Chat GPTに相談しながら読書感想文を書いた話
A君の作文
Chat GPTに相談しながら、A君に読書感想文を書いてもらった。
早速、彼の力作をご覧いただきたい。
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○○中学校
三年 □□△△
読書感想文 「人は幽霊を信じられるか、信じられないかで決まる」
ぼくは、夏休みにぼくが通っている「omiiko」という塾の先生が書いた本の一つである、この
「人は幽霊を信じられるか、信じられないかで決まる」
という題名に興味を持ち、読書感想文を書くことにしました。
この中に
「自己実現できるのは、話のわかる人間である」
とあり、そこでぼくは、
「じゃあ、話のわかる人間って何だろう?」
と疑問に思い調べてみる事にしました。
すると話のわかる人間とは、
一、共感の力(他人が抱える感情や思考を理解して、共感する力)
二、対話の重要性を認識(自分だけが正しいという考えに捉えず(注:囚われず?かな)、異なる視点を受け入れることで新たな理解を得ること)
三、前向きな姿勢(対話の中で生じる意見の食い違いや論争に対しても、前向きな姿勢を保つ)
四、謙虚さと学習意欲(他人の視点から新たなことを学ぶ意欲を持つことで、より幅広い視点を得ること)
このように、
「話のわかる人間」
とは、他人とのコミュニケーションを通じて、互いの理解を深め、より良い関係を築こうとする人々を指します。
これらを調べてぼくが感じたことは、全然話の分かる人間の特徴に自分が当てはまっていなくて、
「確かにな~」
と感じました。なぜそう思ったかというと、
「自己実現できるのは話のわかる人間」
すなわち、
「話のわかる人間は自己実現できる」
ということである。ぼくはよく、
「30分後に勉強する。」
「よし、じゃあ今から6時間勉強だ!!」
など目標を自分で立て、それを親に言う。しかし、すばらしい目標を立てたことは自分でもすばらしいと思うが、達成しなければ意味がない。そんな目標を立てるだけたてて、それを達成しない人が僕だ。
だからよく親に
「口だけ男」
と言われる。
口だけ男イコール自己実現できない人イコール話の分かる人間ではない。だからぼくは、自己実現出来ず、話のわかる人間ではない。
ぼくは、ドラマに出てくるような旅館みたいな家に住みたいという夢を持っている。しかしぼくは、自己実現できない人である。
このまま大人まで自己実現できない人でいたらこの夢の一歩にすら進めなくなってしまうから、ぼくは二つ毎日の目標を立てる。
一、朝起きたら自分が使った布団はきれいに整頓する。
二、家族に「おはよう」「いってきます」などの言葉を元気に言う。
自分の夢に近づけるように。そして親からの口だけ男という汚名をなくし、もう口だけ男といわれないようにする為に、まずは、この二つの目標を達成したい。
そして、特に自分に足りない、前向きな姿勢の力を少しづつ付けて、話のわかる人間になりたい。
幽霊を信じられる人は「幽霊を見た」と言った人を信じ、理解し、共感し、自分にない新しい世界や事を学ぶことが出来るということだと思った。
自分を信じ、自分に負けない、自分らしい人になりたい。
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お母さんに聞くと、「おはよう」は言ってくれるが、布団は畳まなかったそうだ。
うめさんのプロンプト
『スティーブス』を書いた漫画家うめさんが、Chat GPTを利用した作文の書き方を公開していた。うめさんのお子さんに好評だったようだ。
『スティーブス』はアップルの起業物語の漫画である。
「起業家ってなに?」
生徒に問われるといつも勧めている。
以下がプロンプトだ。
Chat GPTは極めて優秀。本当に教えるのが上手い。
ちなみに、Chat GPTとのやり取りの全容は以下である。
Chat GPTの出番
「なんの本を書くの?」
「まだ決めてない」
これは僕と生徒との会話。
「なんでもいいだ?」
「学校の図書館にある本なら」
今年2月、教頭先生を通じて拙著を寄付してきた。良いことはしておくものだ。
「悪いけどさ、僕の本の前書きを読んで感想文書いてもらってもいい?」
「はい」
noteに公開している前書きを一緒に読んだ。
自習で来てもらっているから、なるべく自力で書いて欲しい。僕はあまりタッチしない。タブレットを彼に渡し、自由に質問してもらう。
「どんなテーマなのですか」
「自分の人生を自分で切り開いてゆく、すなわち『実存的』な生き方についてです」
「素晴らしいテーマですね」
こちらはChat GPTとの会話。
上品である。
さらに質問がある。
「あなたの人生で、自分を成長させたり変えたりするために取った一歩を思い出してください」
「新しいことにチャレンジする際、どのように不安や恐れを克服しましたか?」
「そこから学んだことはありますか?」
これほど良い質問はそう出ない。質問に答えるだけで作文を作れそうだ。
しかし数分間、彼はなにもできず固まっていた。
「どう?」
「Chat GPT、使ってもいいですか?」
「うん、自由につかってね」
A君が質問する。
カタカタカタ。。。
「読書感想文の簡単な書き方」
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「本の選択: まず、どの本について書くか選びましょう」
「要約: 本の要約を行います。主要なプロットやキャラクター、舞台などを簡単に説明します」
「感想: 本の要約の後に、あなたの感想や思ったことを述べましょう。以下の質問に答えることで、感想を書きやすくなるかもしれません」
「本の中で一番印象に残った部分は何ですか?なぜそう感じましたか?」
「登場人物の中で誰に共感したり、誰が好きだったりしましたか?」
「引用: 本の中から特に心に残る引用を挙げることも良いアイデアです」
