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サッカーライターは結婚したらおしまい?

 昨晩、新進気鋭の炎上ライターたちと、炎上の先輩として話していたのだけども。サッカーライターをやっていくなら家庭があるのは足かせなんじゃないか、中村も結婚していないほうが活躍できたんじゃないかという説が出た。

 華の独身男性たちにそう言われたとき、ぼくはどう思ったか。やっぱりこういうときはYes and No.

Yes.
結婚するべきではなかった。

 ライターという職をクズ方面で極めていったときにいきつくのは太宰治作戦。女性の世話になりながら、ヒモ稼業をこなしつつ、ライティングもしていくという生き方。作業時間は取れるし、身の回りの世話もしてもらえるし、お金も出してもらえるかもしれない。

 ヒモになるほどの魅力がなかったとしても、少なくとも自分一人だけのペースで仕事をしていけるし、やりたいことも自由にやれる。

 現実問題として、もしもぼくが一人身のライターだったら、全国のいろいろなゲストハウスを渡り歩いて仕事をしていることだろう。松本のことが好きになったとき、どうにかして松本に移住できないのかと考えたけど、そこは身軽ではなかった。

 人間万事、塞翁が馬。松本に移住して、松本に接していたら、松本に飽きる瞬間も来ていたかもしれない。移住してみたいというのはあるものの、それが答えではないと思う。ぼくのホームタウンはシャイアにある。ホビット荘、西葛西。ここを基準に日本や世界をみるのがぼくのやり方なんだろうと思う。

 自分がうまくいっていない理由を考えようと思ったらいくらでもできる。学歴。例えば東大の中にも学歴コンプレックスがある。僕は東大の学内で学歴コンプレックスを受けることがあった。学部卒はエリートだよねって。要するに大学院から東大に入った人は、コンプレックスを感じるという話なのだそうだ。学歴ロンダリングって言われることがあるからなのだろうか。

 ぼくは学歴コンプレックス皆無なのだが、出身高校にコンプレックスを感じて詐称している人もいた。そこそこの私学出身なのに、開成卒だと言い張って速攻でバレた。そりゃバレるよね、1学年に100人以上開成がいるのだから。

 結婚したこと、子どもがいることが足かせで自分はうまくいかなかった。そんなことは考えたこともなかったが、確かに別の世界線で、ABテストのようにシミュレートしてみたら、結婚していないほうがうまくいったかもしれない。うまくいかないかもしれない。実際のところはどうだろうか。

No.
結婚するべきだった。

 結婚したことで可処分時間も、可処分所得も激減した。もしかしたらぼくは不幸に見えるかもしれない。

 だけど、僕は今の家族に会えたことが人生でもっとも大切なことだと思っている。特に息子と娘。この2人はかけがえのない存在で、この2人に会えない人生なんてありえない。生まれ変わってやり直せるチャンスがあり、他のどんな人生を用意されたとしても、ぼくは2人の子どもを見守って生きていきたい。

 子どもたちは、ぼくの大事な友達なのだ。ま、成長したらあとは勝手にしたらいいさ、こっちはこっそり見ているだけだから。

 子どもたちへの愛情が生じた時点で、僕はもう人生をやり直すことができなくなった。どれだけめぐまれた人生であっても、子どもたちに会えないのは駄目だ。

 そんな子どもたちは、僕から時間とお金を奪いに奪ってくる。確かに足かせと言えば足かせなのだろう。だけど、子どもたちは僕に大事なものをくれた。

 ぼくが生きている世界は、子どもたちが将来生きていく世界だ。だから、その世界が少しでも良くなるように、責任を持って、一生懸命仕事をしないといけない。

 ぼくがサッカーと地域のことを主課題にしているのは、稼げるからではない。いやいや、この世で最も稼げないテーマの一つだと思う。毛はえ薬とか出会い系とか仮想通貨について書くほうが同じ労力で50倍稼ぐことができる。

 だけど、スポーツと地域についての文化を一つ推し進めて、日本の礎として強化していくことがぼくの使命だ。サッカーだけに限定する必要はないが、僕の専門はサッカー。サッカーを通じて、地域の人がつながり、地域同士が繋がり、日本中に共感と信頼のネットワークができる。

 それはきっと、いつか来る大災害や、戦争のときに、みんなの命を守ってくれるはずだ。もしかしたら、それによって子どもたちの命も守られるかもしれない。

 2011年3月。大学院修士課程で優秀な成績を収め、奨学金返還免除となった。わかりやすく言うと首席卒業のようなものだ。東京大学大学院農学生命化学研究科。よくテレビに出ていた桝 太一アナウンサーの後輩にあたる。

 3月11日。巨大な震災が日本を襲った。怖かった。逃げ出したかった。みんな怯えていた。そんなとき、ぼくに出来ることはあまりなかった。もしも自分が表現者であれば、もっとみんなを励まして勇気づけることができただろう。何もできない自分が悔しくて仕方がなかった。

