プリウスの秘密
2001年型の ハイランダー 4シリンダーが 間も無く 300,000マイルに達しようと言う時 私は ようやく思いたって プリウスに 買い替えた。
当時、週末は 片道40マイルを ドライブして 仕事に行っていたので 4シリンダー後の プリウスは 以前にも増して 給油の回数が 減ることが 目的だった。
仮に 遠距離走行でなければ エンジンが止まるまで
ハイランダーを乗るつもりだった。
なにしろ アメリカでは 「トヨタ車は 300,000マイルから 始まる」と言われるほど エンジンが長持ちだ。
私には 車高の低い車は プリウスが 初めてで しかも ハイブリッド車に乗るのも 初めてだった。
最初に乗った日の感想は UFOみたいだった。
エンジン音が とても 静かで シューんと走るので
まるで 宙に 浮いているんじゃないかと 思った。
それに 車体が 地面に近いから カーブがスムーズで ハンドルも 車体も軽いので アクセルを踏みこむのも ほんの僅かの力で 充分だった。ドアも軽く これまでの 車に関わる 習慣の全てを 改めなくてはいけなかった。
が 車好きの私には その全ての 切り替えプロセスが 遊びのように 楽しかった。
ガソリン車と ハイブリッド車では 明らかに アクセルの踏み込みに違いがある。踏み込む必要がないから
標準速度で 軽々走っていると ダッジ ラムに 煽られることもあった。そんな時は 道を譲りながらも 赤信号での 停止から 発信のところで 素早い加速で 車体の重い ラムに 先手を打ち その勢いで 大きく 距離を離すのも 楽しかった。「プリウス 舐めんなよ!w」。
そんなに 気に入っていたのだが オフィスの移転に 伴い 通勤時間が 家から 2分になったことを きっかけに 4ランナーに 乗り換えた。プリウスの車高の低さが 田舎のでこぼこ道には そぐわなかったからだ。
プリウスに 乗っていた当時 ある人に 告白された。
私も その人のことは 大好きだったのだが 家柄も育ちも かなり違う人で 私には 合わないだろうと判断して 最終的には 付き合わないことを 選択した。
ある日 4ランナーで 彼の家の前を通った。
プリウスからは 全く見ることのない 景色がそこにはあった。
ゲートから家まで、そして 庭に駐車してある車まで よく見えた。
その日 そこには 白いメルセデスの SUVが 止まっていた。前の奥さんの車だ。
私も 離婚経験はあるので そんなことはどうでも良かったが 彼は 彼女は もう家に来ないよと 私に言ったのだった。
その次の時も また その次の時も ビーチに行くのに
彼の家の前を通ると 彼女の車があった。早朝 彼女がどこかへ出かけるのと すれ違ったこともあった。
プリウスに 乗っていたら 私は 彼の言葉を 信じて いたのかもしれない。
が、車高の高い 4ランナーに乗り換えて 視界が開けた。全て 見渡せる。見るつもりがなくてもだ。
ダッジ ラムに 煽られることは なくなった。
が 重量の重い車に乗っているので 以前より 安全運転を心がけている。同時に 遠くまで 見渡せるから 道を譲ることも多い。
車は 大きければ大きいほど 余裕で走りたい。
それは どんな秘密が 発覚してもだ。
それが 大人というものだ。
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