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映画レビュー キャスト・アウェイ

今回の映画レビューは2000年公開の「キャスト・アウェイ」。

監督はバック・トゥ・ザ・フューチャーやフォレストガンプなどでCGを駆使した作品を多く手掛けているロバート・ゼメキス。主演はフォレストガンプにも出演していたトム・ハンクス。

物語は大手物流会社のエンジニアである主人公(トム・ハンクス)が飛行機事故に遭ってしまい、たった一人で無人島に漂着する。その無人島で何とか生き延びて、恋人の元へ戻る為の必死の努力を続ける…というもの。サバイバルの映画と言ってもいいと思う。

無人島生活の描写は丁寧で、次々に困難な状況を迎えてこれに必死に対応していく主人公の姿は、見ている側にいろいろと考えさせられる。水の確保、食料の確保、火の起こし方など生きていくために必要な要素は本当に多い。しかも島からの脱出の為に筏を組み、時季を読んで(風を読んで)脱出に成功する。自分ならたった一人で対処できるのだろうか?生き抜く事が出来るのだろうか?という思いを強く抱きながらの鑑賞となると思う。

舞台は無人島で一人で生きていく…と言う中盤のシーンは本当に静か。中でも音楽に頼らず自然の音と話し相手が居ないので主人公の微妙な表情だけで乗り切っているのは凄い。物語の途中である出来事からウィルソンという相棒(話し相手)が出来るのだが、それまでの主人公の苦悩と思考などはトム・ハンクスの演技によって成り立っている。他の映画でこういう感じのはあまり見た事がない…(あくまでも個人的には)。

また音楽の使い方も効果的。無人島時代はほとんど自然の音のみを使っているが、ほとんど唯一と言っていいこの映画の音楽(メインテーマ?)はここぞという場面にのみ使用される。○○○からの脱出、○○○○○との別れ、そして帰還後の○○との別れ、そしてラストシーンの十字路。最後の十字路でのシーンを別れと受け取るかどうかは判断が分かれると思うが、それでも主人公の重要な転機の際のみに流れるあの重厚感ある音楽は実に効果的に感じた。

物語のラストは切ないものである。必死の思いで帰還したにもかかわらず、主人公を待ち受けている現実は辛いものだった。それでもその現実を冷静に受け止めめようとして、恋人とは別々の道を歩む為の決断をする一連のシーンは感動的。しかしやはり見ていても辛いシーンでもある。後に友人宅に行っての回想で「4年間過ごした島ではずっと傍に居てくれたから…」と語る主人公が非常に印象的だった。その無人島からの脱出への執念はすべてが恋人の存在があったから…というのが分かっているだけにホント切ない…。

個人的にはこの作品は何度も何度も見た作品で、自身の人生の転機というか大きな節目には何故か見たくなる映画だった。そのおかげで今の自分がある…など大きな事を言うつもりは無い。ただ困難や不安を乗り越える為のほんの僅かな勇気や希望、そして僅かな希望と前向きさを与えてくれた作品だったと思う。




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