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【好調時の通院】に結実する“相手を指導しない”トーク

みなさんこんにちは。

北海道若手治療家コミュニティの
花田隼人(@hokkaido_wakate)です。


「調子が良いときも通ってほしい!」


体のことを考えても
経営モデルを考えても

そんないわゆる“メンテナンス”を
クライエントには求めたいですよね?

しかし我々は
【患者を指導する】という立場から
メンテナンスを求める
場面が多く、

この状況設定・前提設定が
そもそも効果的ではない

花田は考えています。


そこで今回は、


調子が良いときも
治療院に通ってもらうための
「相手を指導しない」会話内容


について
ここでシェアしたいと思います。


もしかすると今までにはない
面白いアプローチだと思うので、

伝え方の引き出しが
一つ増えることになると思います。

気になる方はぜひお読みください。




 



坐骨神経痛の方とこんな会話をした



先日こんなやりとりがありました。
 
いわゆる坐骨神経痛のような
症状を訴える方が来院され、

月並みですが

“ヘルニアの場合に病院でされること”
を説明しつつ、
 
「腰痛が無い人でも
 ヘルニアは見つかるのだから
 ヘルニアと腰痛は無関係とも言える」
 
という概念を
クライエントに提供しました。
 

その時の僕の喋りはこんな感じです。

中高年の、何にも症状がない人。腰痛がない元気な人をたくさん集めて、レントゲンとかの画像検査をすると、4~6割くらいにはヘルニアが見つかるといわれています。なにも症状がないのにヘルニアがあるってことは、ヘルニアと痛みは「関係ない」という話になってきます。痛みとヘルニアが「同時に見つかった」ってだけで、それが痛みの「原因か」はまた別の話になるってことです。 

申し訳ありませんが
このデータの元は忘れました。
あくまで一般論と捉えてください。

きっとこのような伝え方をしている
徒手療法家の方も読者の中には
いらっしゃるのではないか?と思います。

ただ僕はその日、 
このあとに工夫を足してみました。

「まあ、病院も難しいと思います。痛くなる前の画像は持ってないですから。いつ飛び出たものなのかも分からないまま、今撮れた画像を元に伝えるしかないので、ヘルニアが映っていればそれを元に考えるしかないわけです。」

ひとつ前のような

「ヘルニアがあっても
 それが原因かは分からない」

という話をすると、

患者心理としては
「病院ってあてにならないな」
という気持ちになってしまいますし、

我々の立場も、
病院を落とそうとしているような
ポジション取りに傾いてしまいます。

そこで、
「病院も難しい状況下でその判断をしている」
という“理解を示す”側に一度回ることにします。

そして
「異常発生前の状態が分からない」という、
誰もが「そう言われりゃそうだな」と
思える理屈を伝えて、

初見での判断の難しさに
少し理解を示してもらいます。

そして続きをこう話しました。

「我々のように整骨院や整体院であれば、調子が良い時であっても皆さんある程度通っているものなので、良い時と比べてどう違うのか?が分かりやすいのです。でも整形外科ではそれができません。そこが我々と大きく違うところです。」

このようなトークに持ち込みました。 
 
すると、
その方はとても理解を示してくださり、

痛みがなくなったあとの
メンテナンスについてもすんなり
同意をいただくことができました。


 
 

  


この会話のポイント



ここで大事なのは、
 
「整骨院や整体院は
 好調時も通うところだ」
 
ということを、
『既成事実』として伝えることにあります。


   
新型コロナ対策禍で
よく分かった通り、
 
人間、特に日本人は
「みんなこうしてる」に弱い生き物です。
 
みんな自粛している
みんなマスクを着けている
みんなワクチンを打っている
みんな検査している
 
そんな他人がやっている行動に
自分も乗っかれば安心だと考えて、
行動を同調させてしまう心理を、

「バンドワゴン効果」といいます。
 
    
 
