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#読書感想文

本を読んで感じた気持ちや考えたことを、言葉にしてnoteに残してみませんか?おもしろかった本の感想や学びを「#読書感想文」で教えてください!

人気の記事一覧

又吉直樹「火花」読書感想文

読んでみると、おもしろいの一言しか感想が浮かばない。 それでは読書感想文にならないので、もっと考えてみた。 まずは文章のテンポがいい。 セリフがアクセントになっていて、読んでいて気持ちがいい。 話すことを仕事としている人の成せる技なのか。 148ページという短い物語の中に、20歳から32歳までの12年間の場面が、流れるよう書かれて収まっている。 あとはなんだろう。 以外なおもしろさ、というのはある。 ギャップというか、落差というか。 話題づくりの、陳腐なタレント本かと

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司馬遼太郎「草原の記」読書感想文

空想に付き合っていただきたい。 という書き出し。 次に1行が空く。 モンゴル高原が天に近いということについてである。 と続く。 それからの語句のチョイスがいい。 天、空、馬、草、という語句が、モンゴル高原の様子を目に浮かばせる。 なんか詩的だ。 今回の司馬遼太郎は。 この本を目にしたときから、絶対におもしろいだろうなと思ったのは当たりだった。 というのも。 司馬遼太郎は、大阪外語学校で蒙古語を専攻していた。 作家になるずっと前から、モンゴルに興味を抱いていた。

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東野圭吾「手紙」読書感想文

ほとんどの受刑者が読む本ではないのか? 差入れ本の中では、この『手紙』がダントツに多かった。 1週間に1冊か2冊は、差入れされてるのを見かけていた。 2年目からは図書係も兼ねていたから、この本を目にする度に『また “ 手紙 ” が入っている』とずっと思っていた。 受刑者は、差入れされた本は必ず読む。 好きじゃないから読まない、なんてことはない。 本とは、これほどうれしく感じるものなのか。 力が沸くものなのか。 いつも手にする度に思っていたし、皆の様子もそうだった。

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本屋大賞2024

ノミネート作すべて、無事読破📚 今年はひとりで、ジュッと短期戦でした。 それもまた良きかな。読んだ順。 『リカバリー・カバヒコ』青山美智子 唯一ノミネート発表前に図書館で見つけ、1時間半で読んだ。昨年度ノミネート作『月の立つ林で』と同じ構えをもっていた。『赤と青のエスキース』『お探し物は図書室まで』もそう、もう型が決まっている。短編で、それぞれが繋がっている。誰にでもわかる。ほろほろする。それが悪い、ということがない。安心するし他の作品にも手が伸びやすい。そして今作。不安

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スティーヴン・キング「スタンド・バイ・ミー」読書感想文

初めてのスティーヴン・キング。 映画の原作者とは知っていたし、3本ほど観ていた。 たまたまかもしれないけど、その3本とも、よくわからないまま話が進んで、やがて「軍がきた!」となって、やはりよくわからないまま終わるパターンだった。 それでいて、アメリカでは有名なホラー作家だという。 さらに10年はかかって、映画の『スタンド・バイ・ミー』の原作者でもあるとも自然に知った。 つまりは、興味もなかったスティーヴン・キングだった。 ホラー小説も読んだことがないし、オバケの類は苦

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三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』|読書とはノイズである

映画『花束みたいな恋をした』を下敷きに、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を論考していく一冊。サブカル好きが高じて付き合うようになった麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。しかし、社会人となって働くようになってから、麦はサブカルから離れていってしまう。そこから着想を得て書かれたのが本作らしい。 日本の読書史を振り返っていく構成がすごい。印刷技術の発展によって本が市民のもとに明け渡されてから、現在に至るまでの日本国民の読書の変遷を描いてくれる。見えてくるのは、本とともにいつも

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渡辺淳一「泪壺」読書感想文

渡辺淳一の短編集。 6作が収められている。 短編も好きだし、渡辺淳一も好き。 作品がというよりも、言っていることが好き。 いちばん好きな言葉はなんだろう。 「セックマルは決してエロではない、むしろ人間がいとおしく見える」あたりか。 2014年に80歳で死去したときに、新聞で紹介されていた。 元医者なのだなと、生への俯瞰を感じさせる。 だから渡辺淳一は、男女の性愛をエロの一言で済ませたりしないし、恥ずかしいことだと隠さない。 こんなにも堂々とセックマルについて語れる

