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HSPだと気づいた日

最近、自分がHSPだと強く意識するようになった。
HSPとは、Highly Sensitive Person のことで、色々なことに敏感に反応してしまう人のことらしい。最近は「繊細さん」なんて謳われてさまざまな本が出ていたりする。病気という訳ではなく、人の性質として認識されるものだ。

知識は専門書がたくさんあるのでそちらに譲ることにして、私のHSP体験談をつらつらと書いていこうと思う。

私がHSPだと気づいたのは、26歳で転職して1年ほどたった頃。
結婚を機に転職し、これまでの職場ではかなりチームプレイを要求された仕事だったのに対して、転職先は割と縦割り社会だった。けれども専門職ではないから、個人で仕事を進めながらも報連相は欠かさず、上司にお伺いを立てながら着々と進めるという、まあ一般的な(私の知る限りでは)会社員だった。
そこで出会った直属の上司と初めての先輩(どちらも男性)は、かなりドライな感じで、自分の仕事はきっちりとこなし、周りを気にせず淡々と仕事を進めるタイプだった。周りからは好かれていたし、ぶっきらぼうな態度でもなく、必要以上に人に厳しい訳でもなかったのに、私はかなり萎縮していたと思う。それは転職して仕事の勝手が分からないからという新人らしい理由だけではなくて、相談した時に返ってくるドライな口調や、自分以外の人に発せられるちょっとした愚痴みたいなもの(例えば、別の部署から降ってきた仕事に対して「俺の仕事じゃねえのにな」みたいな、本当に些細な言葉)が怖くて、過剰に反応していた。
仕事が分からないから聞くしかない。でも、いつ、どのタイミングで声をかけたら良いのか。自分の進め方は合っているのか。そもそも進捗って報告した方が良いのか(他の同僚がその上司に進捗報告した時「ある程度は自分で進めていいよ」と言われていた)。そんな小さなモヤモヤをいつも抱えていて、気が張って、職場から帰るとぐったりと疲れていた。

その上司よりも上の上司との面談で、冗談まじりに「〇〇さん(直属の上司)が少し怖いことがあります…」と言ってみたけれど、あんまり理解されなかった。「口調はあれだけど、根は優しいよ〜」と言われ、まあそうだよな…私もその上司にどこを改善してほしいとはっきり思う訳でもないし…と、自分でもこの居心地の悪さをうまく説明できなかった。

私に仕事を教えてくれた先輩は、仕事の場面では人に厳しかった。休憩時間は雑談もするし、私が体調不良で休んだ時は気遣いの言葉をくれて、基本的には優しい。でも、誰かが軽い気持ちでその先輩に頼み事をすると「それは自分で出来ないんですか?」と返し、すぐに仕事を引き受けたりしない。もちろん、自分の仕事はきっちりこなしていた。私への教え方もマニュアルを渡して「読んで、やってみて、分からないところは聞いて」というスタンスだった。
私が夏休みで3日連続で休もうとした時、私は転職前の職場の雰囲気で先輩に仕事を頼んだ(前の職場は、他の人の仕事も積極的にフォローし合う文化だった)。もちろん、休み前にできることはやって早めに申し送りをしたけど、その先輩からは「その仕事を前倒ししたらどうですか」と言われた。これにはかなりショックを受けて、ここには助け合う文化はないんだ、自分一人でなんとかやらなければ、と休み前に必死に残業して片付けた。
この日以来、先輩に依頼するのがとても怖くなった。研修や出張など自分都合の理由ではなくて席にいないこともあるのに、先輩に私宛ての電話の取り次ぎをお願いすることもできなかった。「これから外出するので、▲▲さんから電話が来たら明日折り返すと伝えてください」たったこれだけの基本的なビジネス会話なのに出来なかった。▲▲さんから電話が来るかどうかも分からないのに、あらかじめ不在の旨をメールして仕事を増やしていた。どうしてもという時は超緊張しながら先輩に頼み(別に先輩は嫌な顔せず引き受けてくれた)、そんな日はやっぱり家に帰るとぐったりしてしまうのだった。

そうしながらも大きなミスもなく仕事を進めていった年度末のある日。
私は、3月の最終週にインフルエンザに罹ってしまった。年度末のむちゃくちゃ忙しい時期に休んで、もちろん急だったから自分の仕事も中途半端。休みの連絡をする時に声が震えた。先輩から私が残した仕事の件で折り返し電話がきて、咎める口調は一切なかったのに、私は罪悪感でいっぱいだった。

この日と日頃の仕事のやりづらさもあって、ベッドの中で「上司 相談できない」みたいなワードで検索をしまくっていた。人は不安になるとどうして検索ばかりしてしまうんだろう。
そこで見つけたのが「HSP」という単語だった。熱が下がって自宅療養期間中に関係する本を何冊か読んで、自分の今までの生きづらさはここから来てるのか、と納得した。なんなら共感し過ぎて、こうだったのかと分かった安心感で、本を読みながら泣いた。

前置きが長くなったけれど、私はこうしてHSPを自覚した。
ちなみに上司も先輩も異動になり、新しく来た女性の上司はとても雰囲気が柔らかい人なのに、相変わらず報連相は苦手なままだ。だから環境に関係なく、自分はこういう人間なのだと思って生きていくしかないんだろうと思う。

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