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金継ぎ 5月16日

昨年は公私ともに慌ただしく一年が過ぎ、体調もずっと低空飛行だった。
そのことを踏まえて、今年は意識してゆったりペースを心がけている。
とはいえ、ずーーーっと走り続けるのがあたり前だったので、気づけば前のめり。そこで「おっとっと」と、意識というブレーキをかける。
自分では休んでいるつもりでも、傍から見るとどもそうではないらしい。フル稼働ではないにしろ、何かしら稼働しているようなのだ。話し方がゆっくりなので、人からはおっとりゆったりしているように思われがちなのだが実はせっかち。(夫によく言われる)これはもう性分だから仕方がない。が、意識はしてみようと思っているこの頃。

今日は比較的用事がない休日。のはずだったが、気づけばいつものフル稼働。家にいたらいたで、やりたいことややるべきことはたくさんあるわけで。ガシガシやり始めたあたりで「はっ!」と気づいて手を止めた。
嗚呼!自分の扱いの難しさよ。

でもこれならば…と、取り出したのが(やはり手を止められない・汗)
やりかけの器の金継ぎ。
自分のものをはじめ、友人・知人に頼まれたいくつかの器。
まだ手をつけられずにいるものもある。
ちょっと時間があるから…という何かのついでではどうも手がつけられないというか、気が向かない。ガシガシやりたくても進めることができない作業は今日のような日にちょうどいい。
漆を乾かすために湿度と時間が要ることや、階段の一段飛ばしのようなことをしては先に進めないこと。たとえ見えなくなる部分だとしても、丁寧に行うことで仕上がりが格段に違うことなどは、他のことにも当てはまるような気がする。まぁいざ作業に取りかかると、そんなことも忘れて集中してしまうのだけれど、それもまた普段の時間にはなかなかない気持ち良さがあるのだ。
今日も最後の仕上げまでは進められなかった。あと最低でも2回、いや3回くらいの工程が必要か。それも割れたり欠けたりした器ひとつひとつと対話をしながら決めていく。細く筆を引く際は息を止めて。引き終わったらまた肺一杯に深く吸い込む。今、目の前にあるそのことだけに集中する時間。ちょっとお習字にも似ているか。
「おっとっと」などと日常、走ってつんのめっていると、そんな静かな時間が本当に貴重。

5月16日(木)雨時々くもり
とはいえ、金継ぎ作業はほんの数時間。雨が止んだ合間には草刈りをしたり、部屋の片づけをしたり、スイとモクと遊んだりと我ながら相変わらず。
雨が上がった夕暮れ前にはまた富士子(猫)が姿を見せた。
必ずガラス越しにスイとモクに無言の挨拶(テレパシー?)
声をかけた私にも無言で「あ、どうも」的な挨拶を。
富士子から顔見知り認定頂きました!たぶん。