【エッセイ】感受性を殺してでも生きるべきか
日課で新聞を取りに行く。冷たい風に当たり、私は過去に引き戻された。
抑うつなどの症状が出たのは16の時だ。原因は「記憶があふれる」。今のこの空気は1年前の何月何日、何をしている時、3年前の…4年前の…7年前の…といった具合だ。空気に限らない。音、におい、見るものなど感覚に訴えてくるものはみな対象だ。記憶は毎日積み重なってゆくから、当然、年を重ねるごと、苦しくなってくる。学校に行くにも、とにかく道を歩くだけで辛いのだから、家と最寄り駅の間を泣きながら行ったり来たりして、駅まで