「私たちから恩を受けている人たちに出会うと,恩を与えているということが,すぐこちらの頭にうかんでくる。反対に,こちらが恩を受けている人に出会っても,私たちはそれを考えずにいることが,どんなに多いことか!」

ゲーテ「恩知らずはつねに一種の弱点である。有能な人で恩知らずだったというのを,私はまだ見たことがない」

ゲーテ「実務はダンスと似ている。足並をそろえて歩いてゆく人たちは,どうしても互いに相手なしではいられなくなる。そこから必ず,互いになつかしく思う気持ちが生じてくるにきまっているのである。」

ゲーテ「一人で仕事をするのはよくない。なにかをなしとげようと思ったら,他人の協力と刺激が必要だ」

ゲーテ「本当に他人の心を動かそうと思うなら,決して非難したりしてはいけない。間違ったことなど気にかけず,どこまでも良いことを行うようにすればいい。大事なのは,破壊することでなくて,人間が純粋な喜びを覚えるようなものを建設することだからだ」

ゲーテ「はっきりしない事件のときには,いちばんはっきり見える人が働き,力を貸さなければならない。」

ゲーテ「あのフランス革命にしたところで,まったく賄賂によって動かされていたのだよ」

ゲーテ「いくら世間から引きこもって暮らしていようとも,人は知らないうちに,債務者または債権者になってしまう。」

ゲーテ「人間というものは,どんなことを志してもどんなものを得ようとしても,外界,つまり自分を取り巻く世界に頼るものだ」

ゲーテ「重要なことはどこまでも,見知らぬもの,見知らぬ人に心を触れてみることだ」

ゲーテ「反論とお世辞は,ともにひどい会話のもとである。」

ゲーテ「人が実際の価値以上に思い上がること,実際の価値以下に自分を評価すること,ともに,大きな誤りである」

ゲーテ「私たちはいろいろ気兼ねしているうちに,いつしか心も麻痺してしまう」

ゲーテ「もっとも快適な集会とは,各員の相互に対する尊敬がみなぎっている集会である。」

ゲーテ「勲章のついた上着や,六頭立ての馬車は,せいぜい最低の無知な大衆を威嚇するだけだ」

ゲーテ「種をまくのは,刈り入れするときほど骨が折れない。」

ゲーテ「あまり大作は用心した方がいいね!」

ゲーテ「どんなすぐれた人たちでも,大家の才能をもち,この上なしの立派な努力を重ねる人たちこと,大作で苦労する。私もそれで苦労したし,どんなマイナスを経験したか,よくわかっている」

ゲーテ「あまりに気前のよい贈りものは,乞食を追い払う代わりに,おびきよせるものだ。」

ゲーテ「求める心というものは,なにかが自分に欠けているとはっきり感じる。なにかを失った心というものは,自分はとぼしさに耐えていると感じるものだ。」

ゲーテ「自分の境遇以上のものをがんこに否定するのが俗物である。しかも俗物は,自分以外の境遇を否定するのみならず,他のあらゆる人間が自分と同じ存在でなければならないと要求する」

ゲーテ「国民文学なぞといったことは,もはや大した意味はない。世界文学の時代が来ているのだ。」

ゲーテ「東の邦よりわが庭に移されし
この樹の葉こそは
秘めたる意味を味わわしめて
物識るひとを喜ばす」

……

特別編(ゲーテに影響を受けていた日本作家の,特に有名だと思われる言葉を紹介)

島崎藤村「わたしたちの求むべきものは,ゲエテの跡を求めることではなくて,ゲエテの求めたものを求めることにある」

尾崎紅葉「泣いてゆく エルテルに会う 朧かな」

太宰治「私は,このごろ,ゲエテをこそ,わが師なりとして,もっぱら仰ぎ,学んでいる」

三島由紀夫「ゲーテの文体は,一例が「親和力」といふ小説を読めばわかるやうに,一見退屈な流れをもちながら,大波のやうにうねつて,ゆっくりと思想を展開していきます。われわれははじめ退屈しながら小説に入つていきますが,次第に眼界が開けると遠い森や村落や,陽のあたつた湖や牧場が眼の前にあらはれて,広大な作品世界が彼の悠々たる筆によつて実現されてきます。彼は決して短篇作家のやうに,道端の小さい野の花や,昆虫の姿態などに目をとめることもなく,悠々と山道を登って行つて,大きい展望の見晴らせるところまで読者を連れて行くのであります。」

……

特別編への備忘録

宇野弘蔵「マルクスの言葉を鸚鵡返しに繰り返すのではなく,マルクスの求めたところを求めよ」

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