岩崎春夫

HOP株式会社代表取締役。総合商社で香港、イタリアに駐在し、組織経営や事業投資に当たる…

岩崎春夫

HOP株式会社代表取締役。総合商社で香港、イタリアに駐在し、組織経営や事業投資に当たる。ベンチャー企業や第二創業期の企業を対象に「強く美しい会社」創りに取り組む。人と組織の学校「人事の寺子屋」を主宰。訳書に「人間主義的経営」(ブルネロ・クチネリ著、クロスメディア・パブリッシング)

記事一覧

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第16回 第四章 組織 第十三節 組織を動かす

第四章 組織~自由と連帯の交差点 第十三節 組織を動かす~普遍的な重なりと2匹のペンギン <第四章 構成> 第十二節 組織の構造 1.組織の要件:目的、要素、つなが…

岩崎春夫
13日前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第15回 第四章 組織 第十二節 組織の構造

第四章 組織~自由と連帯の交差点 第十二節 組織の構造 <第四章 構成> 第十二節 組織の構造 1.組織の要件:目的、要素、つながり 2.組織の形成:小が大を作る 3.…

岩崎春夫
1か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第14回 第三章 働く 第十一節 自由の本能を解き放つ

第三章 働く 第十一節 自由の本能を解き放つ <第三章 構成> 第九節 中世のレンガ積み職人とメキシコの漁師 1.生産の三要素:土地、労働、資本 2.人間が働く理由と…

岩崎春夫
1か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第13回 第三章 働く 第十節 受け取ったものと受け渡…

第三章 働く 第十節 受け取ったものと受け渡すもの~バランスシートで考える働く意味 <第三章 構成> 第九節 中世のレンガ積み職人とメキシコの漁師 1.生産の三要素…

岩崎春夫
1か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第12回 第三章 働く 第九節 中世のレンガ職人とメキ…

第三章 働く 第九節 中世のレンガ職人とメキシコの漁師 <第三章 構成> 第九節 中世のレンガ職人とメキシコの漁師 1.生産の三要素:土地、労働、資本 2.人間が働く…

岩崎春夫
1か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第11回 第二章 会社 第八節 会社の機能

第二章 会社~企業活動の全体像 第八節 会社の機能 <第二章 構成> 第四節 企業活動の入口と出口 1.What for(何のために)~旗を立てる 2.How(どのように)~資…

岩崎春夫
1か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第10回 第二章 会社 第七節 会社の本質を考える

第二章 会社~企業活動の全体像 第七節 会社の本質を考える <第二章構成> 第四節 企業活動の入口と出口 1.What for(何のために)~旗を立てる 2.How(どのように…

岩崎春夫
1か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第9回 第二章 会社 第六節 会社の基本構造  

第二章 会社~企業活動の全体像 第六節 会社の基本構造 <第二章 構成> 第四節 企業活動の入口と出口 1.What for(何のために)~旗を立てる 2.How(どのように)…

岩崎春夫
2か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第8回 第二章 会社 第五節 事業と経営 

第二章 会社~企業活動の全体像 第五節 事業と経営~時を告げるのではなく、時計を作る <第二章構成> 第四節 企業活動の入口と出口 1.What for(何のために)~旗を…

岩崎春夫
2か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第7回 第二章 会社 第四節 企業活動の入口と出口 

第二章 会社~企業活動の全体像 第四節 企業活動の入口と出口 <第二章構成> 第四節 企業活動の入口と出口 1.What for(何のために) ~旗を立てる 2.How(どのよ…

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2か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第6回 第一章 見ることと考えること 第三節 最良の…

第一章 見ることと考えること 第三節 最良の奴隷にならないために <第一章構成> 第一節 世界の解像度を上げる~見ることからすべてが始まる 1.80億個の世界像 2.3…

岩崎春夫
3か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第5回 第二章 企業活動の全体像 

第二章 企業活動の全体像 ~利益は何のために 1.企業活動の入口と出口 日本最古の会社は、大阪にある株式会社金剛組です。金剛組は、聖徳太子が招聘した宮大工が西暦5…

岩崎春夫
3か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第4回 第一章 見ることと考えること

第一章  見ることと考えること ~ガラスの窓が見える鳥 1.世界の解像度を上げる マネジメントは、人と人、自分と「自分以外のすべてのもの」との間で最適な関係を創…

岩崎春夫
3か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第3回 序章 傾いた資本主義の家

序章  傾いた資本主義の家 ~自由を市場に買いに行く 1.市場で暮らしていた香港の人々 私が1990年代の9年間を過ごした香港は、昼間は騒々しい雑踏に人々があふれかえ…

岩崎春夫
3か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第2回 目次

目次 はじめに  発端 ~『歴史の終わり』と市場の時代の始まり 序 章   傾いた資本主義の家 ~自由を市場に買いに行く 第一章   見ることと考えること ~ガラ…

