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あめやの桟橋とひなちゃん

初めて訪れた9月末。初めて乗るフェリーで船酔いしながらも、佐渡島への第一歩を踏みしめました。調べによると天気は晴れ。今日を逃すと夕日を見るのも難しそうな天気予報。気付いた時にはもうバスに乗り込んでいました。

バスに乗ること30分。佐渡島の佐和田にある「あめやの桟橋」に到着しました。
日本海に抜ける海岸にかかる一本の桟橋。その向こうには綺麗な海と空と雲、そして佐渡島のシルエットが、落ちゆく西日に照らされていました。

これだけでも十分きれいだけど、何かもう一つ物足りない。と思っていた矢先に僕の目に飛び込んできた、海を眺める高校生の女の子。

「この子に立ってもらったらめちゃくちゃいいやんか…」

この日の僕は勇気と行動力に溢れていたようです。普段声をかけるなんて殆どしないのですが、えいやと一歩を踏み出しました。

「こんにちは」
「こんにちは!」と明るい声が返ってきました。

地元の高校生のひなちゃん。よかったら写ってくれないかと頼んだところ、いいですよと快諾してくれました。
駐車場で待っていたお母さんにもご挨拶して、いざ撮影。

マスクは恥ずかしくて取れないこと
神奈川県の大学に進学したいこと
苗字が僕と同じだったこと
撮影の合間にそんな話をしているうちに、太陽が赤く燃え始めました。

空は僕が思っていた以上の夕焼けになり、美しく染まる佐渡島の景色と波の音の中に嬉しそうな声がずっと響いていました。

初めて出会った佐渡島は、とても暖かい空気と笑顔で僕を包んでくれました。

撮り終わってお母さんに写真を見せてその場を離れようとしたら、なんとホテルまで車で送ってくれました。いい写真撮れましたか?フェリーは寝ると酔わずにすみますよ。佐渡楽しんでね。
得体の知れない人のはずなのに、最後まで尽きることのない優しさ。

「ありがとうございました」とともに、彼女と食べようと新潟駅で買ってきた月見バーガーを差し出して、車を降りました。

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