見出し画像

OWL magazineと桝井かほ


 OWL magazineは群像劇。何が書いてあるかよりも、どういう人が書いているのかが大切です。

 キャプテンさかまきによる「選手名鑑シリーズ」もありますが、中村も人物評を書いていこうと思います。この企画は記事数が減る来月からは消滅するかもしれませんが、隙間をみつけて書いていこうと思います。

 来月からのOWL magazineは「旅への回帰」を強く掲げていくことになります。そういう意味では「桝井かほ」という人物にフィーチャーした記事はミスマッチに感じられるかもしれません。しかし、ぼくは……。というか多くの人は、人間の人生を旅にたとえます。

 我々は旅をしています。ぼくは桝井かほさんと旅の途中で出会い、しばらく一緒に歩こうかと誘いました。他のOWL magazineのメンバーと同じように。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

桝井かほ twitter  instagram  note

 かほさんを知ったのは彼女が一生懸命クラウドファンディングをしているのを見かけた時でした。最初は苦戦していたのですが、彼女が熱心にてこ入れをしていくなかで息を吹き返していくのをみてガッツのある子だなと思いました。

 「海外在住、スポーツの仕事をしたい!」

 それだけならよくいる感じの人だなと思って気にとめなかったかもしれません。でも、ぼくがかほさんを見て気になった点が2つありました。

 1つはすごく一生懸命で、邪気が感じられないことでした。

 そしてもう1つは、その時点ではネガティブなものでした。

 それは、彼女の内面がしっかり表現できていないなと感じたことです。すごく悪い言い方をすると文章がまだ下手っぴだったというところです。書けていないわけではないのですが、文法ミスや、表現のつたなさが目立ちました。

 別にいいのです。下手でも何でも頑張っていれば。でも、彼女のもっている豊かな感情が、十分に表現されていないとしたら、それはもったいないと感じました。感情の豊かさは表現の才能の1つです。

 なぜなら、表現とは感情をモノに変えることだからです。

 どこかで声をかけたいなとは思っていたものの、年齢差があるのもあって少し戸惑っていた自分がいました。本当はそんなことに気にしなければいいのですが、当時はタクシードライバーをはじめたばかりで時間や生活に余裕がなかったのもありました。

 はじめて話したのは当時流行っていたクラブハウスでした。奈良クラブサポーターのさきらさんとかほさんが一緒に話している部屋に勇気を出して突入しました。そして、「OWL magazine文章を書いてみないか!!」と誘ってみました。

 二つ返事でOKをもらいました。その時、ついでに着いてきたのがキワタユウ(Twitter)です。まったく見込みがなさそうに思えた青年が、翼を広げ、自由に飛び回るようになっていくお話は、また今度どこかで書きましょう。

 さて、かほちゃんに記事を書いてもらうことになりましたが、普通の編集者ならオファーはしないと思います。彼女の華やかさは間違いのないものですが、原稿を添削するのがとても大変だからです。

 中村は、添削にどれだけ手間がかかったとしても、人間的な魅力があれば良いという考え方です。魅力ある人に表現力を身につけてもらう、そのための汗をかくというのが中村の考え方です。

 サッカーでいうと育成型クラブの考え方です。すでにできあがった選手を高値で買ってくるのは好きではありません。

 人は育った場所に愛着をもちます。ぼくは、OWL magazineや、中村と過ごした時間に愛着を持ってほしいと思っているため、どれだけ面倒でも育成するプロセスを大切にしています。

 少し時間はかかりましたが、かほさんに課題を出して原稿をつくってもらいました。それを添削でびっしりにしました。かほさんは少し驚いて戸惑っていたようでした。

 というのも添削というのは、どれだけ優しくやったとしても「自分を修正される」ことになるからです。ぼくの予想ですが、かほさんにとっては初めての経験であったのではないかと思います。

 優しい人に囲まれて愛されて育ってきた。すべてを肯定してもらえる安心な環境は、時には表現力を育ててくれません。だから伝え方が難しいのですが、一生懸命添削をいれて、一つ一つ丁寧に伝えました。

