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8/4 「声収録」 8/5 「通し 2回目」

ROCK  IN JAPANのリハがあったので、稽古場に来るのはちょっとあいて。


8/4

声収録

稽古場に数本のマイクが立てられて、声の録音がありました。

生の演技の他に、録音した様々な音が流されます。SEというやつですね。
PA卓にセットされたパソコンを覗くと、トラックミュージック制作の定番「Live」が映し出されていました。

声収録レポと合わせてこのSEについても少し書きますね。

音響(PA)さんの仕事については、またバンドが入ったり役者にマイクがついたりしたら詳しくお伝えしたいと思いますが、今回はこのSE出しについて少し。
(ちなみに役者につくマイクは30本!! これに楽器の音を取るマイクやラインがあるので、一体、全部で何チャンネル使うんだろう)

SEのひとつは、ガヤ、というのかな。みんなが騒ぐシーンとかで、生の声に足される音。人数感が増えますし、舞台の場所より少し離れた場所での騒ぎとかも、これで表現したりします。
あとは、回想シーンとかですね。
他に舞台によっては、刀で人を斬る音とか、風が吹く音とか、様々な効果音を音響さんが受け持ちます。

これってなんとなく想像つくでしょうか? 舞台を見に行ったらありますもんね。

でも、こうやって舞台を作る側から見ると、この重要性というか失敗できなさに気づくんですよね。

舞台は生なので本番にはいろんなトラブルはあるでしょう。
まあ、パッと思いつくのは役者がセリフに詰まることでしょうか。
人間なんで仕方ないことですし、これってきっと周りの役者の機転とかでなんとかなるんだと思います。

でも・・・
SEきっかけ、というシーンってありますよね。
例えば、番犬が鳴く音のSEに対して「何者だ!」と役者が反応するシーンとか、教会の鐘のSEで役者が時間を知る、とか。(ヴァグラントにもそういうシーンが実際あります)

そのタイミングで機材トラブって音がでなかったら・・・
間違ったボタン押しちゃったら・・・
時が止まる?

こわっっ!

ポルノでも状況は違うけど、ありました。MC 中になんちゃんの指がシーケンスのスタートキーに触れて、俺たちの耳の中にカウントの「ワン」が流れて大慌てしたことが。ミュージシャンの特性で、カウントがなると反応してしまうものなのです。
外音が鳴る前にストップしたのでお客さんは全然気づかなかったので、ミスったとまでは言えないけど、オンステージの人間はめっちゃビビって顔を見合わせました。

そんなハプニングは起きないとは思います。思いますが、観劇されてる時に、SEを聞いて時々は「普通に出ることもプロの技なんだ」と海原雄山みたいに小さく頷いてもらえたら、玄人感が増します。

果たして優勝は?

で、声収録。

いろんな場面で使う声を次々と録っていく中で、「誰が一番怖い声で怒鳴れるかオーディション」がありまして、はえある第一位はマリカさんが受賞されていました。
ご本人は「おしとやかなキャラで売っているのに」と不思議がられていましたが。
確かに。

8/5

「通し2回目」


この日「通し」の2回目でした。
稽古場に着いて、いつものように皆さんに挨拶に回った時、どの顔にもこれまでとは違う緊張感を感じました。
「荒通し」でも感じたことですが、さらにという感じです。
ストレッチしているまゆこちゃんに挨拶したら、やはりいつもより顔がきつかった気がしました。「気持ち作ってる」というやつなんでしょうか。かっこいい。
この日は、りょうた佐之助、まゆこトキ子のヒロコミペアでした。
「気持ちを作る」と言えばりょうたも。
この前の稽古で、相手役の人が少しセリフに詰まった時(←そりゃたまにはある)、ちゃんと文句言ってました。りょうた自身が気持ちを作っているんでしょうね。
もちろん、彼のキャラ的にも場の空気を悪くするようなものではなかったし、相手役の人と仲良しだということもあって、笑えるようなやり取りでしたが、それでもそういう緊張感は大切だなと僕は思いました。

僕が役者さんを見ていてかっこいいなと思うところは「気持ちを作る」以外にもいくつかあって。
その一つが、舞台袖にはけてもしばらくは演技しているところです。
例えば、ヤマの夫婦ペア(※)が一緒にはけてきた時も、シーンの会話が続いていたりするのを見ます。もちろん台本にはないセリフですが。
なんか「役者」って感じしません? 僕だけですかね。

さらにいうと。
ヴァグラントのキャラは夫婦に限らず、ペアになっていることが多くて、佐之助・桃風とか、松・香とか。そのペアがはけて来て、それでも演技が続いて、さらにその後。役が解いてすぐにお互いの演技について話し合っているのもよく見ます。
ペア演技の部分ですかね
ベンチに帰ってきたピッチャーとキャッチャーが今の投球について意見を交わしているみたいで、痺れるポイントですよね。

通しはたくさんの発見があって

通しをすると見えてくるものがたくさんあって、その全部をお伝えできないのが残念ですが、象徴的な出来事だけ。

2回目の通しが終わって、稽古場に見えない幕がおりた後。
役を解いた宮川さんが僕に「面白かった?」と聞いてくれました。
僕は「面白かったです!」と答えました。心から。
聞いてもらったことも嬉しかったですが、それ以上に!!
これって、ヴァグラントの世界が完全に役者さんのものになったってことだと思いません?
稽古の最初の方でこそ、僕の頭にあったヴァグラントや、板垣さんが作った脚本の中のヴァグラントを、役者の方が理解しようと頑張ってくれていた部分があったかもしれないけど、この段になって、「これがヴァグラントですよ」と役者さん側から教えてもらったような気がしました。宮川さんだけでなく、その世界の時間で息をしてきた役者さん全員に。
りょうたも「どうでした?」と聞いてくれたけど、同じようなニュアンスでした。

実際、通し後、板垣さんと話した時も言ってました。役者の全員がその世界に馴染んでくると相乗効果的に全員の演技がスムーズになるのだと。
この後、衣装を着たり(※※※)、バンドが入ったりして、ヴァグラントの世界はより鮮やかに彩られていくことになるけど、この土台がしっかりしていないとそれらに負けるし、逆にここができているとこれまた相乗効果的によくなっていくんだ、ということだそうです。
これってどのジャンル、どの仕事でも一緒ですよね。

※ ヤマの夫婦
ヤマの人たちには、オンでは語られていないけど(※※)、夫婦のペアリングがあって、ゴリカリ、アラハル、タツモモ、ユミソン、マリリン。ようせいさんは独り身。←めちゃくちゃマニアックな情報ですが、独りやもめのようせいさんを、他の女房たちがきづかっているように見えるシーンもあったり。

※※ オンで語る
これ、よく板垣さんやEP(エグゼクティヴ・プロデューサー)が使うんですけど、セリフや歌詞になっている設定のことですね。小百合さんも言うか。
「我らはマレビト」っていうのはオン。
僕とかはこれまでも、オンになっていない設定が観客に伝わるのか心配になったりして、大丈夫ですかね、と相談したことも多かったです。そんな時、オフ、つまり演技で伝えられることは演技で、とよくなだめられたものです。
歌のニュアンスで伝えることもオフというのかな。

(※※※)衣装付け通し
8/6、ポルノのロッキンの日に行われました。映像を少し見ましたが、さらに各キャラが際立っていました。
これも稽古の段階が一つ上がる区切りなので、役者さんは気合が入るみたいです。


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