「結論: 最後に、読書体験の総括や、この本を他の人におすすめする理由などを述べてみましょう。また、この本があなたに与えた影響や気づきについても触れることができます」
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見事である。作文を書けない生徒たちがなぜ書けないかと言えば、「型」を知らないからだ。
嫌がる生徒もいるけれど、自由に表現するためにまず「型」を持つことが極めて重要となる。慣れたら型なしで書けばいい。
「さすがだな、Chat GPT」
「型を提示するとは」
「この型に沿えば感想文ができそうだね」
「うん」
しばらく自由に考えていたが、一行も進まない。
「う~ん、何を書けばいいか分かんない」
「型を見よう」
「全体像はこうなりそうだ」
積小為大(せきしょういだい)
「どう?」
「俺は・・・・」
「駄目な奴だ」
「は?」
「少しづつでいいだに」
「全部いっぺんに書こうとすると書けないに」
「まずは、一番最初の『どの本を選んだか』について書いたらどうだろう?」
ミルトン・エリクソン心理療法に、「分割」というテクニックがある。多くの生徒が、課題をいっぺんに解こうとして進めなくなる。数学や国語、すべて同じだ。
「型にある『どの本を選んだか』だけ書こう」
一つ一つ進むのだ。
いっぺんに解決するのではなく。
別の生徒には「積小為大」としばし伝えて、とても響いていた。
少しづつ書き始める。
「要約ってどう書くの?」
「むぅ」
「どうしようか」
「気になった部分にラインをぬって、それを抜き書きしてみる?」
しかし筆が止まってしまった。
書き始めてから、一番の長考。
「あっ!」
「そう言えば自己実現って知ってる?」
「いえ」
彼は寡黙である。
「大学のとき好きだった理論に、マズローの欲求階層説ってのがある」
「僕が経営学を専攻することに決めた加護野忠男先生の本に載っていたんだ」
「一番下が生理的欲求」
「食べたいとか寝たいとかの欲求だに」
「上に進んでいく」
「社会的に認められたいとか、尊敬されたいと思うようになる」
「最高次の欲求が自己実現なんだ」
「自分の夢とか、人のためにどう尽くすかってことだよ」
「実はさ、マズローは著書でこうは言っていないんだ」
「世間ではそう理解されてるけれど」
「どうやったら最高次の欲求、自己実現を満たせるだろう?」
「夢をどう実現させるか?」
「う~ん、難しい~」
「僕の本には、『話の分かる人間だけが自己実現できる』ってある」
「議論が分かれるところだ」
「『そんなことあるか!』って思う人もいるし、」
「納得してくれる人もいる」
「『そんなわけあるか!』って書いてもいいだに」
「え~~~!!」
「面白いじゃん」
「ハハ」
それでも悩んでいた。
後に暴走族になった生徒がいて、彼が中学二年の時に書いた作文と、テストが学年最下位だった生徒の作文を見てもらった。
「ぶ~~~!!!」
「こういうのがいいんだよ」
「保坂和志さんって小説家が、『こんな話が小説になる』って言ってる」
「優等生の作文は小説にならないよ」
自力で書き始める
大分迷いながらも、思い切ってChat GPTに相談している。
AIと会話をすれば吹っ切れるかなとも思ったが、やはり止まってしまう。良さそうな感じはするのだけれど。
横目で見て少し手を出す。
書籍の前書きをChat GPTに読み込ませた。
AI先生、大絶賛。手前味噌で申し訳ない。
彼は横目で見て「おぉ!」という表情を浮かべると、書き始めた。
得体の知れないモジャモジャ頭の本を、まがりなりにも学校に提出して良いか相当心配したようだ。
さもありなん、である。
二宮金次郎の七代目の孫、中桐真理子さんから、「有能感より安心感」と教えていただいたことがある。安心できると前に進めるのだ。
「話すように書いていいんだよ」
「固くなると書けないし」
「僕の自己実現は、、、」
「ドラマに出てくるような旅館みたいな大きな家に住むこと」
「面白いな!!」
そこからほっておいてしまったが、しっかりエゴ丸出しの夢や、「口だけ男」の部分も入れてくれた。
彼のお母さんに伝えると、家で推敲し清書もさせてくれた。
僕は駄目出しをしないけれど、字が汚くて心配だったのだ。ほっとする一瞬。
いつも本当に感謝しておりますm(__)m
総括
物議をかもしまくっているChat GPT。これから学問はどうなるのかとも思う。私の好きなSANTAというTOEICアプリにも、GPT4の質問機能がついた。塾もうかうかできない。
勉強が好きな人だけが、勉強する世界になるのかもしれない。
書籍を読みながらChat GPTに相談することが多くなった。尊敬する奥出直人先生からは、「博士課程のチューターとしても活躍できる」と教えていただいた。
大学もなにもかも変わってゆく。
大学入試とか資格試験とか、入るべき門がなくなっていくのかもしれない。
無門の世界、レールのない人生をどう走るか。子供たちの方が良く知っていそうだ。
今年の夏も、生徒と共で幸せだった。
お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃
起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)
下のリンクで拙著の前書きを全文公開させていただきました。
そんな主題。是非ぜひお読みくださいませm(_ _)m
どん底からの復活を描いた書籍『逆転人生』。
5名の仲間の分も、下のリンクより少しづつ公開させていただきます。
是非お読みくださいませ(^○^)
こちらが処女作です。
テーマは、、、
起業家はトラウマに陥りやすい人種です。
トラウマから立ち上がるとき、自らがせねばならない仕事に目覚め、それを種に起業します。
起業論の専門用語でエピファニーと呼ばれるもの。エピファニーの起こし方を、14歳にも分かるよう詳述させて頂きました。
書籍紹介動画ですm(_ _)m
サポートありがとうございます!とっても嬉しいです(^▽^)/