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プライドから瞬間移動 ブライトな遊覧飛行

『神野 鼓太郎?』 「ええ。なんか情シス課の人間らしいんスけどね。ウチくる前はかなり年収高いトコにいたらしいっスよ。なんでウチに転職したのかナゾですよね」 『・・へぇ』 亘理の話を聞きながら、私は死んだ親父のことを想い出していたー。 まだ私も小さかった頃なので明確な記憶はないが、親父もそこそこ稼いでいたはずの会社をある日突然たたんだらしい。母の天葉の話しによると、何ら前触れもなく廃業したものだから、当時かなり怒ったと母は少しムスッとした顔で言い放っていた。それからうち

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『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 | 好き(自分の実存)を仕事にする価値観の危うさ|きのう、なに読んだ?

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 。 「疲れてスマホばかり見てしまうあなたへ」。 タイトルと帯文が「私に話しかけてますね…?」と思うほど刺さりまして、他の本を差し置いて読んでしまいました。 本書は明治時代から現代まで人々が「働く」と「読書」をどう捉えてきたか、変遷を分析したうえで現代の状況を捉え直しており、非常に面白かったです。読書論というより「働き方」論、社会論の趣です。 著者の三宅さんは、明治から時代ごとのベストセラーや人気映画・ドラマからその時代の「働き方観

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永遠の今~『シッダールタ』ヘルマン・ヘッセ(改訂)

ヘッセは、詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する作家です。 「シッダールタ」(1922)は、あるインドの求道者が悟りの境地に達するまでの体験を描いた作品です。 ヘルマン・ヘッセ(1877- 1962 ドイツ・小説家、詩人) 様々な職に就きながら著述活動を行い、穏やかな人間の生き方を描いた作品を数多く残した。代表作は他に「車輪の下」(1906)「デミアン」(1919) 「シッダールタ」(1922)「荒野のおおかみ」(1927)など。1946年にノーベル

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【読書】いざってときの捉え方を学ぶ

VISION合同会社 植田仁です。 様々なかたとお会いし、その方のご経歴やキャリア、今何を大事されているかを知ることはとても学びになります。 講演会を開くときにもその学びを分かち合ったりしています。 今回の読書。 著者はクイズがお好きなだけあって、本の読み方進め方もクイズ形式でとても興味深く、一気に読めました。 一流は何を考えているのか その他大勢から抜きん出て、圧倒的な結果を生み出す「唯一無二の思考」著者 西沢泰生氏特に私が学びとなったものを抜粋して取り上げたいと思いま

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人それぞれの、孤独とぬくもり~『伊豆の踊子』川端康成

今回は、「伊豆の踊子」を取り上げます。 あまりに有名な作品ですが、終盤、舞台設定ががらりと変わる鮮やかな数ページを主に、あらためてお伝えできればと思います。 独特な構成「伊豆の踊子」は、作者自身の「半自伝的な作品」と言われています。 文庫版で約30ページほどの短編です。 その大半において大きな出来事はなく、冷めた視線による情景描写と人々らとの会話が続きます。 作品は、起承転結のかたちをとっていません。 この短い話は、主人公である「私」(以下、青年)の旅の途中からはじま

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石川拓治「奇跡のリンゴ」読書感想文

無農薬でのリンゴ栽培がいかに難しいのか。 いや、絶対に不可能といわれていたのか。 誰も考えなくて、挑戦もしてない出来事だったのはよくわかった。 なぜ無農薬で栽培ができるのか、学術的な解説はほぼない。 そもそもが、解明されてない。 はっきりとわかっているのは、通常のリンゴの木の根は数メートルに対して、木村秋則(以下敬称略)のそれは20メートルはあること。 土の中の微生物が多いこと。 虫の生態系や雑草、病気や菌やカビが密接に絡まって無農薬のリンゴができること、とだけはわか

