長谷部浩

自由に長い劇評を書きたい。そんな願いが高まってきましたので、NOTEを選びました。 書…

長谷部浩

自由に長い劇評を書きたい。そんな願いが高まってきましたので、NOTEを選びました。 書くことは、今も、大好きです。読者のみなさんが、こんな考えもあるのかと、 思っていただけるような評でありたいと思っています。

マガジン

  • 長谷部浩のノート お芝居と劇評とその周辺

    歌舞伎や現代演劇を中心とした劇評や、お芝居や本に関する記事は、このマガジンを定期購読していただくとすべてお読みいただけます。月に3から5本程度更新します。お芝居に関心のあるかたに愉しんでいただけるとうれしいです。

  • 長谷部浩の俳優論。

    歌舞伎は、その成り立ちからして俳優論に傾きますが、これからは現代演劇でも、演出論や戯曲論にくわえて、俳優についても語ってみようと思っています。

  • 贔屓といえば中村屋

    十八代目勘三郎亡き後、勘九郎、七之助の兄弟が力を合わせて家を隆盛に導いているのは感動的でさえあります。コクーン歌舞伎、平成中村座のような勘三郎の遺産も、この世代にふさわしくアップデイトして、観客を入れようと、懸命に智慧を絞っているのがわかります。思わず応援したくなるのが中村屋です。

  • 天才と名人の息子たち。勘九郎、七之助、巳之助のいま。

    十八代目中村勘三郎、十代目坂東三津五郎とは、筆者と同世代でもあり、彼らの舞台を熱心に観てきました。歌舞伎の伝承の基本には、家の藝があります。勘九郎、七之助の中村屋、巳之助の大和屋が、これから、ますます太い幹となるように願っています。

  • 追悼文集成

    これまで書いてきた追悼文を集めました。十八代目中村勘三郎、十代目坂東三津五郎をはじめとした悲しみの記録です。だんだん年齢を重ねるうちに、こんな仕事が増えてきました。

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    権力と孤独――演出家 蜷川幸雄の時代

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    天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎 (文春新書)

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    坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ (岩波現代文庫)

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    坂東三津五郎 踊りの愉しみ (岩波現代文庫)

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    坂東三津五郎 踊りの愉しみ (岩波現代文庫)

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最近の記事

『ライカムで待っとく』。沖縄の現在と過去が交錯する秀作。

人間は、同情によって、優越感を得る。  KAATで再演された『ライカムで待っとく』(兼島拓也作 田中麻衣子演出)は、だれの心にも眠っている差別意識をあぶりだしている。  この物語は、一九六四年の八月、普天間の飲食街で米兵ふたりと沖縄の青年四人が乱闘した事件を起点としている。米兵ひとりが死亡、ひとりが重傷を負った。青年たちは、傷害致死罪で米国民政府裁判所で裁かれた。  裁判の審理も劇中に織り込まれるが、この舞台はドキュメントに終わらない。神奈川から引っ越してきた雑誌記者浅

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    • 【劇評338】『Medicine メディスン』は、耳も目もふさぎたくなるような現代を映し出しす。

       世界はノイズに満ちている。  しかも、ノイズは、牢獄のなかにこそ、充満しているのだ。  エンダ・ウォルッシュの新作『Medicine メディスン』(小宮山智津子訳 白井晃演出)は、世間とは隔離された施設で展開する。  コングラチュレーションの横断幕、パーティの名残で散らかっている一室に、ジョン(田中圭)が、パジャマ姿で入ってくる。姿の見えないだれかから質問され、ぎこちなく答えるところから劇は出発する。  やがて、老人のリナルなお面をつけたメアリー(奈緒)、ロブスターの着

      • 【劇評337】ハムレットは、颯爽たる吉田羊によって21世紀に転生した。

         陰鬱な青年の悩みから、解放された。  吉田羊主演の『ハムレットQ1』(松岡和子訳 森新太郎演出)は、ハムレット像を大きく塗り替える快作となった。  まず、吉田羊のハンサムなたたずまいが観客を引きつける。単に女優が、男優ならばだれもが憧れる役を演じたのではない。吉田羊は、颯爽たる空気をまとっている。それは、宝塚の男役が持つどこか人工的な男性像とも異なっている。  もし、デンマーク王子ハムレットが、21世紀に転生したとしたら、セクシュアリティを飛び越えた人物像になるのではな

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        • 東京新聞の読書欄に九段理江さんの『しをかくうま』の書評を書きました。全文、無料でお読みいただけます。これまで舞台芸術に関係する本を取り上げることが多かったのですが、『しをかくうま』には、強く打たれたので評を書きたい意欲がわきました。https://www.tokyo-np.co.jp/article/326471?rct=shohyo

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        • 私なりにミュージカルを読んでみる。
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          【劇評336】悪所の蠱惑を逆手にとった「歌舞伎町大歌舞伎」。

           歌舞伎役者がホストに扮したアドトラックが街を走った。  勘九郎、七之助、虎之介、鶴松の四人が、いかにもホストらしい衣装とメイクと背景の写真を撮り、大型トラックの横腹に並んだ。シアター・ミラノ座で行われる「歌舞伎町大歌舞伎」の宣伝のためである。念の入ったことに、それぞれの写真には、代表、専務取締役、主任、幹部候補の肩書きまで入っている。(撮影は細野晋司)  歌舞伎の宣伝としては、極めて異例だろう。けれども、江戸歌舞伎以来の悪所としての歌舞伎や劇場と連なっているように思った

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          THEATER MIRANO-ZAにストレスなくたどりつくための方法を考えませんか。

