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チャンスは転がっている

先日実家の引っ越しの片付けをしていた時のこと。

早朝に起きて母と兄の3人で作業をしていると
色々と必要なものがあることに気が付いた。

だが時間はまだ朝7時過ぎ。

コンビニで調達できるものならいいが、
どうもコンビニには置いていなさそうなものである。

このまま少し離れたホームセンターが開くのを待って
作業を続行しても良かったのだが、
そうなると9時半まで手持無沙汰になってしまう。

なかなか家族でそろって作業をする機会もないので
時間をロスするのはあまりにもったいない。

そこで、ネットで調べてみると
実家から歩いて10分ぐらいの場所にあるコーナンが
午前6時半から開いていることがわかった。

ホームセンターなのに6時半から開店?と
不思議に思い見てみると、
その店は普通のコーナンではなく、
建築業などを本業とするプロの方が買いに来る店という
コンセプトのお店らしい。

建築業の方は朝早く出勤されることが多いので
それに合わせるために6時半から開店しているのだろう。

そこなら必要なものもそろうだろうと、
さっそく兄と二人その店に向かった。

店の中に入ると、いつも見ているホームセンターとは
明らかに異なり、
プロが使うようなツールから材料のようなものまで
ズラリと並んでいた。

当然私達が買うのはプロ仕様のしっかりしたものではないが、
探して見るとビギナーレベルが使えるようなものも
ちゃんと置かれていたので、
それを手にしてレジに向かった。

普通ホームセンターと言えばレジは若いアルバイトで
あまり愛想が良くない人という印象がある。

しかし、この店は比較的ご年配の方で
いかにも商品知識がありそうな雰囲気。

しかも、驚くほどハキハキと話し、愛想がいい。

何から何まで普通のホームセンターと違うなと
思いながら会計を済ませたときに
ふとレジカウンターの横にあるものが
置かれていることに気が付いた。

それはジャイアントカプリコ イチゴ味である。

一体なぜこんなところに?と不思議に思ったのだが
たいていこのようなレジの横に置かれているものは
顧客がちょうど欲しかったと思って
ついで買いすることを狙って置かれている。

実際お店に来ているのはガテン系の方ばかりで
店の駐車場には一般車は1台もなく
トラックばかりであった。

つまり、このようなトラックに乗った
ガテン系のおじさんたちが
このジャイアントカプリコイチゴ味を
購入していくということである。

なんだか絵面を想像すると少し面白い気がする。

だが、よく考えてみるとジャイアントカプリコは
トラックを運転するような人にとって
実はとても理にかなっている気がしてきた。

食べ始めこそ包装紙を切るために両手を
使わなくてはならないが、
それ以降はこのお菓子なら片手で食べることができる。

トラックの多くはマニュアルトランスミッションなので
左手でこまめにギアチェンジをしなくてはならないが
カプリコならば右手でステアリングを持ちながら
ホールドしておくことも可能である。

しかもアイスクリームのように溶けることはないので
仮にステアリングを一緒に回したとしても
クリームがこぼれてしまうリスクもない。

しかも両手が必要になれば、そのままドリンクホルダーに
入れておくこともできる。

私の父も大工だったので昔はガテン系の方が
沢山身の回りにもいたが、
その人たちは総じて甘いものが好きであった。

シンプルに肉体労働をするので体が糖を求めるのだろう。

そう思うと、ジャイアントカプリコが
ガテン系の方に受け入れられるのは
とても理にかなっているのだ。

駅によく置かれているセブンティーンアイスは
実はお酒を飲んだ後のおじさんに向けて置かれているという
話を以前に本で読んだことがある。

この時も「そんなバカな。ターゲットは高校生でしょ」
と思ったものだが、
よくよく思い返してみると、お酒を飲んで何か食べたいと
思ったとき、アイスという選択肢に行きついたことが何度もある。

でもわざわざコンビニに行くのは面倒。

そんなときにセブンティーンアイスの自販機があれば
ついつい買ってしまうのは自然なことであろう。

この2つの事例から何が言いたいかというと、
パッと見ただけで想像できないところに
実はチャンスがあるということである。

一見するとジャイアントカプリコとガテン系のおじさんに
なんの関係もなさそうに見えるし、
ガテン系の道具を売る店に置こうという発想には至らない。

だが、そこを掘り下げてみると実は隠れたニーズがあるのだ。

私達が訪れた店はそれをちゃんと掘り下げ、
レジ横に置くことで売り上げアップにつなげている。

このチャンスを掘り起こせるかどうかで
ビジネスは大きく変わってくるのではないだろうか。

私達一般人の周りにも
チャンスの種は沢山転がっているのかもしれない。

そう思うと何だか面白いなと思うエピソードであった。

ちなみに私は20年近く
ジャイアントカプリコを食べた記憶がない。

なぜか自ら買おうと思わないのは
心の中にこれを買うことに対して
どこか恥ずかしいという気持ちが
あるのかもしれないと思った。

こんな記事を書いたのも一つの機会なので
今日の仕事帰りにでもジャイアントカプリコを
買って食べてみようと思う。



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