岩崎春夫
3か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第1回 はじめに

はじめに  発端 ~『歴史の終わり』と市場の時代の始まり ベルリンの壁が崩壊した1989年11月、30代前半の商社マンだった私は、初めての海外赴任地である香港に降り立ち…

岩崎春夫
3か月前
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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第16回 第四章 組織 第十三節 組織を動かす

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第16回 第四章 組織 第十三節 組織を動かす

第四章 組織~自由と連帯の交差点

第十三節 組織を動かす~普遍的な重なりと2匹のペンギン

<第四章 構成>

第十二節 組織の構造
1.組織の要件:目的、要素、つながり
2.組織の形成:小が大を作る
3.組織のエネルギー:遠心力と求心力

第十三節 組織を動かす~普遍的な重なりと2匹のペンギン
1.組織を動かす、自由、未来、情報
2.普遍的な重なりを作る
3.ファーストペンギン、セカンドペンギ

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第15回 第四章 組織 第十二節 組織の構造

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第15回 第四章 組織 第十二節 組織の構造

第四章 組織~自由と連帯の交差点

第十二節 組織の構造

<第四章 構成>

第十二節 組織の構造
1.組織の要件:目的、要素、つながり
2.組織の形成:小が大を作る
3.組織のエネルギー:遠心力と求心力

第十三節 組織を動かす~普遍的な重なりと2匹のペンギン
1.組織を動かす、自由、未来、情報
2.普遍的な重なりを作る
3.ファーストペンギン、セカンドペンギン

第十四節 成長の壁
1.30

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第14回 第三章 働く 第十一節 自由の本能を解き放つ

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第14回 第三章 働く 第十一節 自由の本能を解き放つ

第三章 働く

第十一節 自由の本能を解き放つ

<第三章 構成>

第九節 中世のレンガ積み職人とメキシコの漁師
1.生産の三要素:土地、労働、資本
2.人間が働く理由とハンナ・アーレントの「労働(Labor)、仕事(Work)、活動(Action)」
3.働くを支えるもの:他者、未来、場所

第十節 受け取ったものと受け渡すもの~バランスシートで考える働く意味
1.貸方(Credit):働くた

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第13回 第三章 働く 第十節 受け取ったものと受け渡すもの

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第13回 第三章 働く 第十節 受け取ったものと受け渡すもの

第三章 働く

第十節 受け取ったものと受け渡すもの~バランスシートで考える働く意味

<第三章 構成>

第九節 中世のレンガ積み職人とメキシコの漁師
1.生産の三要素:土地、労働、資本
2.人間が働く理由とハンナ・アーレントの「労働(Labor)」、「仕事(Work)」、「活動(Action)」
3.働くを支えるもの:他者、未来、場所

第十節 受け取ったものと受け渡すもの~バランスシートで考

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第12回 第三章 働く 第九節 中世のレンガ職人とメキシコの漁師 

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第12回 第三章 働く 第九節 中世のレンガ職人とメキシコの漁師 

第三章 働く

第九節 中世のレンガ職人とメキシコの漁師

<第三章 構成>

第九節 中世のレンガ職人とメキシコの漁師
1.生産の三要素:土地、労働、資本
2.人間が働く理由:ハンナ・アーレントの「労働(Labor)、仕事(Work)、「活動(Action)」
3.働くを支えるもの:他者、未来、場所

第十節 受け取ったものと受け渡すもの~バランスシートで考える働く意味
1.貸方(Credit)

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第11回 第二章 会社 第八節 会社の機能

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第11回 第二章 会社 第八節 会社の機能

第二章 会社~企業活動の全体像

第八節 会社の機能

<第二章 構成>

第四節 企業活動の入口と出口
1.What for(何のために)~旗を立てる
2.How(どのように)~資源・資産・資本
3.For what(何に)~利潤の使い道

第五節 事業と経営~時を告げるのではなく、時計を作る
1.事業家と経営者の違い
2.事業経営(Business management)、会社経営(Compa

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第10回 第二章 会社 第七節 会社の本質を考える

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第10回 第二章 会社 第七節 会社の本質を考える

第二章 会社~企業活動の全体像

第七節 会社の本質を考える

<第二章構成>

第四節 企業活動の入口と出口
1.What for(何のために)~旗を立てる
2.How(どのように)~資源・資産・資本
3.For what(何に)~利潤の使い道

第五節 事業と経営~時を刻むのではなく、時計を作る
1.事業家と経営者の違い
2.事業経営(Business management)、会社経営(Com

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第9回 第二章 会社 第六節 会社の基本構造  

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第9回 第二章 会社 第六節 会社の基本構造  

第二章 会社~企業活動の全体像

第六節 会社の基本構造

<第二章 構成>

第四節 企業活動の入口と出口
1.What for(何のために)~旗を立てる
2.How(どのように)~資源・資産・資本
3.For what(何に)~利潤の使い道