  
モノゴトの本質的な価値を
判断するのは中々難しいもので、
 
多くの人々は
「他人の行動や評価」を
その価値判断の参考材料として採用します。
 
特に日本人は
その影響度が高い民族です。

「前から気になっていたお店」は
いつだって知り合いからの
「あそこ良かったよ」で
背中を押されていくことになります。

行列のできるラーメン屋は
「きっと美味しいんだろうな」と
誰もが想像します。

他人の行動や評価を
自分の判断の参考材料にするからです。

自分よりも前に、
自分以外の多くの人が選んだ選択肢
自分以外の多くの人がしてきた経験。
 
それを示すことは
人を動かす”上で効果的です。 
 

これが、

「我々のような整体院は、
 調子が良い時もみんな通っているもの」


という他者行動を示した理由の一つです。





    

人間は「既」に弱い



例えば、

「あなたの腰痛は
 ●●症と呼ばれるものです」


といった説明に
説得力を持たせたいのであれば、
 
なるべく綺麗に仕上げた
「●●症」の解説が書いたリーフレットを
手渡ししてしまうことでこれを満たせます。
 
自分よりも前に、
不特定多数の他の患者も
この症状の説明を受けてきた。
 
自分よりも前に、
この資料は作成され準備されていた。
 
そうした推測される時系列から
「言われていることは本当だ」と感じ
術者の説明に納得しやすくなります。

これは合併症のリスクを伝える時に
非常に効果的です。


大腿部に打撲を受けたとします。

この場合、
「外傷性骨化性筋炎」という
重大な後遺症を残す可能性があり
注意して経過観察する必要があります。

しかし素人の患者にとって
「打撲くらいでそんな大袈裟な」と
あまり重く受け止められない方とは
どうしても一定数出会ってしまいます。

大腿部の打撲は
スポーツ選手の学生に多いわけですから、

「そのくらいでメソメソするな」と
子どもの怪我を軽く考えがちな
保護者も中にはいます。

そんな時にいくら口で説明をしても
受け止めてくれるとは限りません。

そんなときに
「既製品」は大きな力を発揮します。


数年前に花田が院長に昇格した際、
整骨院に来院する可能性のある
あらゆる疾患のパンフレットを
2ヶ月かけて作成したことがあります。

大腿部の打撲のパンフレットは
外傷性骨化性筋炎の解説も記載しており、
これを見せるだけで
保護者も話の聞き方に真剣味が増します。

他には軽視されがちな
「突き指」にカテゴライズされる
マレットフィンガーや、

下腿部や前腕部を負傷した場合の
コンパートメント症候群など、

患者が思っている以上に
重大な症状やリスクを伝えたい時に、

パッと取り出して
伝えられるツールがあると
説明内容の説得力や
信憑性を高めてくれます。
 






どういうところだと思ってほしい?



少し話がそれましたが、
一旦整理しましょう。


  1. 人間は自分以外の人の行動内容に、価値判断が影響される。

  2. 目の前に出された情報のうち、時間的に先行して存在する情報は信憑性が高いと感じる。

  3. 好調時の状態を確認できない初回は、そこに見えた異常をもとに推論を進めるほかないのは、我々も整形外科も一緒。

  4. 我々のような徒手療法の院には、好調時であっても定期的に継続して通院する方が多いため、不調時の判断材料が多い。

  5. これらを「既成事実」として伝え、多くの他者の行動例として紹介する。



つまり端的に言えば、

「整体って
 【調子がいい時も通うもの】で、
 【みんなそうしていて】、
 整形外科ではそれができないけれど
 ウチはできるからメリットがある」

というポジションを
取りに行く会話内容です。


ただ単に
「あなたにメンテナンスが必要な理由」を
プレゼンするのも悪くないですが、

「そういうものだ」という
世界観に入ってきてもらうのと、

「短期的に簡単な解決ができればいいや」
という世界観にいる相手を
何とかして説得しようとするのでは
超えなければならない障壁の数が違います。


伝え方一つで受け止められ方は
大きく変わる可能性があるということです。

あなたの院は
「どういうところ」でしょうか?

新規の方の中には
全くそれを知らない人もいます。

初めて治療院に足を踏み入れる方もいます。

そんな方に
「治療院ってこういうところ」という
イメージをどのように抱いてほしいか?

いま一度整理してみてもいいかもしれません。

ご参考になりましたら幸いです。





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