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はじめまして。

はじめまして。湊(みなと)といいます。

「湊」という字から港を想像する人がいるかもしれません。湊は船着き場の意味を持ち、人やものが集まる、活気ある様子を連想させるようです。

 また私は、しんとした夜の海や風の穏やかな静かな湖など、“水を連想させるもの“と音楽が好きです。このことをヒントに、水に関する部首である「氵(さんずい)」と「音楽を“奏でる”」という字が組み合わさった「湊」という字をニックネームとして使わせて頂きました。

 温故知新を大切にしようと日々生きています。

 noteを継続できるかは自分にもまだわかりませんが、私の気持ちは前向きです。でももしも続かなかったらその時は察してください。

「字を読む」ということ。

 それはみなさんの趣味かもしれません。あるいはクセかもしれない。しかし自分の綴った言葉を読んでくださること、それは私にとっては決して当たり前ではありません。自分の文章を読んでもらうこと、それはすなわちみなさんの命の時間を頂戴するということになります。話が壮大に思えてきますね。でも私はそういうことだと強く意識して書くように心がけています。

 では前述を踏まえ改めて。

 ここまで読んでいただいてありがとうございます。出会ってくれたこと、とても嬉しいです。そしてあなたに見つけてもらえた私は幸せ者です。素敵なご縁に恵まれました。
 稚拙な文章になります。内容もその日によって様々でしょう。
 不定期に気ままに綴っていきます。よろしくお願いします。

どんなのを書くの?

 どうしようかな、と考えたのですが、ショートショートのようなものを書いていた時期があるので、今回はそれを編集して再掲(?)させて頂こうと思います。どいつもこいつも、私の書くものは自分の思想が強く入っているかと思います。

 では次の見出しから本編に入ります。ここまで読んでいただいてありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。


「眩しい」

 やがて彼は見切りをつけたようにくるりと踵を返すと、そのまま歩き去ってしまった。その表情はどこか悲しそうだった。

 私はその後ろ姿をまるで阿呆のように眺めていた。さっきまであれほど言い合いをしていたというのに、もうどうでもよくなってしまったのだろうか。モヤモヤした思いがあふれるばかりで、結局私は彼を呼び止めることができなかった。

 幼い頃から私と違って優等生だった彼は、上辺だけを見て自分の評価をする周りの大人たちを想い、まるで買い被りすぎだと言って哀れんだ。聡明で周りの子と比べても大人っぽかった彼は、シニカルな一面も持っていた。

 また彼は、所謂「未来」や「将来」というものにはとんと興味が無いように見えた。むしろそういうものを嫌っていたと言っても過言ではない。
 彼曰く、自分は「哀れな大人」から、そう遠くない「未来」で「素晴らしい将来」を勝手に期待される。そして自分はそれに対して身を削っても応えなければならない、ということだった。

 ポケットに手を突っ込んだ彼の後ろ姿が、夕日に向かってだんだん小さくなってゆく。足下からは冬の影が伸びていて、まるで長い後ろ髪を引きずっているようにも見えた。

 私と彼は、違う。
 それは生物ならば当然のことで、いくら自分たちが人間だとはいえど、自分が好んだ相手と会話を重ねて考えに頷きあったところで、相手と同じ人間になれるわけではないのだ。

『同情することと優越感を感じることは全然違うように見えるけど、実は紙一重の違いしかないんだ。』

 彼は伏し目がちにそう言った。
 シニカルがいっそう深まったように感じたあの日も、今と同じ、冷え込んだ冬の夕暮れだった。

 なんとなく、私は彼を構成するものの核心をついたような気がした。
 私には何も無かったが、今まで彼と過ごした時間がそれを肯定しているように思えるのが不思議だった。

 やがて、見えなくなるほど小さくなった彼の背中を見て溜飲を下げると、私はさながら、先ほどの彼のように踵を返して歩み出すのだった。

 どこまでも長く続く田舎道を、二人の青年が一人ぼっちで歩いている。
 もうすぐ日が暮れそうだ。

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