耀綺 夜空(かがやきよぞら)

🛍️真っ白な何もないところに文章を綴り表現する。そうやって情景が浮かび、共感をどれだけし…

耀綺 夜空(かがやきよぞら)

🛍️真っ白な何もないところに文章を綴り表現する。そうやって情景が浮かび、共感をどれだけしていただけるだろうか。 そしてみなさんの文章を読むと、時間を忘れるくらいに楽しいです!

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【小説】月が見えますかvol.3

 シャワーを浴びて、一息ついてスマホを見た後に、タバコを吸った。  そんな時、ソファの上に置いたスマホが少し振動した。  梶木翔馬は、スマホの画面を開いた。 「horse woodさん、はじめまして。 コメントありがとうございます。 そうですね、女性の主人公もそうですが、好きになってしまった男性も繊細で優しいが故にという思いがありますね」と、コメントの返事が届いた。 horse woodは、梶木のユーザーネームだ。  モフールンというそのユーザーネームから届いたコメントの返事

    • 2024.5.31

       身体を動かした時に脇腹に少し痛みがある。  あの時のか。  今使っているスマホは、机の上で寝る時は充電する。もう一つの目覚まし用の以前のスマホは、ベッドの枕元に置くけれど、その日は同じく机の上に置いていた。  そして目覚まし時計(湿度計と温度計付きの)この目覚まし時計少し幅をとるので、これもベッドの枕元から机に移動した。  この日は、前日から早く寝て充分睡眠をとった朝だった。  目覚ましの音が鳴ったのが、湿度計の付いた目覚まし時計だった。完全に夢の中だった私は、そのまま音を

      • 【ショートストーリー】蕎麦屋のまかない

        定時に終わり、自宅に着くと鞄の中にあるスマホが振動している。  画面を開くと、涼平からだ。加奈子の今の仕事に就く前に倉庫でステーショナリーのピッキングのアルバイトをしていた時の友達だ。涼平は、今もそこでアルバイトをしている。 「腹減ったから、今から何処か食べに行こうよ。今日、バイトが早く終わったからさ」相変わらず、元気で明るい声だ。 「うん、わかった。じゃあ、車で拾うよ。いつもの場所でいい?」 「うん。待ってるから」  雨は、先ほどまで降っていたのにやんでいた。そのかわり午

        • 2024.5.25

           晴れ、風が心地いい。 電車に乗って京都へ行くことにした。本も鞄に入れて。  電車の改札口を通って、階段をのぼりホームで電車を待つ。まだ電車が来るには時間があった。自分がホームに立つ前に既に一人の女性が立っていて、白いロングスカートにパステルカラーのニットで春らしい素敵な装いだった。京都へ行くのに歩きやすいスニーカーで出掛ける服装の私は、なんとなくその人から遠ざかって電車を待とうと思った。  すると、 「あら、久しぶりね」と、その女性に話しかけられた。なんだ同じマンションの人

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        【小説】月が見えますかvol.3

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        • 三都メリー物語
          23本
        • 『綺麗に並べるということ』
          5本
        • 相手のことを知ると言うこと
          11本
        • 『私の時間』
          16本
        • 『あのこたちは、どこに』
          18本

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          2024.5.23

           「昼休憩は、いつもの時間の30分早い時間にみんなとるように」そう、上司が言った。こんなことは滅多にない。相当な意気込みだ。  今日から新しく始まるものが、昼に取り掛かり、15時30分迄には納期なのだ。  食堂では、それに取り組む者だけが食事をしている。なので、何だか静かで妙に落ち着かない。そんな思いを抱きながら休憩が終わり、朝からその件の個々の担当と時間の割り振りのリストが上がっていたので、みんなその通りに行動した。  普段一緒に仕事をしない部署からも応援に来て手伝ってもら

          2024.5.21

           美容院を探してこの辺りに来た。車のフロントガラス越しから西陽が眩しい。  ここのスーパーマーケットの近くだったはずだ。平面駐車場は満車だったので屋上へ上がったのだ。  車を降りて、スーパーマーケットに通ずるエレベーターと階段がある。階段から降りると、懐かしい光景が以前の頃の景色と重なった。でも、その壁の装飾は今では剥がれているところが、多くあった。それは長い年数が経ってしまった事を意味しているのだろうか。それとも経営が芳しくない事を意味しているのだろうか。  スーパーマーケ

          【ショートストーリー】鶯の鳴き声

           車から降りると、春だというのに上着が必要なくらい冷たい風が吹いていた。  近くで鶯が鳴いているが、お馴染みのような鳴き方になっていなかった。それでもまた、鳴いている。    会社の入り口で、社員カードを壁のある部分に添えると、入り口が開いて浜坂マミは入った。  女性ロッカーで白いズボン、白いシャツ、上に白衣、頭にネットを被ってエアー室を通って、作業室に入ると、もう既に3年先輩の女性の上原さんが、仕事に使う資材や機材などを並べてくれていた。大概そうなのだ。そして、この日の出荷

          【ショートストーリー】鶯の鳴き声

          2024.5.8

          ようやく新しいベッドにも慣れて、眠れるようになった。ベッドへ潜り込むと幸せな気持ちになる。そのせいか最近色んな人に出会い、行動的に生活している夢をみる。なので以前の自分じゃない朝をすごしている気がする。  部屋は、とても静かで、時々遠くの線路から電車の音がかすかに聞こえる。外に出ると、電車を眺めることができる。  ある日、こんな時があった。スマホが振動した。 「外に出てみて」知り合いからの通話だ。 「なに?」 「いいから、早く」 「もうすぐ珍しい電車が走るから」 数分後、その