           なんと絶望的なアクセスなんだろう。  THEATER MIRANO-ZAの評判は、つとに知れているので、なんとか快適な行き方、帰り方を考えました。

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          【追悼】巨星、唐十郎さんのとろけるような笑顔。

           演劇界の巨星が墜ちた。  私の演劇観は、唐十郎によって作られた。私は状況劇場の遅れてきた観客だけれども、七一年の『吸血姫』をかわきりに、『あれからのジョン・シルバー』『夜叉奇想』『二都物語』『唐版・滝の白糸』『腰巻おぼろ』『糸姫』と進んで見ていった。 水上音楽堂の思い出。  上野の不忍池畔には、旧・水上音楽堂が建っていた。  テントは、池に接した場所に建てられた。私が観たのは極寒の夜で、劇団員がいきなりざぶりざぶりと池に飛び込んでいった場面に圧倒された。当時は、歌舞伎の大

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          小太郎の散歩から帰って、東京新聞の書評を渡し、三田文学の演劇評に移る。頼まれた枚数までは、達したので、ちょっと原稿を休ませて、日曜日に直すことにする。明日は、歌舞伎座。連休中とはいえ、劇場に休みはないものなんです。 ベランダのバラを眺めるとほっとします。

          小太郎の散歩から帰って、東京新聞の書評を渡し、三田文学の演劇評に移る。頼まれた枚数までは、達したので、ちょっと原稿を休ませて、日曜日に直すことにする。明日は、歌舞伎座。連休中とはいえ、劇場に休みはないものなんです。 ベランダのバラを眺めるとほっとします。

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          ベランダで、ばらを育てています。季節ですので、何枚かお目にかけます。

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          ロンドン演劇雑感、その7。ホーヴェ演出の『オープニングナイト』が、予定より二ヶ月早く打ち切りに追い込まれた。

          書くべきかどうか、ためらっているうちに、十日余りが過ぎてしまった。  四月十四日付のBBCニュースは、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出の『オープニングナイト』が、予定より二ヶ月早く打ち切りになると伝えている。七月二十七日に終了する予定だったが、最終公演は五月十八日となった。

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          ロンドン演劇雑感、その7。ホーヴェ演出の『オープニング…

          記事を購入してくだっさった方から、コメントをいただいた。質問とも読める内容だったので、お返事を差し上げました。書き手としては、反応をいただくのはうれしいことです。noteにはメンバーシップの機能があるようです。うまく使うことでできれば、いいなとも思っています。

          記事を購入してくだっさった方から、コメントをいただいた。質問とも読める内容だったので、お返事を差し上げました。書き手としては、反応をいただくのはうれしいことです。noteにはメンバーシップの機能があるようです。うまく使うことでできれば、いいなとも思っています。

          【劇評335】ミージカルの最前線。三浦透子の深く、悲しい演技と歌唱。人間の心の闇を描いて、見逃せない『VIOLET』。

           傷痕は、誰のこころにも刻まれている。  藤田俊太郎演出の『VIOLET』(ジニーン。テソーリ音楽 ブライアン・クロウリー脚本・歌詞 ドリス・ベイツ原作 芝田未希翻訳・訳詞)は、二○一九年、ロンドンのオフ・ウェストエンドで初演された。二二年二は日本でも初演されたけれど、コロナ禍のために、ごく短期間の公演にとどまった。  今回、満を持して再演されるにあたって、主役のヴァイオレットは、三浦透子と屋比久知奈のふたりで、ダブルキャストを組んだ。  この作品は、一九六十年代、人種差

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          【劇評334】東のボルゾイの『ガタピシ』は、きしむ音をたてている私たちの心をえぐり出す。

           アルベール・カミュは、こんなことを書き残している。 「私にとって演劇はまさに文学的ジャンルの最高峰であり、いかなる場合も最も普遍的なものだからです。私は作者や役者に「客席にいるただ一人の馬鹿者のために書いてくれ、演じてくれ」といつも言っている演出家と知り合いになり彼を好きになりました」 (カミュ、東浦広樹訳『私はなぜ芝居をするのか』)  日本独自の価値観に基づいたミュージカルを創り出す。この積年の夢に劇団『東のボルゾイ』は、果敢にも取り組んできた。  これまで観てきた作

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          【劇評334】東のボルゾイの『ガタピシ』は、きしむ音をた…

          【劇評333】普遍的な物語に、歪みを与える。『母 La Mère』の魔術的な時空。

           人類には、時代を超えて繰り返される物語がある。  母親の息子に対する恋着、子供の成長によって孤独な老いを迎える恐怖、冷え切った夫婦関係につきまとう疑惑などが、この『母 La Mère』(フロリアン・ゼレール作、齋藤敦子訳 ラディスラス・ショラー演出)には、詰め込まれている。いずれも、時代や国境を越えた普遍的な物語である。  ただ、普遍的だということは、画一的な舞台に回収される怖れがある。この物語の中で、母アンヌ(若村麻由美)、息子ニコラ(岡本圭人)、息子の恋人エロディ(

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          【劇評333】普遍的な物語に、歪みを与える。『母 La Mèr…

          フロリアン・ゼレール作、ラディスラス・ショラー演出の『母 La Mère』を観る。母と息子の普遍的な問題を、フランスの意匠のなかに落とし込んだ舞台。スタイリッシュかゆえに、哀しみも深い。若村麻由美、迫真の演技が迫ってきた。

          フロリアン・ゼレール作、ラディスラス・ショラー演出の『母 La Mère』を観る。母と息子の普遍的な問題を、フランスの意匠のなかに落とし込んだ舞台。スタイリッシュかゆえに、哀しみも深い。若村麻由美、迫真の演技が迫ってきた。