 紆余曲折があって、大学院をやめることになった。正直研究していくモチベーションは潰えていたし、今思うと脳の状態もまずかった。ただの抑うつ感くらいだろうと思っていたのだが、かなり重度のうつ病になっていたようだ。もっともそのことに気づいて治療を始めるのは6年後になるのだが……。

 その時はよく、頭の中に声が聞こえて、その声が議論するようになっていた。頭の中がうるさいのである。

 あとから調べると、それは統合失調症の前駆症状となるものらしく、脳は限界を超えていたのだろう。当時の大学院は10年後の今の基準だと、ありとあらゆるものがハラスメントに抵触するようなものばかりだった。もっとも、その時までは普通であったのだが。

 それでも研究者になろうと考えていた自分にとって、やめるのは大きな大きな決断だった。
 
 背中を押してくれたのは、生まればかりの息子だった。小さな小さな子どもは、産道を抜けてくるときに突っかかって、心臓が止まりそうになった。それでも何とか持ち直して、生まれてきてくれた。生まれたての子どもを抱きしめて、ぼくは誓った。

 ぼくは夢を追って生きる。誰に何と言われようと、自分が好きなことをやりぬく。やりたいことをやって生きる。パパの背中をみて欲しい。人生は自由だってことを学んで欲しい。君に高価なおもちゃは買ってあげられないけど、その代わり、夢を持って生きる人生というのを見せてあげようじゃないか!!

 ダイノジ大谷さんのラジオ番組ゲスト出演させてもらったとき、このときの話になった。子どもが生まれたと同時に夢を追う人生をスタートさせた。ぼくがそう語ると大谷さんは「普通逆じゃないの?」と問い返した。

 そうかもしれない。子どもがいるから夢を諦めて、堅実に生きる。そうかもしれない。でも、それは駄目だ。愛する子どもを、夢を諦める言い訳にしてはいけない!!

 ぼくは子どもたちに成功する姿を見せたい。大きくなったら僕が書いた本を読んで欲しい。僕がサッカー仲間に囲まれて楽しそうにしている姿をみて欲しい。こういう生き方っていいなと思って欲しい。

 パパは勉強しろとは言わない。しかし、Youtube見てるんじゃなくて、自分で番組を作れ!と言う。表現者としての生き方を教える。

 息子の作ったYoutube番組はゲーム実況が中心で、クラスでは人気者なのだそうだ。ただ、もっとうまく動画を作る子どもが出てきて、そこで人気を取られて悩むこともあるだろう。だけど、息子よ、そのときはパパに頼るがいい。発声の仕方から、構成の組み方まで全部教えてあげるから。

 娘との物語はこれから。やっと小学校一年生。息子よりも気難しくて大変だ。女の子の本音は怖い。でも、パパにとても似ているところがあるから、大喧嘩しながらも、きっと良いパートナーとして生きていけるはずさ。

 ぼくは打算で育児をしていない。結婚も同様。生まれてきたので育てている。それだけだ。
 
 一方で、子どもたちに育ててもらっているのも事実。子どもたちは、中途半端だった僕を、1人の父親にしてくれた。愛を教えてくれた。愛は概念ではなく、具体的かつ過酷な生活の中にあることを教えてくれた。
 
 時間もお金もない。余裕もない。まだ具体的な成果は出せていないし、作った会社も好調とは言えない。Twitterを開けばぼくの悪口を言う人がわらわらいる、そんな瞬間もある。

 5chにスレが立ったこともある。

 だけど、僕は負けない。絶対に自分の人生を諦めない。もしも命が尽きつつあって、絶望が目の前にやってきたとしても、最後の最後まで決して夢を諦めない。

 脳が動く限り、指先が動く限り、文章は書ける。絶対に諦めない。そんな気持ちがもてたのは、家族がいるからだ。家族がいないほうがうまくいったかもしれない。それはそうだ。可能性としてはそうだ。

 だけど、ぼくは、家族に成功を見せるために頑張っている。お祝いで旅行に連れて行ってあげるのだ。もう2年近くどこにもいっていないから。

 僕は文章を書く。物書きとして生きていくことを決めたからだ。そして、その文章を残していくために本にしていく。

 若きライターは言った。ライターに必要なのは信念だと。

 その通り、人気やコネクションなどの何の役にも立たない。信念が大切。それこそが唯一無二の武器なのである。

結論
結婚するのも人生。しないのも人生。
子どもがいるのも人生。いない、作らないのも人生。
どんな人生であろうと生きていくのは自分だ。自分の人生の責任を取れるのは自分しかいない。

環境のせいにすることはできる。
とても簡単な言い訳だ。

しかし大切なのは環境を利用することだ。
自分の周りの環境を味方につけて、自分だけの方法で、高く跳べ!!




ライターってなんだろうみたいな話を西葛西出版のホームページではじめたので、是非ご覧ください。

https://youtu.be/2GvipJ_n4rg

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