政治と文学について

講演「政治と文学について」

家でゆっくり過ごしていた先週末。
このゆっくりの時間でやろうと思ったことはさ、
また、吉本隆明さんの講演を聴こう! と。

数か月に一度くらいしか更新できていない
「吉本隆明さんの講演を聴いてみる。」シリーズ。
前回は昨年12月28日のnoteにて、
【敗北の構造】という講演を聴きましたが。
このつぎには、どの講演を聴こうかねえ?
と思いつつ『吉本隆明の183講演』の講演一覧を眺めながら、
1971年5月8日・慶應義塾大学三田校舎で行われました
【A024 政治と文学について】を聴きたい!
というのはすぐに決まったですが。

年末年始、まずは一度この講演を聴いてみると、
録音の音質があまりよくなく、
ぼくではなかなか内容までは聞き取りにくくて。
どうしようかなあ??? って思って。。

それでね、数日経って思いついたのは、
この『吉本隆明の183講演』の講演集には、
有志の方々による
講演の文字起こしのテキストがございまして。
このテキストを見ながら聴こう! と思ったの。
そしてようやく、講演を聴けそうな気力と、
まとまった時間ができたような先週末、
講演【政治と文学について】を聴きました。

テキスト見ながらですと、かなり聴きやすくて。
テキストをつくってくれた方、
ほんとうにありがたい。。。

講演の内容は、
この講演の行われた前年、
三島由紀夫さんが、政治と文学について
「非常にショッキングなあり方」を提供をしてくれて、
このことについてどう考えられるか。
というお話しだったですが。

ぼくは、三島由紀夫さんの作品を、
たぶん、ほとんど読んだことがないと思う。
原作の映画は、いくつか観たことある気がする。
ぱっと思いついたのは、
2005年公開の『春の雪』かな。そして、
吉本さんの仰る「非常にショッキングなあり方」のことも、
話しではすこし聞いたことあっても、
くわしいことは、ほとんど知らない。

吉本さんが、
三島さんの亡くなられたあとで読んだという
ある座談集で書かれていた三島さんの考え方のこと、
そして、吉本さんが考えられたこと、
ぼくにはすべてはわからないにしても、
なるほど、と思いながら、講演を聴きました。

それらのなかでもね、たとえば、
ひっそりと亡くなられたという
歌舞伎役者・市川団蔵の死に方と、
三島由紀夫の死に方のちがい、というのは、
すこしショックを想いながら聴いていた。
吉本さんが、市川団蔵の死に方にあこがれをもった、
とおっしゃるのは、なんとなく、
これまでに読んだことある吉本さんの書籍を思えば、
すこしわかるような気もいたしました。

また、そのあとには、
武士社会における「儒学」について、や、
キューバでのカストロやゲバラの「革命」について、
などなどを聴きながら。このあとでの、
「文学者は弁解をする。」とおっしゃるのは、
もしかしたら、そうなのかもしれない。と感じる。
こきのところで、いちばんつよく想った箇所は、、、

つまり、繰り返し申しますと、つまり、えーと、何て言いますか。あまり、流布されたもの…。あるいは、自分が創造の過程で苦心惨憺して作りあげたっていう過程を、自分が尊重することが重要なのであって。それが、いかに流布されるか、とか。いかなる形で、いかに大勢の員数に読まれるか。っていうことに、あまり信を置いてはいけない。っていうようなこと。つまり、そこのところに…。おそらくは、文学者、あるいは政治なら政治の関心を持った文学者っていう者が、もっとも、こう、絶えず内省しなければならない。そういう問題であるというふうに、ぼくには思われます。
(吉本隆明さん講演【政治と文学について】、チャプター07「政治と文学の問題と中心」2:12〜)

この引用しました場面以外でも、吉本さんが仰るのは、
作品を、密室の中において創造する「過程」を
じぶん自身が「尊重する」ことが大事なのであって。
その作品が、どれだけ売れるとか売れないとか、
いかに流布されるか、という世界に慣れすぎてしまうと、
じぶんが、よりよい文学者と錯覚してしまう可能性がある。
そう錯覚されてくると、たとえば、
じぶんについての誤報が大勢に流布されてしまった場合、
「実際はこうなんだ」とどうしても弁明せざるを得なくなる。

そのことは、文学者が、
もっとも内省しなければならない。

‥‥というこのことは、ぼくは、
大勢に流布される文学者とかではぜんぜいないけど、
ブログを書くひとりのブロガーとして、
いつも思っていたいなあ、と感じました。

この講演の最後で吉本さんがお話しされていた、
「絶えず覚醒していること」と
「ある種の絶対性」のことについては、
どういうことなんだろう????? って、
じぶんの頭の中の片隅に入れながら、
講演【政治と文学について】を聴き終わりました〜。

さて、このつぎは、
どの吉本隆明さんの講演を聴こうかねえ。。。

令和2年2月26日


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