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自然に囲まれた暮らしに憧れ、八ヶ岳南麓を拠点にいろいろ巡って1年間が経った

今までも自然は好きだったけど、正直、そんなに興味は持っていませんでした。例えば、植物に関しては壊滅状態。公園に生えている草花の名前もほとんど分からず、桜と梅と桃の花の違いも分からないくらい。

ところが、40歳代の半ば頃から急に緑が恋しくなります。不思議なものですね。
二拠点生活を始めたくなり、関東近郊のあちこちの場所を見に行きました。
そして、八ヶ岳南麓、山梨県北杜市に中古の別荘を見つけて1年前に購入。
共働き夫婦に中学生と小学生の息子。仕事や学校の関係があるので頻繁には行けないけど、月に2回くらいのペースで自然を楽しむ生活を始めました。

美しすぎる自然

八ヶ岳周辺には、メジャーな観光地もたくさんあります。清泉寮と萌木の村を含めた清里周辺とか、リゾナーレ八ヶ岳とか、尾白川周辺のキャンプ場とか、おしゃれなレストランやカフェとか、過当競争の極致とも言える多数のパン屋さんと蕎麦屋さんとか(どの店も、本当に素晴らしい)。

でも、やはり一番印象に残るのは、自然そのものの美しさです。
ネットの情報を片手に、なかでもGoogleMapのクチコミ情報を重宝しながら、あちこちを歩き回りました。

苔と湧水の南沢遊歩道

いきなり、かなりマイナーなスポットの写真を載せました。
GoogleMapを右往左往しながら、ふと目がとまった場所でした。
苔と湧水の南沢遊歩道は、地図にも表示されていないような林道を車でひたすら進んだ先にあります。苔の見どころスポットとして新しく整備したとのことですが、まだまだ知名度が低いですね。私たちが早朝に出かけたときも、誰にも出会いませんでした。

八ヶ岳で苔と言えば、白駒池からご紹介すべきですね。日本の苔の三大聖地の1つです(他には奥入瀬渓流と屋久島)。とても有名なスポットなので、初夏から秋にかけて、いつも多くの人が訪れています。
もちろん、この池もゆっくり時間をかけて1周しました。

初夏の白駒池

こういう有名なところも、もちろんすごくいい。
タイトルにつけた写真も、有名な場所です。吐竜の滝(どりゅうのたき)。駐車場から数分歩けば到着できるというお手軽な場所でありながら、素晴らしい渓谷美を見せてくれます。大好きな場所の1つです。

だけど、観光地になっていないようなところにも、本当に良い場所が多いのです。例えば、八ヶ岳山麓には多くの湧水があります。どこの湧水地にいっても、たいがい間違いなしです。

冬の井詰湧水

冬の井詰湧水には、太陽のまばゆい光が差し込みます。夏は涼しく、冬は暖かく。これこそ、落葉広葉樹の森の摂理なのです。

それぞれの場所の素晴らしさについては、また別の記事で紹介させてください。とにかく、八ヶ岳周辺は想像していたよりもはるかに斜め上を行くくらい、美しい自然の宝庫でした。有名な観光地以外にも、本当に素晴らしい場所が多いのです。私が歩き回った場所をこのnoteでもご紹介したいと思います。そして、あわよくば私の知らないところをご紹介いただければなんて願っています。
東京都内の公園を散歩して自然観察気分になっていた私ですが、八ヶ岳周辺を歩き回ることで、自然の懐の深さを体感できました。

生き物たちとの出会い

うちの中学生と小学生の息子たちも、自然が大好きです。
でも、植物を観察するだけだと、つまらない様子。
魚や昆虫を自分の手で捕まえられるとなると、俄然張り切ります。

八ヶ岳の自然は、そういった子ども達の冒険を温かく受け入れてくれます。

網でつかまえたイワナ

イワナが棲む渓流は、夏でもかなり冷えてます。子どもたちは寒さなど二の次で、水中メガネをして川にもぐりこみ、イワナを追いかけまわします。
イワナの動きはとても速いので、大人でも網だけで捕まえるのは至難の業です。でも、子ども達はどういう工夫をしたのか、何匹もつかまえることに成功しました。
小さなイワナなので、このあと逃がしてあげました。

