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“歩くだけで稼げる” NFTを活用したSTEPNのビジネスモデル

2021年夏にヒットした『Axie Infinity(アクシーインフィニティ)』がきっかけとなり、暗号資産・NFTを活用したブロックチェーンゲームと呼ばれる新たなジャンルのゲームが話題になっている。

2022年に入ってからも続々と新作タイトルが登場したが、22年上半期最大のヒット作となったのが『STEPN(ステプン/ステップン)』である。2021年12月にサービスをリリースしたのち、同作は22年4月時点で登録者数が100万を突破し、4月時点のデイリーアクティブユーザーが20万人以上を記録。さらに2022年第一四半期に同作が生み出した利益は198,635.62 SOL($ 26,815,807.35=時価約33億円)にものぼった。

STEPNは、ブロックチェーンゲーム分野においての大ヒット作であるだけではなく、この分野において新たな地平を切り開いたプロダクトでもある。プレイ内容は非常に単純で、NFT化された電子データのスニーカーを保有して歩くだけで、同サービスの独自トークン$GST/$GMTを獲得できる仕組みを備えたスマホアプリとなっている。いわゆる「ゲーム」と呼ぶべき要素は非常に少なく、「万歩計アプリにお金を稼げる要素を追加したサービス」とも考えられる。

ブロックチェーンゲームは暗号資産・NFTを用いることで、従来の「ゲーム」に「お金を稼げる」仕組みを付け加えたからこそ、暗号資産業界を中心に多くの投資家から注目を集めるようになった。だからこそ多くのBCGプロジェクトが「面白いゲーム」の開発に注力していたのだが、STEPNはBCGの魅力を「ゲーム」と「収益性」に分解し、後者こそがその本質であるという新たな価値観を提示した。

その結果STEPNは大成功を収め、「Move to Earn=歩いて稼ぐ」と呼ばれる新たなブロックチェーンゲームのジャンルを生み出した。さらにSTEPNがヒットして以降、ブロックチェーンゲーム業界では「○○ to Earn」という言葉がしきりに使用されるようになっている。これはブロックチェーンゲームの特徴を示す言葉として使われていた「Play to Earn(=ゲームを遊んで稼ぐ)」をさらに発展させたもので、ゲームに限らずあらゆる人間の活動と「to Earn」を結びつけられるという可能性を示したものだ。

そんなSTEPNのゲーム内容やビジネスモデルとはいかなるものなのか。
本レポートで詳しく紹介しよう。

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