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住めば都


都会は嫌いだと思っていた。

11月に引っ越してきたのは新幹線も泊まる主要駅。交通は便利なんだけど、引き換えに毎日どこもかしこも混んでいる。スーパーに行くために人通りを抜けないといけず毎度息苦しい。行き交う人は急いでいて空気も重々しい。

絶対将来は緑が多い地域に住む、こんなところに永住するのは真っ平御免だと思っていた。


ある時 偶然時間が余ったので1時間ほど近所を散歩してみた。
するとまっっったく知らない都会の一面を知ることができた。

歩道橋は絶景スポットだった。
夕暮れ時は刻々と空の色が変わってゆき、日が暮れると今度は星がいくつも見えた。風に吹かれると冷たくも美味しい空気を味わえた。

道端には小さなお花が力強く咲いていた。

いつも駆け足で歩いている箇所のタイルには色鮮やかなガラスが埋め込まれていた。

推しの広告がビルの側面にあった。


たしかに人混みはかなりの密度だ。でもほんのごく一部の面積だった。大抵の道は空いている。

嫌いだったのは都会で余裕を失った自分だったのかもしれない。東京だって田舎だってきっとどこも住めば都だ。

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