夕食の後片付けをしていると、雨の音が聞こえた。食器を洗う水道の音と、窓の外の雨音と。水音に包まれて、私は今は亡き愛犬の名を呼んだ。ひとりごと、と人は思うだろうか。でも、私は話しかけていたのだ。はじめは、ごめんね、と言ってしまう。それから、今日はねえ、と。話はつづく。水音が優しい。
『声』 総合病院は診察室がたくさんあり、 患者が担当医の部屋をノックする 診察時間短縮か、円滑に回すためか、 看護師が先立って質問にくることがある 「先に血圧測ってきてください」 「お薬どのくらい残ってますか」 「まだ血便出てますか」 もう少し小さい声で言ってあげてと思う