第五節 事業と経営~時を刻むのではなく、時計を作る
1.事業家と経営者の違い
2.事業経営(Business management)、会社経営(Comp

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第8回 第二章 会社 第五節 事業と経営 

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第8回 第二章 会社 第五節 事業と経営 

第二章 会社~企業活動の全体像

第五節 事業と経営~時を告げるのではなく、時計を作る

<第二章構成>

第四節 企業活動の入口と出口
1.What for(何のために)~旗を立てる
2.How(どのように)~資源・資産・資本
3.For what(何に)~利潤の使い道

第五節 事業と経営~時を告げるのではなく、時計を作る
1.事業家と経営者の違い
2.経営の3つのスコープ ~事業経営(Bus

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第7回 第二章 会社 第四節 企業活動の入口と出口 

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第7回 第二章 会社 第四節 企業活動の入口と出口 

第二章 会社~企業活動の全体像

第四節 企業活動の入口と出口

<第二章構成>

第四節 企業活動の入口と出口
1.What for(何のために) ~旗を立てる
2.How(どのように) ~資源・資産・資本
3.For what(何に) ~利潤の使い道

第五節 事業と経営 ~時を刻むのではなく、時計を作る
1.事業家と経営者の違い
2.事業経営(Business management)、会社経

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『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第6回 第一章 見ることと考えること 第三節 最良の奴隷にならないために 

『資本主義の家の管理人』~市場の時代を乗り越える希望のマネジメント 第6回 第一章 見ることと考えること 第三節 最良の奴隷にならないために 

第一章 見ることと考えること

第三節 最良の奴隷にならないために

<第一章構成>

第一節 世界の解像度を上げる~見ることからすべてが始まる
1.80億個の世界像
2.3次元の視点、4次元の視点
3.見えないものに思いを馳せる

第二節 人間の2つの本能~私益の追求と他者との適合性
1.アダム・スミスが見ていた世界
2.発展のエネルギーと秩序のエネルギー
3.小さな自由と大きな自由

第三節 

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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第5回 第二章 企業活動の全体像 

『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第5回 第二章 企業活動の全体像 

第二章 企業活動の全体像 ~利益は何のために

1.企業活動の入口と出口

日本最古の会社は、大阪にある株式会社金剛組です。金剛組は、聖徳太子が招聘した宮大工が西暦578年に創業した、世界で最も歴史のある会社とされています。

その後、江戸時代には三井組や小野組など、会社制度の先駆ともいえる共同企業が存在していましたが、これらは会社というよりも家族的結社の色合いの濃いものでした。

日本の株式会社

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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第4回 第一章 見ることと考えること

『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第4回 第一章 見ることと考えること

第一章 

見ることと考えること ~ガラスの窓が見える鳥

1.世界の解像度を上げる

マネジメントは、人と人、自分と「自分以外のすべてのもの」との間で最適な関係を創り出し続ける仕事です。自分以外のすべてのものとは、自分の周りのあらゆるもの、自分が存在する世界そのものを指します。

人間はこの世に生まれ落ちた瞬間から、五感を使って世界を感じ取ろうとします。窓から差し込む陽光、知らない大人たちの話し

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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第3回 序章 傾いた資本主義の家

『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第3回 序章 傾いた資本主義の家

序章 

傾いた資本主義の家 ~自由を市場に買いに行く

1.市場で暮らしていた香港の人々

私が1990年代の9年間を過ごした香港は、昼間は騒々しい雑踏に人々があふれかえり、空を覆い尽くす広告看板の下を二階建てバスや路面電車が絶え間なく行き交い、巨大な茶楼(飲茶を提供する大衆レストラン)では喧嘩のような大声で広東語が飛び交っていました。夜になると、山頂から見下ろす高層ビル群のネオンのきらめきとビ

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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第2回 目次

『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第2回 目次

目次

はじめに  発端 ~『歴史の終わり』と市場の時代の始まり
序 章   傾いた資本主義の家 ~自由を市場に買いに行く
第一章   見ることと考えること ~ガラスの窓が見える鳥
第二章   企業活動の全体像 ~利益は何のために
第三章   フィクションとしての会社 ~大切なものは目に見えない
第四章   事業と経営 ~時を告げるのではなく、時計を作れ
第五章   人はなぜ働くのか ~3人のレン

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『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第1回 はじめに

『資本主義の家の管理人』~市場化した社会を癒す希望のマネジメント 第1回 はじめに

はじめに 

発端 ~『歴史の終わり』と市場の時代の始まり

ベルリンの壁が崩壊した1989年11月、30代前半の商社マンだった私は、初めての海外赴任地である香港に降り立ちました。

当時まだ英国の植民地だった香港は、国際金融センターとして、また関税のない自由貿易港として、世界中の物資と資金と人が集まる「資本主義の実験場」でした。その年の6月には、北京で政治改革を求める学生や市民が人民解放軍によっ

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