 その結果生まれたのがこの文章です。


 初稿の段階ではとても出せない記事でしたが、最終的には良いものにまでたどり着きました。いいねの数が示しているように多くの人の心を動かした文章です。

 当時色々悩んでいたうえ、多忙を極めていたかほさんは本当に頑張ったと思います。文章力、表現力をつける意義を感じてくれたのかもしれません。他の著者と同様に、とにかく頑張ってくれました。

 それからは、OWL magazineアンバサダーを引き受けてもらって、記事を紹介してもらったり、先行販売を手伝ってもらったりしました。

 どうしてアンバサダーをお願いしたのかというと、かほさんには色々な人の表現に触れて欲しかったからです。

 自分の言いたいことだけポっと吐き出す爆発力がある人はいます。でもそれで終わってはいけません。感性を研ぎ澄まし、丁寧に綴って表現していく
能力が必要です。そういった能力を高めるためには、心を込めて書いた良い文章をじっくり読み込んでいくことが最適です。

 なんでかほさんがアンバサダーなの?
 若い女の子だから?
 華やかだから?

 そういう疑問をもった人もいたかもしれません。が、ぼくとしては、かほさんに成長してもらうために、そういう役割をやってもらおうと考えていました。

 かほさんと初めて話してから一年が経ちました。

 先日かほさんが書いてきた記事は、こちらです。


 2018年にあったPKやり直しについて綴った記事です。過去のできごとをしっかりと掘り起こして、JFLの存在意義をしっかり書いた上で自分の意見をしっかり書いています。なかなかうまい構成です。文法ミスはよくみたら一カ所ありましたが、ほとんどありません。

 最初は「ゆるふわサポーター女子」であったのですが、この文章だけを読んでそういう印象をもつ人はあまりいないと思います。

 桝井かほさんはペンという名の武器を手にしました。しっかりとした技能なので、今後ずっと使っていけます。

 かほさんが好きっていうと、若い子だから好きなのか、とか可愛いからだとか、下心があるからとか言われてしまうかもしれません。だって、ぼくはもう40歳のおじさんだから。

 でも、そういうのではないのです。年齢の問題でもないし、性別の問題でもありません。ぼくとかほさんは、ずっとサッカー仲間です。ぼくが本当のおじいさんになって、かほさんもそのときはだいぶ良い年になっていると思います。そんなときにスタジアムであって、笑顔で挨拶して、ビールを乾杯して、そのときは出世したかほさんにビールをおごってもらって。

 そんな未来がぼんやりと想像できるから、ぼくはかほさんの成長を見守っていきたいと思うのでしょう。

 かほさんはまだまだ未完成です。でも、ぼくは大好きです。ジェンダーフリー、年齢もフリーで考えてくださいね。かほさんは親友のようにずっと付き合いたい人です。

 完璧な人とは言いません。というよりもむしろ穴ぼこだらけです。フラフラしすぎて不安になることもありますし、おいおいそれは違うよって電話して伝えたこともあります。

 でも、いい仲間なんですよね。

 OWL magazineをやってきて、良かったなと思う瞬間です。もちろん、かほさんだけではなくOWL magazineには良い仲間もいます。OWLの記事読んでますっていわれるのが我々にとって一番うれしいことなので、是非皆様購読してください。

 というわけで、この短いコラムは終わりです。有料部分では、かほさんに期待することと、将来かほさんと達成したい夢を書きます。

 ご購読ありがとうございます。
 まずは、かほさんの今後に期待することです。

ここから先は

1,105字
スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費するのではなく旅によって価値を生み出していくことを目指したマガジンです。 毎月15〜20本の記事を更新しています。寄稿も随時受け付けています。

サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…

文章や音声コンテンツが面白いと思った方は、是非サポートをお願いします!コンテンツづくりのための経費や投資に使わせて頂きます。用途については不定期でnoteに公開します。