EURO2020世代交代
EURO2020開幕前に、優勝候補の筆頭はフランス、ポルトガル、ベルギーだと思っていた。
これらのチームの方が、完成度や成熟度で上回っていた。
ただ蓋を開けてみれば、スペインやイングランドやイタリアといったチームが勝ち残っている!!
今大会においてスペイン代表はそれほど期待されていなかった。
アイメリク・ラポルト(マンチェスター・シティ)、エリック・ガルシア(シティ)、パブロ・サラビア(パリ・サンジェルマン)、フェラン・トーレス(シティ)らは所属クラブでレギュラーの選手ではない。
ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)、パウ・トーレス(ビジャレアル)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)といった選手はビッグクラブでプレーしているわけではない。
加えて、今回の招集メンバーには、レアル・マドリーの選手が一人もいなかった。(初めてのこと)
セルヒオ・ラモスの不参加が話題を呼んだが、ナチョ・フェルナンデス、マルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケスらも呼ばれなかった。
黄金時代のスペイン代表は、主力メンバーはバルセロナとマドリーの選手で固められていた。当時のバルサとマドリーはチャンピオンズリーグの上位進出チームの常連だった。
イタリア代表も2006年ドイツ大会での優勝を最後に、イタリアは栄光から遠ざかった。その後の2大会ではグループリーグ敗退。そして2018年、予選敗退の屈辱にまみれる。こうした長期の低落の原因は、非常に根深いものがある。
イタリアサッカー連盟は将来への投資を、長く怠ってきたからだ。タレントの育成はクラブにほぼ丸投げの格好だが、こちらも目先の勝利にこだわるあまり、手っ取り早い外国人への投資が主流に。その結果、セリエAのイタリア人出場率は5割を大きく割り込むことになった。イタリア人が出られないセリエA。こうなると若手は出番に恵まれず、伸び悩む。この厳しい現実が、代表チームに影を落としていた。
ただ今回のEURO2020の大会では、徐々にだが、若手が台頭してきている。
若手主体で攻撃的でモダンなプレイスタイルも好感を高めた。世代交代が進むなかで、チームは自信を取り戻している。
スペイン、ドイツ、フランスとW杯では最近3大会、育成によって世代交代に成功した国が優勝している。そしていま、育成がもっとも上手くいっているのがイングランドだ。
勝てそうで勝てない悪循環を食い止めるため、FA(イングランド・サッカー協会)は育成に本腰を上げる。
2012年にはフランスの強化基地クレールフォンテーヌを参考にした、最新鋭のナショナル・トレーニングセンターをオープン。それまで年代別に分かれていた代表チームの活動を一元化した。
環境だけではない。敢闘精神とフィジカルに頼りがちだったプレイスタイルにもメスを入れ、データやテクニックを重視したポゼッションスタイルを導入。中長期スパンの育成指針を策定し、クラブと足並みをそろえて強化に乗り出したことで、従来とは一線を画したスキルとイマジネーションを備えた若手が生まれるようになった。
この改革は、トレセン完成の5年後となる2017年に結実する。
この年、イングランドはU-17W杯、U-19欧州選手権、そしてU-20W杯の3大会を制覇。歩んできた道のりの正しさが証明された。
最新鋭のトレセンがあり、質の高い外国人選手、指導者が集まるプレミアリーグは、出場機会確保の難しさを除けば最高の環境といっていい。
前の記事にも書いたが、イングランドの経済効果や育成部門など、今後のイングランド代表は楽しみであり、今回の優勝国に僕が押すのはあらゆる点で施策や政策が実り始めているイングランドを推したい!!
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