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【小倉2歳S(G3)回顧~その先へ】血統篇

【小倉2歳Sの結果】
レースは、最後方から追い込んだアスクワンタイム(5人気)が、中団後方から脚を伸ばしたミルテンベルク(2人気)を差し切り、アタマ差をつけ優勝。さらに1.1/2馬身差の3着にキャンシーエンゼル(4人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、まず「前走小倉芝1200m新馬戦1着馬」を検証すると、2頭(7着セイウンデセオ、6着パッシングシャワー)が該当。次に「ロードカナロア産駒」が[1-0-2-1]複勝率75%を検証すると、出走馬10頭中1頭(1着アスクワンタイム)が該当。最後に「8枠」は[2-3-2-15]複勝率31.8%と活躍が目立つ中、今年は8枠2頭(1着アスクワンタイム、2着ミルテンベルク)のワンツー決着!でした。

血統面で、「父欧州型」に注目すると、出走馬10頭中5頭内3頭(1着アスクワンタイム、2着ミルテンベルク、3着キャンシーエンゼル)のパーフェクト、ワンツースリー! なかでもミスプロ系欧州型に注目すると、出走馬10頭中2頭内1頭(1着アスクワンタイム)が該当。

トラックバイアスからみると、小倉最終週だけに荒れた内ラチ沿いを避けて直線で馬場の良い外目に持ち出しやすい外枠が優勢。つまり、展開次第も、差し・追込み勢が優勢!?

【血 統 傾 向】
芝1200㍍のなかでは欧州指向の血が活きる!?
父が欧州型の重厚な血で、母系に芝短距離要素が強い血!
父欧州型。なかでも欧州型ミスプロ系で、母に芝1200㍍適性が高い血統。
Pサンデー系×母父欧州型。

2023年
1着アスクワンタイム
父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着ミルテンベルク
父モーリス(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
3着キャンシーエンゼル
父バゴ(ナスルーラ系/欧)×母父ナスルーラ系/米
2022年
1着ロンドンプラン
父グレーターロンドン(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2着バレリーナ
父ダイワメジャー(サンデー系/日)×母父スターリング系/欧
3着シルフィードレーヴ
父アメリカンペイトリオット(ノーザンダンサー系/米)×母父ノーザンダンサー系/米
2021年
1着ナムレクレア
父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
2着スリーパーダ
父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着アネゴハダ
父キズナ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2020年
1着メイケイエール
父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着モントライゼ
父ダイワメジャー (サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
3着フォドラ
父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2019年
1着マイネルグリット
父スクリーンヒーロー(ロベルト系/欧)×母父ヘイロー系/米
2着トリプルエース
父ジャマーダル(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
3着ラウダシオン
父リアルインパクト(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米

【血 統 背 景】

アスクワンタイム(牡2、栗東・梅田智之)は、父ロードカナロア×母ディープインアスク(母父ディープインパクト)。ファンタジストやボンボヤージの全弟で、コロラトゥーレの半弟で、ブリリアントアスクの甥。牝祖ディアーミミの孫にBCジュヴェナイルのミッドシップマンがいる。ロードカナロア×ディープインパクトはレッドモンレーヴやジュビリーヘッドなどと同じ。本馬は母母父デインヒルの影響が強い後躯で、ボンボヤージよりはファンタジストに近いタイプか。坂コースの1400がベストも、芝1200であまり高速決着になるとどうかで、力の要する馬場になった方がチャンスはある。兄弟制覇に期待。

よほど相性がいいのか、ロードカナロアとの配合でここまで2頭の重賞勝ち馬を産んでいる母のディープインアスク。初戦よりも楽にポジションを取れ、レース運びに余裕があった前走の内容を思えば、今回もスタートをしっかりと決めることが大事だが、本質的には良馬場のスピード競馬が合う。

今年は、前後半600m33.3-35.3と後半が2秒も遅いハイペースをテンに無理はせず最後方追走。3~4角から大外を回し、一気に突き抜け2着ミルテンベルクとの競り合いを制し優勝。伸び伸びと外を走らせた際、同馬の爆発力は覚えておきたい。まだまだ荒削りな同馬の成長に期待したい!?

ミルテンベルク(牡2、栗東・武英智)は、父モーリス×母ペルレンケッテ(母父ディープインパクト)。エッティンゲンレンネン(独G2・芝1600m)のパドドゥ、ヴィルトシャフト大賞典(独G3・芝1800m)のパロルのイトコで、母ペルレンケッテはJRA4勝(全て芝1400)。母母プンティラは独オークス(独G2・芝2200m)勝ち馬。モーリス×ディープインパクトはジェラルディーナ、ディヴィーナ、ルークズネストなどと同じ。母似でディープ+ドイツ牝系らしいしなやかなフォームで新馬勝ち。血統構成ならマイルあたりに向きそうで、新馬を見ても好発からの二の脚は1200mだと少し忙しい感じ??京都1400あたりがピッタリのタイプ。

本馬の前進気勢の強いレースぶりは父のモーリスに近いものを感じさせるが、スラッと見せる馬体はディープインパクトのそれ。両者の良さを抽出した馬と言えるのかもしれない。能力は確かな馬だけに、環境への適応に注目!?

同馬は、初戦同様にこの日もテンションが高かった。レース前半は先を急がず、中位後方に待機し、3角から追い出されて、直線では勢いよく勝ち馬と一緒に伸びてきたものの、競り合いでわずかに敗れ2着。今後は、新馬戦を振り返っても1200㍍のスピード勝負より距離を延ばし1600~1800㍍と延ばした方が、将来性を感じる!!

キャンシーエンゼル(牝2、栗東・鈴木孝志)は、父バゴ×母ヴォルドニュイ(母父Sky Mesa)。ボールドヴェンチャーS(米G3・ダ6.5F)2着ラッキーカーリンやニュージーランドT3着デルタバローズのイトコで、母母プレイバラッドはラカニャーダS(米G2・ダ8.5F)2着。母父スカイメサはホープフルS(米G1・ダ7F)に勝ったエーピーインディ系。母系はシアトルスルーのクロスを、全体ではヘイローのクロスを持つ血統構成。父バゴは凱旋門賞馬でクロノジェネシスやステラヴェローチェなどを輩出。バゴはブラッシンググルーム系なので牝駒は勝気なスプリンター、本馬もそんなタイプ。最終週の時計がかかる馬場も合う。

スピード豊富な母の父スカイメサの影響を感じるタイプ。4月下旬の生まれながら、すでに馬体がまとまっている仕上がり早の牝馬。前向きな気性が見て取れるだけに、2歳戦に向いたタイプ。

同馬は、発馬を決めてスムーズに流れに乗って3番手追走。直線では、上位2頭の決め手と展開に屈したものの、先行勢の争いは制し3着確保。時計が掛かるタフな馬場になれば、十分に巻き返す可能性を秘めている要警戒な1頭!?


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