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絲を任く蟲なり。

先日、劇団「マームとジプシー」の
『cocoon』を観劇したときには、その
タイトルの「cocoon」を意味する漢字のね、
【繭】って、あらためて、
その形がすごい! って思ったの。たとえば、
「くさかんむり」の下に、
部屋のように分かれた空間の中で
「糸」と「虫」が入っているなんて、
まさに「まゆ」っぽいもん。

なので、本日のブログではさ、
漢字のことを考えてみる
「リッシンベン調査団」シリーズとして、
【繭】の字を調べてみたい。

では、さっそく、いつものごとく、
白川静先生の『常用字解[第二版]』を
紐解きますと、、、

【繭】 ケン/まゆ
会意。桑の葉の形と糸と虫とを組み合わせた形。桑の葉の上に虫(かいこ)が糸を吐いている様子を一つの字形にまとめたもので、蚕の「まゆ」の意味となる。三つの要素に分解できる表現であるから、全体を象形ではなく、会意とみてよい。(‥‥後略)

【繭】とは、やはり、
「糸」と「虫」が関連していて。
ここでの「虫」とは、
【蚕】のことで、また
「くさかんむり」は「桑の葉」のことで、
つまり、桑の葉の上で
【蚕】が「糸」を吐いている様子が、
【繭】の字なのね。

【繭】が、音読みで
「ケン」と読むのは知らなかったなあー。

【繭】の字は、
「桑の葉」と「糸」と「虫」に分解できるから、
物の形をかたどる「象形文字」ではなく、
二字以上の漢字を組み合わせて、且つ、
漢字の意味をも組み合わせて一字の字をつくる
「会意文字」とされる、とのこと。

なるほどぉー。

そしてまた、そう言えば、
白川先生のこの説明の中でも登場している
【蚕】の漢字もね、よくよく見れば、
「天」の下に「虫」が置かれているような、
印象的な漢字だなあと思いまして。
さらにね、この
【蚕】の字も、また、
白川先生の『常用字解』で調べてみたい!!!

【蚕】 サン/かいこ
形成。もとの字は蠶に作り、音符はさん。[説文せつもん]十三下に「いと(吐)くむしなり」とあって、「かいこ」をいう。甲骨文字はかいこを象形的にかいており、(‥‥中略‥‥)また甲骨文には蚕示さんじ(蚕の神)をまつることをしるしているものがあり、三千数百年前のいん王朝の時代に養蚕(かいこを飼い育ててまゆをとること)が行われていた。養蚕は農耕とともに重要な産業とされて、周王朝では王后夫人によって親蚕の儀礼が行われ、神衣・祭衣を織る定めであった。絹は中国の特産品として輸出され、内陸アジアを横断して地中海沿岸地方に至る通商路のシルク・ロード(絹の道)が開かれた。

【蚕】のもとの字とされる
【蠶】ってゆうのは、なんだか、
すごい形だなあー。

甲骨文には、
【蚕】の神様を祀ることが記されていて、
殷の時代、養蚕が行われていた。
養蚕は、農耕とともに重要な産業とされて、
周の時代、王后夫人によって親蚕の儀礼、及び、
神衣や祭衣を織る定めがあった。

このことから思われるのは、
現在の日本でも、皇后陛下が
【蚕】を育てられている、
というお話しを聞いたことがございますが。
王后夫人、つまり、おきさきにあたるような方が、
【蚕】を育てる、というのは、たとえば、
中国の周の時代から続く習わしとも言えるのだろうか???

その
【蚕】が吐く
【絲】と【繭】が、どうか、
長く、長く、長く、伸びながら、
海を越え、ひいては、
シルク・ロードをも越えて、
世界中の平和を織られますように。。。

令和4年8月13日


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