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過去の思い出 2019年 第64回 有馬記念

過去のレースの思い出や馬券自慢を勝手に語ってみる企画。
前回に引き続き有馬記念を振り返るが、今回は2019年の有馬記念を振り返る。


過去の思い出と言っても僅かに3年前の2019年であり、記憶にも新しい所ではある。ただレースのインパクトそのものは非常に大きかったレースで、ちょっと振り返ってみたいと思う。

この年の有馬記念は10頭ものG1馬が参戦しており、その中でも前年度の牝馬三冠馬のアーモンドアイが断然の1人気。この2019年も春にドバイターフで海外G1を制し、秋には天皇賞秋で1.56.2のタイムで圧勝していて、国内には敵なしの状態。単勝1.5倍の1人気も納得の状態ではあった。

これに対して2人気以降は混戦模様。春に宝塚記念、秋にコックスプレートという豪州G1を制して勢いに乗るリスグラシューが2人気、この年の皐月賞を制した3歳馬のサートゥルナーリアが3人気。4人気以降は10倍以上のオッズになってその年の菊花賞馬であるワールドプレミア、ジャパンカップを制していたスワーヴリチャードが5人気に甘んじるという状況だった。

ちょっとココからは当時の個人的な見解の話に。
当時は「羽柴の隠れ家」というブログで出走馬分析と予想を掲載していた時期。その時に分析や予想でも指摘したが、アーモンドアイの中山適性への疑問と持続力勝負になりやすい展開への対応に?という視点で見送りの方向としている。2人気のリスグラシューもまだ左回り巧者のイメージは強かったしし、持続力勝負でどうか?という見解で同じく見送りとしている。
これら1.2人気馬を無視して個人的に上位に推したのは内枠から上手く立ち回れる◎フィエールマン、同タイプで中山で更に前進が見込める○サートゥルナーリア、3歳秋になって急激な進歩が見られた菊花賞馬の▲ワールドプレミアだった。

話は肝心のレースの方に戻る。
レースは先手を取ったアエロリットが途中から後続を大きく引き離しての逃げになってハイペースに。2番手以降の集団もつられて速いペースとなって後半の持続力勝負の展開。

その後半持続力勝負の展開の中で2周目3角で各馬が動き出すが、ハイペースの流れですでにこの時点で手応えに余裕のない馬が続出。そんな馬を尻目に中団外目からアーモンドアイ、フィエールマン、サートゥルナーリアが揃って手応え良く進出し、3頭が並んで直線へと向かう。直線では内のアーモンドアイが直線序盤の反応で僅かに見劣り、半ばから最後の1Fですでに余裕が無くて後退モードに突入。代わって外からフィエールマンとサートゥルナーリアの2頭が伸びを見せるが、外のサートゥルナーリアの方が更に伸びを見せて来る。

しかし残り100mほどでいつの間にかサートゥルナーリアの外にいたリスグラシューが豪快な伸びでを見せてアッサリと交わすと、そのままゴール前にかけてグングンと突き放していく。これに他馬は全く抵抗できずにただ見送るだけ。リスグラシュー自身もゴール前では流す余裕すらあって、鞍上が勝利のポーズで左手を挙げたままゴールする。

終わってみればリスグラシューは2着に5馬身の差をつける圧倒的勝利。道中は中団内目で進めて3~4角も内々を回る形だが、3~4角で持ったままで押し上げて行ったのが印象的だった。さらに4角から直線入口でのコーナーリングが嵌ったというか、かなり強引な進路変更とも受け取れる手綱捌きで一気に大外へ誘導。自身にも十分すぎる余裕があったのか追われてからの反応と加速で明確な違いを作り出し、最後の1Fで先頭に立つと簡単に後続を突き放す内容での勝利。

ここで再び個人的は話に…。
個人的に1人気アーモンドアイ、2人気リスグラシューを蹴飛ばしての馬券で勝負しており、1人気アーモンドアイが最後失速した時は会心の勝利を確信。4角~直線ではアーモンドアイの外に◎フィエールマン、○サートゥルナーリアが居て、こりゃ本線で的中(当然本線だと投資金額も他の馬券とは違う)だしデカイで…と思った矢先に外から赤い帽子が一頭(リスグラシュー)アッサリと突き抜けて行った時の衝撃というか絶望感は忘れられない…。
 
タラレバを承知で言うと…もしもリスグラシューも来れていなかったら、○-▲-◎での決着で馬連、3連複もそれぞれそれなりの馬券にはなっていたはず。1人気を蹴飛ばしてその1人気が来なかったのだから当たるだろうと思ったのに、それをリスグラシューに完全に打ち砕かれた格好。しかも5馬身差(0.8秒差)の圧勝で、前述のようにタラレバとか仮定の話を出来るようなレベルではない完敗の内容である。

でも、でも、それでも言いたいんだよね。惜しかった、コイツさえ居なければ…と(笑)

勝ったリスグラシューに関しては、実は2走前の宝塚記念で右回りでのロングスパート戦で強い内容を見せていたというのはあった。それにしてもハイペースで持続力を問われた中でここまで圧倒的な強さを示すとは想像も出来なかった。3~4歳時は実際に右回りで甘くなる事も多かったし、ましてや2500mでの持続力勝負、さらに現役最後のラストランでこんな走りをされるとは…という感じ。後になって振り返れば宝塚記念の3馬身差をもっと評価すべきだったし、3歳時の秋華賞でも後半持続力勝負で内容を示してはいたのだが…。

1人気のアーモンドアイは1.8秒差の9着に敗退。勝負所の3~4角から直線序盤までは流石の内容を示したが、最後の1Fでビタっと止まった。鞍上も最後の1Fはもう諦めていたし、4角での手応え的にすでに怪しかったのだろう。アーモンドアイは結果的に掲示板を外したのはこの有馬記念のみ。以降すべて東京コースでしか走ることは無く、コース適性とスタミナや持続力を問われる形に不安があった事を示していると思う。

2着サートゥルナーリア、3着ワールドプレミア、4着フィエールマン、5着キセキは揃って翌年も活躍。ワールドプレミアは2021年度の天皇賞春を、フィエールマンは翌年の天皇賞春を制している。

6着シュヴァルグラン(17年JC勝ち馬)、7着レイデオロ(17年日本ダービー、18年天皇賞秋勝ち馬)はこの年の有馬記念が現役最後のレース。当時3歳だった8着のヴェロックスはこのレース以降にスランプモードに突入。クラシック善戦マンの片鱗を見せることなく22年に現役を引退。また11着アルアイン(17年皐月賞、19年大阪杯勝ち馬)、スワーヴリチャード(18年大阪杯、19年JC勝ち馬)、アエロリットもこのレースを最後に現役を引退。10頭ものG1馬参戦して盛り上がりを見せたレースではあったが、終わってみれば世代交代を象徴するレースだった。
 



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