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テオ・ヤンセン展@千葉県立美術館

…はい。
だいぶ書くのが遅れてしまい、すでに終わってしまった美術展の情報です…
そもそも、行ってきたのが1月20日。翌日が最終日というギリギリの日程でした。
(テオ・ヤンセンを見た後、銀座に行き、柴崎春通先生の展示を見たわけです)

私、東京都民ではあるのですが、多摩地区に住んでまして。
いやぁ、千葉県立美術館、遠かった…
思えば、京葉線でディズニーランドよりもあっちに行ったことってなかったかも。
そんなわけで、週末、早起きをして頑張って行ってきたのでした!

テオ・ヤンセンさんはオランダの方。
デルフト工科大学で物理学を学んだあと、風景画家に転向しました。
その後、新聞のコラムを執筆し、その記事「砂浜の放浪者」をきっかけに、オランダの海面上昇問題を解決することを目指して、1990年からストランドビーストの制作を開始しました。
現在もデルフトで活動中です。

ストランドとはオランダ語で砂のこと。
生物を意味するビーストとつなぎ合わせて、ストランドビースト。
日本語にすると、「砂地の生物」といったところでしょうか。
テオさんの作った造語です。

動力源は風です。
この子が風を食べながら砂浜を歩いて砂を積み上げる。
→堤防ができる。
→海面上昇問題解決できる!

という素晴らしい仕組み。

アニマリス・ウミナリ

ビーストのボディはプラスティックチューブ、ウレタンチューブ、サテー(串焼き)の串、ペットボトル、結束バンド、粘着テープなど、簡単に買える素材でできてます。

このウミナリくんは、三重県で行われた展覧会での公募で4歳の男の子が命名したものだそう。4歳の子、ウミナリとか知ってるのすごいし、いいセンスよね。
このキャタピラタイプのビーストは丸くたためるのでNASAはこの構造を惑星探検に活用できないか検討中なんだそう。
いつの日か火星を歩く姿が見れたら素敵よね。

ちなみにストランドビーストの進化の歴史は、地質時代(ジュラ紀、白亜紀みたいなやつ)のようにきちんと区分けされています。
アニマリス・ウミナリは、ブルハム期に属しています。
その特徴は「四角形で構成された脚が順番に繰り出され前進する」ということ。

ビーストの動きで一番重要なのはその脚の動き。
チューブの長さと位置関係を表す13のホーリーナンバーがポイントとなるそう。
その構造は公開されていて、これを使って世界中の人々がビーストを作ってくれることをテオさんは期待しているんだって。

アニマリス・カリブス

カリブスも2018年のやはりブルハム期の子。
キャタピラタイプでは最小。たくさんの脚が滑らかに動くのだそう。
この子を連れて砂浜をお散歩したら楽しそうです。

アニマリス・リジテ・プロペランス

ストランドビースト最初期、1995年のタピディーム期のビースト。
プロペラで風を受けて高速で横歩きするのですが、プロペラが重く、長時間の歩行は困難なのだそう。説明書きには、「ブレードのマスキングテープも長くはもたなかった」という切ない情報も添えられていました。

ウミナリはその点が改良されて帆布になってますね。

アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス

ここまで書いて制作年順に書くべきだったと後悔しています…
展示はきちんと年代順に並んでいたのですが、興味の赴くままに書き始めてしまいました…汗

プリムスは2006年制作のセレブラム期の子。
特徴としては、プラスティックチューブを神経細胞として方向転換や杭打ちができる脳を獲得したそう。
ちなみにこの前の年代のヴィポラム期にはペットボトルの胃を獲得してます。

プリムスくんはペットボトルの胃を持っているよ

脳を得たり、胃を得たり、尻尾を得たり…。進化の過程が面白い。
また、このペットボトルに残された砂からもわかるように、ビーストたちが砂浜で活動してきた痕跡がありありと残ったまま展示されてるのも個人的にいいなぁと思ったポイントでした。
(この砂、税関で引っかからないのだろうか?と、どうでもいいことを考えたり。)

ストランドビーストを実際に動かすデモンストレーションもあったのですが、やはりこの子たちが一番生き生きとして見えるのはビーチにいるときなのだろうなと思いました。
日本でもコマーシャルに登場したことがありますよね。

他にもYouTubeに動画がたくさん上がっています。
下記のBBCの動画内2分40秒あたりで尻尾を振る子はアニマリス・アデュラリ。
今回の展示ではこの子が尻尾を振るところを目の前で見ることができました。
とってもかわいかった!

今回、印象的だったのがこの言葉。

ストランドビーストができるまで

テオさんに生命の終わりを宣言されたら、化石となり、墓場へと運ばれる…
こういうコンセプトがしっかりしているの大好き。
年代設定とか、ビーストたちのカテゴライズとか、いちいち刺さります。
ちなみに、化石となった子をこうしてまた展示し、機械的に風を送って動かすことをリ・アニメーションと呼んでいるのだそう。蘇生とか復活ということね。

こんなビーストたちが群れをなして砂浜を歩き、オランダの海面上昇問題が解決される日がいつか来たら素晴らしいです。

あ、今調べていたら、4月から静岡県立美術館でもテオ・ヤンセン展が開催される予定だと出てきました!

お近くの方、ぜひ!おすすめですよ!

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