鳥の運んだ種が地に根づき、我が世の春と咲き誇る皐月の花が散っていく。青々と生い茂る葉々と相対し、散りゆく花の美しさ。薄桃色の花弁の落ちるその先は、ひやりと冷たい石畳。虫達の注目を浴び、役目を終えた花たちは、こうべを垂れて朽ちてゆく。今度の種は、鳥に替わってこの手で土に還そうぞ。
ファーストキャリアは東山三十六峰と鴨川とともにありました。喜びも悲しみも幾年月の21年。わたしのすべてを注ぎこんだ場所は半分更地になっていました。 『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず』という諸行無常。 成仏しきれていない想いは、またそっとしまって家路につきました