むかし小説を書くのは一握りの男性たちと、さらに数少ない女性たちだった。文壇というものがありこのグループの一員になることが、小説家になる道だった。川端、吉行、三島などの小説家は文壇に属していた。普通の人びとは小説を書こうとは思わなかった。いまはみんなが小説を書いている。大きな変化。
都内某所にある虚栄をはった文壇バーに高性能時限爆弾が仕掛けられた。権威と過去の著作、ほとんど水のオン・ザ・ロックに酔った、酔われた自称文豪たちの多くが命を落とした。だが、誰も困らなかった。彼らの作品の多くは世間に読まれず、仲間内の評価に見合わずその文芸価値は極めて低かったからだ。