          2024.5.5

           いい天気。  湿度もなく空気が、カラッとして調度いい気温。鳥たちも寒かった冬にはなかなか餌となるものが 無かったのだろう、今は鳴き声とともに大忙しで草地や大空を飛びまわっている姿を見掛ける。    朝、トーストにいちごジャムを塗って、アイスコーヒーをいただく。飲むと氷の音がする。もう、そんな季節だ。  ところが窓から、音が聞こえる。 風の音。 「ぴゆー。ぴゆー」春一番は、もうとっくに過ぎたはず。これは、なんの意味の風なんだろう。  ベランダで先日植えたひ弱なトマトの苗と枝豆

          【ショートストーリー】お姉ちゃん

           春は蝶々を捕まえて、夏は虫網で蝉やバッタを捕まえて、秋はコオロギを捕まえて虫ケースに土を入れて玄関に置いてコオロギの音色を子供心に楽しんでいた。  近くに同じくらいの子供がいなかったから。  幼稚園に通いたかったのに、引っ越して来たのが4月も過ぎていて入園をのがしてしまったらしい。だから友達は自然に住む生き物たちだ。でもこちらが何をしても痛いだの、どうだ?とも、当たり前だけれど喋ってはくれない。  妹がほしかった。  たまに、日曜日になると母の妹が家に来ていた。 息子を連れ

          【ショートストーリー】お姉ちゃん

          2024.4.14

           朝6時半に目が覚めた。  休日だというのに。  というのも部屋が変わってベッドも変わって、あの旅行に行った時の疲れているのになかなか寝れない、そんな感じに似ている。  それに、使い始めた置き時計の音が妙に気になって深夜だというのになかなか寝付けなかった。  何度も目が覚めて気づくとカーテン越しに朝日が眩しくて眠気が覚めた。 「そっか、この窓東北東向きだからだ」と呟く。  朝は、トーストに目玉焼きとレタスをのせて、温かいコーヒーといただいた。  昨日に前日から1日を細分化して

          学生服

           今朝は、先日と10℃も低い気温で、もう着ないだろうと、少し奥に掛けていたジャケットを手に取り家を出た。寒くて慌てて着る。  車に乗って仕事に向かうと、一つ目の信号が赤になった。  道沿いには大きく枝を広げ豪華絢爛に咲き誇る桜は、先日夕方に見た白い桜と昼間に見るピンク色に今朝の白と少し濃いめのピンクのコントラストになって、時間によって色が違って見える。  そんな桜の下で信号待ちしている自転車に乗った男子高校生の制服と鞄が新しくまだ馴染んでない感じが初々しい。  そういえば、高

          桜道

           朝6時に起床。少し肌寒い。 ベランダの窓から外を眺めると、湿った空に強い風の中、優美な薄ピンクの満開の桜が大きく揺れていた。それは、厳しい冬を耐えぬいた力強さを見せているかのようにも思えた。  車で仕事に向かった。時々強風で車が揺れた。道には風で飛ばされて三角コーンが道の真ん中にあったりする。少し運転がこわくなって 「こんな状況なので、休みます」 なんてありえないか、そう心の中で呟いた。  仕事場に着くと、 「この前、◯◯の店で食事してたでしょ」と、あまりプライベートの話

          【小説】好きの方向 vol.14

           その日のアスファルトの道路が白く、歩道に生えている草も霜が降りて真っ白になっている。2月の冬の朝は、氷点下2℃の気温だ。  午後になって陽が差しかかっても気温は5℃にしか上がらなかった。  滋田桜子がアルバイトをして働いているこの倉庫の中も、コンクリートが敷きすめられて地面からの冷えが、氷の上を歩いているかのような冷たさだった。ボーリング場のレーンのような長い棚が相変わらず幾重にも並び、この日も寒さに耐えながら桜子は、皆から遅れをとるまいと気にかけながら作業に取り組んだ。

          【小説】好きの方向 vol.14

          体力はいかがなもの

          今年は10月12日の朝の8時頃ツバメたちが電線に集まり一斉に飛び立ったと記事で読んだ。  案外夏が過ぎてもいるもんだなと思った。ツバメの姿をいち早く見ると、夏が来たなと思う瞬間があるから。  最近読書をすることが自分としてなくなってきている。そんなこともあって、休日電車に乗って読書をすることにした。するとその本のストーリーにどんどん入っていける。スマホなんて全く手に取らず。  駅に降りて、オシャレなパン屋でスコーンを買って、少し歩いてまた駅で電車を待つ間に読書をする。  コー

          【ショートストーリー】フォローしているんですよ

           川沿いの生える草にススキが目立つようになった。その光景は店内の大きなガラス越しから見えた。店内にも陽が差して、須磨田ルナは、眩しいと思った。 「いらっしゃいませ」アイビーのスリーピースのスーツを着た七三分けのツーブロックでパーマをかけた若い男性が対応した。 「株を現金化しにきました」ルナが言うと、 「分かりました。では、こちらの方にお掛けください」とその男性が席を案内した。  その男性の少しかすれた声に特徴があった。この声って聞いたことがある。  そうだ!最近人気急上昇のア

          【ショートストーリー】フォローしているんですよ