見出し画像

田んぼに張り巡らされたもの

日が落ちてきたころ、そろそろ帰ろうかとトキロードを引き返していた時でした。
道端の雑草がキラキラと光っています。雨上がりの水滴かなと思っていましたが、よく見たら風になびく糸のようなものが揺れています。

その正体は蜘蛛の糸でした。辺りの雑草やポール、あらゆる所から糸が飛び出していました。

たくさんの蜘蛛の子どもでも居るのかな?と夕日の沈みゆく田んぼを見ると、衝撃的な光景が目の前に現れました。

田んぼのはるか向こうまで続く、光の道。美しい光で照らされる田んぼ全てに蜘蛛の糸が張られているのです。

どういうこと?どういうこと?とあたりを見渡します。360度全ての田んぼどれを見ても同じような状態でした。

自分は今、何か恐いものを見てしまっているのではないか。
もしかして佐渡島は今、何か大変な問題が起きているのではないか。


メイン通りに戻っても同じ景色。写真を撮れたのはほんの数枚だけ。パニックでした。

白く光っているのは全て蜘蛛の糸

しかしその場で調べてみたら「蜘蛛の糸が張るのは良質な田んぼの証拠」ということがわかりました。
多様ないきものが居るからこそ糸が張られる。そしてイナゴなどの害虫から田んぼを守るのが蜘蛛。だから、蜘蛛は「益虫」。田んぼと切っても切れない共生関係なのです。

本当にホッとしました。ああよかった。
そう思った帰り道に農家さんに声をかけられたので、蜘蛛の話を興奮しながら話しました。

「そうだよ、蜘蛛はいいんだ」と、
農家さんは笑っていました。

声をかけられた場所の近くで。
ああホッとした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?