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過去の思い出 1994年 第55回 優駿牝馬

過去のレースの思い出、馬券自慢を勝手に語ってみる企画。
今回は1994年のオークスを振り返る。


この1994年は笠松競馬出身でオグリキャップの妹であるオグリローマンが桜花賞を制して話題となった年。オークスもオグリは人気の中心であり当然の1人気だが、桜花賞上位馬が意外とオークスに出走してこなかった影響もあって、2人気は忘れな草賞勝ちのチョウカイキャロル。3人気はフラワーC勝ちのオンワードノーブルで、4人気にようやく桜花賞組(8着)のアグネスパレードがいるという人気順。ただオグリローマンも確かに1人気ではあったが、単勝は4倍台で2人気のチョウカイキャロルとはさほど差が無い人気。フラワーC勝ちのオンワードノーブルが3人気は理解できるとしても、4人気のアグネスパレードが桜花賞8着という成績で、共に単勝は6倍台であり、意外と混戦模様という感じがあったレース。

レースの方はメローフルーツナガラフラッシュが先行し、これにテンザンユタカが加わるなど桜花賞組が積極策を見せてレースを引っ張る展開。結局前半5Fは60.4秒で、全体バランスで見ても結構流れる展開を演出。しかし3角過ぎで先行馬はバテはじめ、これを外からメモリージャスパーチョウカイキャロルら先行集団直後で運んでいた組が4角で馬なりで進出してきて先頭集団に加わる。直線はメモリー、チョウカイらが4角からの勢いそのままに先頭に躍り出て長い直線での叩き合い。直線の半ば以降ではこの2頭で決まるかに見えたが、最後の100mで大外から差し込んできたのがゴールデンジャックアグネスパレードの2頭。脚色的にも差し切ってもおかしくない感じだったが、内目に進路を取っていたチョウカイキャロルが最後まで粘り込み、これらの差し馬を3/4馬身封じての勝利となった。

今から思えばハイペースの流れからかなり高い次元での持続力勝負になっていて、これを中団前目から押し切る形になったチョウカイキャロルの持続力の高さを示した事になる。後のエリザベス女王杯、中京記念での好走時もハイペースの後半持続力勝負寄りの展開であり、持続力勝負を得意としていた事が分かる。

チョウカイキャロルは重賞未勝利馬ながらのG1制覇。忘れな草をステップにした馬の中では初のオークス制覇となったと記憶している。また1994年当時は3歳牡馬クラシックでブライアンズタイム産駒のナリタブライアンが活躍(このオークス時は皐月賞を制しただけだったが)。前年(1993年)のトニービン旋風に続く形になって、ブライアンズタイム産駒の90年後半から2000年代初めの活躍を予感させる結果となった。

個人的馬券の感想ではこの時◎チョウカイキャロルから入っての馬連流し馬券。2着ゴールデンジャック、3着アグネスパレード、4着メモリージャスパーのすべてを相候補として買っていて、ゴール前はも何が来ても的中するという激アツモードだったのを覚えている。しかし後に改めて見ると、チョウカイキャロル自身が大外の2頭(2.3着馬)に交わされる危険性もあって、最後はチョウカイキャロル自身もバテ気味になっていたので結構危険な状態だったのを認識。

また今にして思えば1人気のオグリローマンから入っていなかったこと自体が結構不思議なんだよね…。当時の競馬新聞(当時は競馬エイトを愛用)ではチョウカイキャロルに黒二重丸が何個か入っていたのが最大の理由だったような気がする。

勝ったチョウカイキャロルはその後に秋のサファイヤSをステップにエリザベス女王杯(現秋華賞)に参戦も2着惜敗。ただ直線ではあのヒシアマゾンとの壮絶な叩き合いの結果、ハナ2着に敗れたものの今でも名勝負のワンシーンとして語られる事も多い。その後は年末の有馬記念にも参戦したが8着に敗れ、翌年は牡馬相手に重賞戦線で活躍し、3月には中京記念を制するなどした後に宝塚記念に参戦も12着敗退。その後病気のために休養したが回復しきれずに現役を引退。翌年に繁殖入りしたが目立った産駒を輩出できず、2012年に繁殖牝馬を引退し2019年に肺炎の為亡くなった。

2着ゴールデンジャックはその後比較的長く現役で活躍。阪神牝馬特別3着、小倉記念2着、マーメイドS2着など掲示板に載る所までは走ったが、勝ち切ることはできないまま97年に繁殖入り。代表産駒にはマイル路線で活躍したサイドワインダー(重賞2勝)がいる。

3着アグネスパレードは秋にエリザベス女王で3着に来たし、その後の重賞戦線でも一定の活躍を見せた。ただ95年の秋以降は成績が伴わずに現役を引退も繁殖入り後は芳しくないまま終わっている。

4着メモリージャスパーはエリザベス女王杯で4着に来るなどの健闘を見せた後、阪神牝馬特別(現阪神牝馬S)でアグネスパレード、ゴールデンジャックらを抑えての勝利。翌年の古馬牝馬路線での活躍が見込まれたが、残念な事に春に放牧先で急死している。

その他敗退組では6着のツルマルガール、17着大敗のテンザンユタカが重賞勝ち馬に。ツルマルガールはこの年の朝日チャレンジカップで古馬相手に快勝。しかしその後長期休養に入って翌年復帰も結果を残せずそのまま引退。しかし繁殖牝馬としては安田記念勝ちを含む重賞3勝のツルマルボーイを輩出している。テンザンユタカはオークス後も夏から秋にかけてずっと走り続けて、秋にサファイヤSを制覇、さらに12月には愛知杯も制してこの年重賞2勝。ただ翌年以降は活躍できずに96年の中日新聞杯を最後に引退している。

さてさてこのレースで1人気だった注目のオグリローマンは12着敗退。勝ったチョウカイキャロルとの着差は2.2秒で、距離的な要因が大きく出る形の内容だった。秋もローズSからエリザベス女王杯へと向かいが共に大敗。年末の阪神牝馬特別でもオークスで後塵を拝したメモリージャスパー、アグネスパレード、ゴールデンジャックらに全く歯が立たない状況で3.1秒差の13着殿負けを最後に現役を引退する。繁殖入り後は毎年のように産駒を出したが、目立った活躍馬を送り出せず。詳しい事は分かっていないが、2015年に亡くなったと聞いている。



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