見出し画像

【詩】水上の青

氷の様に固い過去が蘇って
呼び込むように
波紋がこちらに寄ってくる


これは悲劇


わたしたちは手をつないで
海の底に向かってる

味の無い海水が
体を包んで二人を飲み込む

ゆっくりと
戻れない様
ゆっくりと

沈む


まるで喜劇


憐れな二人
周りは見えない
取り囲む人々は
気持ちのない
視線を送る


お互いが傷ついては
抱きしめあい
涙する


光の速さで繋いだ手を
金色のナイフが
裂いてくれなければ
深海の中で無になっていた


自分が負った傷を責め
こんな終わり方はだめと
時計の針を巻き戻す


僅かに見えるあなたの手を
掴もうと手を出しても
届かない


ただ救いたいだけなのに
助けたいだけなのに
抱きしめたいだけなのに


手を離し
徐々に光が見え
水上に顔を出す




ふたりの悲劇にも喜劇にも
道はない


わたしの悲劇には喜劇にさえ
通り過ぎる先に白い砂浜が
待ってる






この記事が参加している募集

スキしてみて

私の作品紹介

書き手としてサポートしていただくと励みになります。サポートしたいと言う優しい方々、心の広い方々よろしくお願いします🎵