木から落ちてきたノコギリクワガタ

木を蹴ると、クワガタムシが落ちてくる。
そういう話を昔から聞いたことがあり、今までも色々な木を蹴ってきましたが、一度も成功したことがありませんでした。
でも、昆虫観察のツアーに参加して、自然全般にとても詳しいガイドの方の話を聞きながら森の中を歩き、クワガタが落ちてくる木を教えてもらいました。蹴ると、本当にポタポタと落ちてくるんです。息子はもう目の色を変えて、クワガタムシを探し回っていました。
写真は、その時に落ちてきたノコギリクワガタたちです。2匹だけ持って帰らせてもらい、少し観察した後でまた逃がしてあげました。

実は、夜のコンビニに行けばクワガタムシを見つけることができます。周囲に明かりが少ない中でコンビニが強力なライトを発しているので、いろいろな虫がおびき寄せられるのです。
夏の間は、夜になるとコンビニに通いました。コクワガタのオスとメス、カブトムシのメスは何匹もつかまえることができました。
なぜか、コンビニではカブトムシのオスを捕まえることはできませんでしたが。でも、別の森でカブトムシのオスを見つけることができました。

近所の方にも、カブトムシの幼虫を分けてもらいました。オガクズの中とか、いろいろなところに住み着いているので、全然珍しくないようですね。この幼虫も、サナギになって、立派に成虫になることができました。

自然の恵み


は山菜。タラノメ、ワラビ、ウド、コゴミ、ウルイなど、メジャーな山菜は全て揃います。道の駅や直売所は、季節の移り変わりの最先端ですね。
自分の家の庭にも、ウルイ(オオバギボウシ)がたくさん生えていました。
当時は山菜の見分けに自信がなかったので、ちょっと味見をしただけ。ウルイととても形が似ている毒草(コバイケイソウ)があるので、かなり慎重になりました。でも、この2つは花の形が全く違います。夏になって、うちの庭にはウルイしか生えていないことが間違いなく確認できたので、ちょっと安心しました。

は野菜全般。エダマメやトウモロコシは最高です。
また、夏に出てくるキノコもあります。

アカヤマドリとタマゴタケ

派手な見た目なのでおっかなびっくり調理してみましたが、どちらも超美味でした。
タマゴタケを炒めるとかなり黄色くなるのですが、このダシがうまいのです。クリームソースと合わせてパスタで頂きました。他の調味料では出せないほど、旨味が凝縮しています。
ただ、キノコは足が速いので要注意。1日おくと、どんどん形が崩れてきます。買ってから、すぐに食べきってしまうのがいいですね。
それから、山梨と言えば桃とブドウ。去年は、シャインマスカットがお手頃価格で買えましたし、桃のコスパの良さ(安いし美味い)には感動しました。

は実りの季節。
クルミ(オニグルミ)の木が水場の近くに生えていて、たくさん実を落としてくれます。最初はなんとなく緑色のきれいなものを拾ってましたが、普通は黒くなったものを拾うそうですね。いずれにしても、持って帰ったクルミを庭先に放置していると、全て真っ黒になり実がやわらかくなりました。

クルミの実は、黒くなってから核を取り出す

バケツに水を張ってジャバジャバ洗い、クルミの核を取り出す。
それをフライパンで炒めて、裂け目が入ってきたら木槌でコンと叩いて、中の実を取り出す。

オニグルミの実をきれいに取り出すのは難しい

まあ、なかなかうまく取れないわけですが、味は美味しい。
油が乗っていて、ミルキーな感じ。

それに、秋はキノコだらけです。
ジコボウ(ハナイグチ)や、シロヌメリイグチなど、直売所で買ってきたものを美味しくいただきました。
森を散歩するといくつかのキノコを見つけることができましたが、これはさすがに自己判断では食べられませんね。でも、名前くらいは分かるように勉強していきたいと思っています。

