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旅とサッカーを紡ぐOWL magazine、コロナ禍を越えて旅への回帰!!

 OWL magazine読者の皆様、こんにちは!!

 OWL magazine代表の中村慎太郎です。最近はぼくがいなくてもだいぶ運営が回るようになってきたのですが、やはり大なたを振るう役は必要になってきます。

 というわけで……。4〜6月を目処にOWL magazineの紙面を大きく変えていくことになりました。最大のテーマは……。


「旅への回帰」


 OWL magazineは旅とサッカーを紡ぐウェブ雑誌なので当たり前といえば当たり前なのですが、そうも言っていられない事情がありました。

 OWL magazineの創刊が2019年の2月ですが、翌年の2月頃からコロナ禍が騒がれはじめ、2020年の3月には東京都などに緊急事態宣言が出されました。これによって「旅」というテーマが封殺された状態で、2年間続けてきました。

 もちろん、間隙を縫って旅をしてきましたし、旅記事も少しずつ出せるようになってきました。しかし、基本的には旅ができない前提で記事を作る「習慣」が、OWL magazine内に生まれていたように思います。

 思えばぼくも本格的な旅記事はしばらく書いていません。OWL magazineで記事を書くことを想定して旅をする機会もめっきり減りました。その背景にあったのは、やはり、旅がしづらい世の中であったことです。不思議なもので、その気になれば旅ができないことはなかったのかもしれませんが、自粛自粛のムードの中で、思い切り旅を楽しんで表現しようという気力も失っていたように思います。

 実際に旅先に赴いても、会話はなるだけしない、お酒もない、もし飲んでもおおっぴらには言いづらい。スタジアムにもサポーターの声がないなど、なかなか気持ちをあげづらい状況でした。

 また、本業にしていたタクシー運転手が打撃を受け、月給が10万円を切るような月もできてしまったのも痛かったです。これはぼくだけではなく、多くの人が何らかのダメージを負っていて、旅を楽しむという空気感が薄れていました。

 ぼくはタクシードライバーをしていたから身をしみて知っています。弊社のタクシーではお客様が降りた後に、大まかな属性を入力する画面が出ます。「ビジネス」「お買い物」「通院」「飲んだ帰り」などなど。そのなかに「国内観光」と「国外観光」という項目がありました。

 2020年、一度も「観光」のボタンを押しませんでした。

 2021年になってコロナの切れ目の時に、東京駅からスカイツリーなどの観光客とおぼしき方や、某所から武道館までという方にもご乗車いただきました。

 本当はコロナ禍の重苦しさをサッカーや、サッカー旅のマガジンであるOWL magazineが打ち払っていけたら良かったのでしょう。しかし、力不足でした。コロナ禍の中で旅の記事が書けない……。

 そんな状況に対応するため、OWL magazineは「旅とサッカー」から「サッカーの話ならある程度なんでもOK」という方向性にシフトしていきました。

 今思うとそれは正解ではなかったのかもしれません。旅ができない中でも、旅を追求するべきだったのかもしれません。ただぼくは、コロナ禍東京の最前線で、緊急事態宣言のなかで新宿歌舞伎町でお客さんを探していました。そういう中で、旅の記事を書く気分になれなかったというのは正直なところです。そして、その感覚は多くの人に共通していたことでもあると思います。

 だからまぁしょうがなかった!!

 けど、これからは違う!!

 というわけで、4月からのOWL magazineは、旅のマガジンへという色合いを強く打ち出していこうと思います。旅記事と言っても、純然たる旅記事だけが該当するわけではありません。旅にはコストがかかります。金銭的にも、時間的にも大変ですし、書くのも大変です。

 中村の場合、執筆速度が半分から1/4くらいまで落ちます。旅の記事は難易度高いのです。だから、なかなか真似されませんし、価値も高いと思っています。なかなか書きづらい旅記事ですが、OWL magazineには、旅の記事を書いていくノウハウが蓄積されています。だから、サッカー旅の本『すたすたぐるぐる』を作ることができました。

 旅記事が書きづらいというところに少し補足すると、時系列でできごとを書いて写真を並べるだけの記事なら簡単に作れます。しかし、それでは何も面白さがありません。紀行文は、客観的な叙述ではなく、極めて主観的な世界の切り抜き行為です。

 単に出来事を書いていくだけでは何も面白みがありません。そこに主役となる「私」の、一貫した視点が介在していく必要があります。ここが非常に難易度が高いところなのですが、『すたすたぐるぐる』の文章はすべてこの水準をクリアさせています。だからとても面白い、と作り手としては思っています。

 OWL magazineは旅に回帰していきます。それがわれわれの本質的な課題だからです。紀行文以外の記事にもなるだけ旅の要素をいれていこうと思います。もっとも旅というものには、「旅に出る人」と「旅を迎える人」という考え方があります。要するにヨソモノとジモトの2つにわかれます。OWL magazineでは、旅に出る人と迎える人の両面を大切にするというコンセプトをずっともってきましたし、それは書籍『すたすたぐるぐる』にも反映されています。

 長野パルセイロと松本山雅の古参サポーターの文章がともに掲載されている本はこの世のどこにも存在しません。しないですよね?

 さておき、旅への回帰と共に、「毎日更新」を捨てて、記事数を絞ることもやっていこうと思います。毎日更新は、コロナ禍の中で、OWL magazineの著者人の執筆体力を大いに高めてくれました。一方で、文章の品質が一定にならなくなったし、記事が多すぎて読みづらいマガジンになってしまったという問題点もあります。

 今後のOWL magazineは、記事数が減る代わりに、クオリティをしっかり高めて出していくという方針にしていこうと思っています。最終的に月何記事を出すかははっきりしないのですが、15〜20記事という創刊時のラインで落ち着かせるのがよいのではないかと思っています。このあたりは、編集部でさらによく話し合って決めていきたいと思います。

 記事数が減るといっても、新しい書き手を見つけて育てていくというOWL magazineの使命を忘れるわけにはいきません。新しい人がデビューしやすいマガジンという性質は担保できるように努めたいと思います。

 OWL magazineの歩みもまさしく旅そのもので、多くの道連れができます。喧嘩別れもありましたが、とても良い仲間ができました。ぼくはOWL magazineのメンバーが大好きです。トリッキーすぎてどうしたものか頭を抱える人もいますが、それでももっとみんなで歩んでいきたいと思います。

 読者の皆様にとって最高の道連れとなれるよう、気を引き締めてやっていきたいと思います。今後ともご愛顧をお願いいたします。

中村慎太郎

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