あじさいの絵葉書買った美術館 六月生まれの友に贈ろう/楠井花乃 短歌人 2017年7月号
何回か仕事変えつつ生きてきた でも心には短歌があった/楠井花乃
ざあざあと降ってくる雨、バス停でひとりで景色眺めてました/楠井花乃
降る雨に亡き祖父のこと思い出す前向きだったじいちゃんのこと 散髪屋いつ通ってもお客あり店のおばちゃん優しいからね 大好きな渡しの船のこの景色今日もながめて写真を撮って ばあちゃんと今日も話して楽しいよ朝のひかりのさしてくる部屋 道端のあじさいの花きれいだなデジカメ持って今日も見に行く 楠井花乃
青年はスマホ眺めて昼休み日射しがきつい初夏の公園/楠井花乃
百一歳で料理を引退したおばあちゃん。おばあちゃんが作ってくれた芋餅が懐かしいです。学生時代の友達もおばあちゃんの芋餅のファン。2021年の写真です。
絵葉書が家のポストに舞い落ちる詩人の友の返信まてば 2013・8 彼が撮る世界はいつも優しさが滲んでいたな人も景色も 2013・11 メモを見てたまねぎ、にんじん選んでる少女の家はきっとカレーの日 2015・10 雨の日もあなたの文字は滲まない郵便受けに手紙が届く 2016・1
昨日父が作ってくれた天ざる蕎麦。グリンピースの天ぷらがおいしかったです。
水路には朝の光がさしていた黒崎渡船乗り場の近く/楠井花乃
草色のシャツを着てゆく船着き場 琥珀の空をながめていたい (短歌人2016・11) 青空がうつくしい日の渡し船「南瓜」を買ったと話す若者 (短歌人2018・8) エメラルドブルーの海をながめおり あと七分で渡船出発 (短歌人2019・6) 土曜日の渡しの船は客二人われとケニアの留学生と (短歌人2020・5)
道端の花に癒されがんばったいろんな苦労あった十年 撫養川や渡しの船が好きだから今日も見に行くふうらりふらり 鰯雲今日もひとりで見ていたよ朝五時半の川沿いの道 若き日に放送局で働いたあの三年が宝物だよ 青年は近所の店でバイトして音楽の夢追いかけてたね 楠井花乃
三行の啄木の歌書き写す朝のひととき珈琲淹れて お味噌汁お豆腐切って葱刻む祖母とふたりで語らいながら 青年の澄んだ瞳を忘れないアフガニスタン留学生の 美しい海と漁船を眺めてた赤い灯台夕暮れの空 駄菓子屋が懐かしくなる友だちとフーセンガムを買った思い出 楠井花乃
水筒に温かなお茶淹れてゆく今日も撫養川眺めに行こう 変わらないその表情がうれしくて昔の友のレジに並んだ 汽車にゆれ志度に通った四年間古本好きな友と一緒に 古いネガお菓子の缶にしまってるわが青春の宝物として 陽のあたる場所も良いけど日陰には心を癒す風が吹いてる 楠井花乃
肉じゃがのおいしい匂いしてくるね定食屋さんの前を通れば 十円の駄菓子買ってた幼き日今はもうないあの駄菓子屋も 旅立ちの時まで祖母を支えたい今日も一日楽しく介助 青色のコートが似合う留学生同じ渡船に昨日も乗ったね 渡船にて篠田桃紅の本を読む春のそよかぜ吹かれて行こう 楠井花乃
渡し船今日もひとりで見に行った小さな小さなデジカメ持って ササミカツ南瓜の天ぷらお味噌汁家族四人の今日の献立 トントンとお葱を刻む祖母の音お味噌汁炊く匂いしてくる GLAYとかよく聴いてたね青春の日々を思えばいつもあの曲 「良い映画良い漫画見てこころよし」ノートに感想書きつけておく (楠井花乃☆短歌人2022年4月号)
給料でボタンを買った帰り道 丸いベンチでコーヒーを飲む (短歌人2016・11) マンゴーのケーキの取材で行った店むかしの友がパティシエの店 (短歌人2017・1) 飾らないその人柄に惹かれてた飾らなくても輝いてたよ (短歌人2019・10) 一冊の歌集出せたら会いに行く きみに見せたい歌の数々 (短歌人2020・1)