キノコの名前については勉強中

そうそう、普通に毒草とかもありますからね。
野生のトリカブトとか、初めて見つけました。ちょっと感動。

トリカブトの花

は、かなり寒いですね。
氷点下となることは普通で、日によってはマイナス10度を下回ることも。
二拠点生活の家も、水道管の凍結防止のために毎回水抜きをします。
でも、家の中は意外にあたたかい。特に石油ファンヒーターはすぐに温まるので、重宝しました。

一晩で長く成長した霜柱

冬は基本的にオフシーズン。
スキーやスケートにも行きましたが、自然観察という点ではちょっと寂しい。住んでいる人の中には、冬が一番いいと言う人も多いんだけどね。

森を愛した先輩たち

八ヶ岳を愛して、そこに移住した人は数多くいます。
そして、八ヶ岳を愛する人には、文筆家の人が多いようにも思います。この点も、軽井沢と似ているのかもしれません。八ヶ岳周辺は、色々な意味で「地味な軽井沢」という雰囲気があると感じていました。移住者が多く、センスの良い店が多く、自然を愛する人が多く、職人のように自ら決めた道を歩き続ける人が多い。そういうイメージを持っています。
軽井沢ほどきらびやかでないかもしれませんが、観光客で混雑することもほとんどないし、家の値段も高くないし、いろいろな人がフレンドリーで敷居が低いという感じです。そういう良い意味で「地味な」と形容しました。

八ヶ岳に拠点を持ってから、ここに暮らした先輩たちの著書を読みあさっています。どの本を読んでも、著者の考え方に共感し、その生き方に憧れます。

ここ一年で読んだ、八ヶ岳に関連する本の一部

柳生博さん、田渕義雄さん、荒川じんぺいさん、加藤則芳さん、渡辺隆次さん、みなみらんぼうさん、はせやん、松田力さん、出井得正さん、生和寛さん、萩尾エリ子さん、中谷耿一郎さん、ポール・スミザーさん、上野千鶴子さん、シェルパ斉藤さん、わたなべあきひこさん、川股昭彦さん、友枝康二郎さん、四井真治さん、中島恵理さん、鈴木純さん、ウリウリばあちゃん、八ヶ岳を拠点にしている色々な方の本を読みました。

著者に共通するのは、森を愛しているということ。
もはや、哲学とも言えるでしょう。太古の昔から人間に恵みを与えてくれた森。その森を慈しみ、森を守りながら人間が暮らしていくという価値観を大事にしています。

一方で、とても面白いと思うのが、森を守るということをあまり堅苦しく捉えずに、現代の便利さを取り入れながら森暮らしも楽しめばいいんだよと、肩の力を抜いた感じで教えてくれる方が多いことです。
先輩たちからの温かいメッセージは、これまで植物の名前すらロクに知らなかった自分にとって、とてもうれしいものでした。

まあ、あれですね。阪神ファンが書いた本を、阪神ファンがありがたく読むようなものかもしれません。
同じく八ヶ岳を愛した方が書いた本なので、面白くないわけがないのです。
若干の色眼鏡がかかっていることは自覚しつつも、八ヶ岳に暮らした先輩方の著書は示唆に富み、自分の今後の人生を変えてくれるものでした。このnoteでも、これらの素晴らしい本の内容をときどき紹介するつもりです。

森を愛する方々へ

書籍だけでなく、ネットでも八ヶ岳に関する記事を読み漁りました。もちろん、このnoteでも本当にたくさんの方の記事を読ませていただきました。
そして、自分でもnoteで発信してみたくなったのです。これまでSNSとかを最小限にしか使ったことがないのですが、少しだけ背伸びをして、こうやって記事を書いてみました。

1年間撮りためた写真があるので、その写真から記憶を呼び覚ましながらいくつか記事を書こうと思っていますし、これからも八ヶ岳で発見したことを書いていこうと思っています。
みなさま、どうぞよろしくお願いします。

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