事務職からITエンジニアへの転職を考える2 ソフトウェアの可能性と戦略
僕は長年 IT エンジニアとして働く傍ら、知人の会社の事務の仕事もしてきました。その経験から事務職からITエンジニアへの転職は「アリ」だと考えています。
一方で、IT エンジニアになるには覚えることも多く、一筋縄ではいかないのも事実です。
僕は事務職から一般的に言われているエンジニアへの転職とは違う方法があると思っています。それを 3 つの記事にまとめてみました。そのほかの記事はこちら。
前回はエンジニア市場の視点から事務職からエンジニアに転職する方法について考えてみました。
今回はソフトウェアの可能性から考えてみたいと思います。
エンジニア不足を解消するには?
前回紹介した経済産業省の IT 人材需給に関する調査 やこの調査結果を紹介している転職サイトではエンジニア不足を解消するための方法についても言及されています。
スキルアップ・育成環境の充実
待遇改善
人材派遣やフリーランスの活用
初等中等教育でのプログラミング教育
多少ポジショントーク感はあるものの、大体こんな感じに集約されます。
それぞれに意味はあり、推進していけばよいのですが、僕はひとつ抜けている点があるのではないかと思っています。
「ソフトウェアの可能性」とは?
僕はエンジニアですから、作るもの (ソフトウェア) の可能性を信じている、信じたいと思っています。
でも、「は?ソフトウェアの可能性って何?」って感じですよね笑
順を追って説明していきます。
たとえば、あなたが顧客の情報を整理したいとして、手元に Excel があったら、どうしますか?
ぱぱっと Excel でカンタンな住所録を作ってしまうのではないでしょうか。
よほど特殊な事情がない限り、わざわざ住所録システムを購入する人はほとんどいないはずです。
本来、解決すべき課題はユーザの近くにあります。
そして適切なソフトウェア (ツール) があれば、ユーザはそれを使って自分で課題を解決します。
Excel には基本的に「シート」、「行」、「列」、「セル」しかありません。住所録と関係のないこれらの要素を組み合わせて、住所録を作成する創造性があなたにはあるのです。
Excel がなければどうでしょうか?顧客情報が 50 件ぐらいならなんとかできそうですが、100 件、200 件となってきたら、住所録システムの購入を検討するかもしれません。
このように適切なソフトウェアがあれば、ユーザは自分で解決策を作り出すことができます。
これが僕の考える「ソフトウェアの可能性」です。
Excel があることでエンジニアは住所録システムを作る必要はなくなりました。少なくとも、なんの特徴もない住所録システムを作る必要はないでしょう。
エンジニアはユーザが創造性を発揮できるソフトウェアを構築し、自身はより専門的な領域に集中する、、、というのが僕が考える「エンジニア不足」を解消する方法です。
こういう視点が語られることはほとんどありませんが、その萌芽はあちこちで見かけます。
Excel は昔からそういう役割を担っています。
少し前から kintone や Notion といった自由度の高いサービスが台頭してきています。
RPA や PowerAutomate、Python による自動化などもその一端と言えるでしょう。
事務職からいきなりエンジニアは得策ではない
ここで事務職からエンジニアへの転職の話に戻ります。
世間にはエンジニアへの転職を目指す方法について多くの情報がありますが、僕は事務職からいきなりエンジニアを目指すのは得策ではないと考えています。
まず、「エンジニアになるための勉強」は「受験のための勉強」と同じです。そこに楽しみを見いだせればよいですが、そうでなければかなりの苦痛です。
エンジニアになることをあきらめる人が多いのは、そこに楽しみを見いだせせないから、というのが大きな理由ではないかと思います。
がんばってその苦難を乗り越えて、いざ転職しようとしても未経験です。未経験 OK を謳っている採用も多いですが、入社してみるとほったらかし、なんていうのもよくあります。
転職サービスなどを利用し、ある程度対策することはできますが、やはり「未経験」のリスクはつきまとうでしょう。
では、事務職がエンジニアになるにはどうすればよいのでしょうか?
目の前にある課題を解決しながらスキルアップ
僕は順番が違うと思っています。
エンジニアになるために勉強を始めるのではなく、目の前にある課題をソフトウェアで解決するために勉強を始めるのはどうでしょうか。
先に登場した「ユーザが創造性を発揮できるソフトウェア」の使い方を学び、それを使って、今、目の前にある課題の解決を目指すのです。
それが事務職がエンジニアになる一番の近道だと僕は思います。
「普通に勉強した方がずっと早いのでは?」と思われるかもしれません。
もともと IT に興味があり、自分でどんどん学習を進められる人は普通に勉強した方が早いでしょう。しかし、そういう人は最初から事務職には就かず、エンジニアになっているのではないでしょうか。
今、事務職で働いていて、エンジニアになりたいと考えている人は「収入を増やしたい」とか「キャリアアップを目指して」といったことが動機の方が多いと思います。
さらにこの方法には単にエンジニアになるための勉強することでは得られない絶大な効果も期待できます。
続きます。
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