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清水一行「苦い札束」読書感想文

清水一行の初期作品。 6つの短編が収められている。 『昭和の経済事件史』と改題してもいい。 50年以上が経った令和になっても、同じような事件がおきているのが考えさせられる。 ※ 筆者註 ・・・ 以下、長めの要約となってます。もっと短くしようとあれこれしましたが無理でした。スキームを中心にした要約となってますが、本編ではもっと人間が書き込まれてます。清水一行作品に付き物の “ 女 ” も登場しますがカットしてあります。金額は当時のもので、現在に換算すると3倍から5倍に相当し

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白取春彦編訳「超訳 ニーチェの言葉」読書感想文

ニーチェの本となると、読む前から挫折しそうな気が。 でも避けて通れない。 その名前と、昔の哲学者とは知っている 官本室にあってマークしていた本となる。 春の日だった。 手にとってパラパラとめくってみた。 文字量は少なくて、余白が多い。 1ページには抜粋がひとつ。 そこに、数行の意訳があるだけの232ページ。 これだったら読めそうだ。 実際に1時間ほどでペラペラと読める本だった。 読んだはいいけど、どうも抜粋だと頭に入ってこない。 超訳すぎるかも、という感想だ。 1時

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ワクチン解毒方法 第876幕

本日は、大阪市立大学名誉教授の井上正康さん著の『きょうから始めるコロナワクチン解毒17の方法』を、みなさんにシェアしたいと思います。 あのコロナパンデミックで、やむをえずワクチンを打ってしまったあなたに、贈ります。 あなた自身を守る最大の方法、それはこれ以上ワクチンを打たないことです。 1. コロナワクチンとは?コロナワクチンは、多くの人が子供の頃から接種してきたBCG、日本脳炎、インフルエンザのワクチンなどとは根本原理が異なり、全く新しいタイプの「遺伝子ワクチン」であ

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「正真正銘のクソ野郎」の抜け出し方を、オードリー若林さんが教えてくれた

目を疑った。 まさか、私の中の最低な部分をこんなにもそのまま言葉で曝け出してくれる人がいたなんて。 しかもそれは、今までまったくといっていいほど正反対なタイプだと思っていた、とある漫才師の方だったから。 知人がよく読んでいるイメージがあって、なんとなくKindleで注文していた本。 オードリー若林さんが書いたエッセイ集、『ナナメの夕暮れ』だ。 最初は、自分なんかが踏み込めるわけのない芸能界で華々しく活躍する人の心の中を覗き見る感覚だった。 大御所芸人さんとの飲み会につい

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清水一行「銀行恐喝」読書感想文

『不正融資』と改題してもいい。 とある地方銀行の不正融資が描かれている。 1945年の終戦後から、1998年の平成10年にわたる時代の変化が、やがては不正融資となっていく。 作中には “ N県の西海市 ” とある。 これは、長崎県の佐世保市だとは10ページも読めばわかる。 巻末の解説では、同じく作中にある “ 西海銀行 ” とは ” 親和銀行 ” だと明かされている。 1998年の『親和銀行不正融資事件』だ。 元頭取らが、商法の特別背任容疑で逮捕されている。 翌年に

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ボクの右手を知りませんか?

土曜日の午前 僕は大きな総合病院の待合室で、先日受けた検査結果の報告を待っていた。 時間潰しとどうしても湧いてくる不安な気持ちから逃亡するために、僕はカバンから一冊のコミックを取り出して、読み進めることにした。 そのコミックは、先日、フクロウが住んでいる大きな街の小さなブックカフェで出会ったピーチ姫がくれたものだった(実話です) そういえば、表紙の絵とデザインが好みだと思ってそのコミックをぼんやりと眺めてたら、その本の持ち主の彼女から 「どうぞお持ち帰りください」

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わたしの本棚『薔薇は生きてる』

カバーイラストの愛くるしさよ。1935年の初版以降、版元を変えながら何度も復刊されてきた(んですって)『文學少女のバイブル』(なんですって)が21年ぶり(なんですって)に創英社から刊行されたのは2008年のこと。わたしは今も昔も文學少女といえるほど文学方面の活動に活発ではないのだけれども、時折なんらかのきっかけで読書欲が爆発するかわいいもの好きの軽率な少女なので(今も昔も。ええ、今も昔も。)、当時ブックマークして更新を楽しみにしていたブログで「いちいちかわいい」と紹介されてい

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