「成瀬は天下を取りに行く」を読んだ感想

皆さんは読書をしているでしょうか?社会人になってから本をあまり読んでないという人はとても多いと思います。たまに読んでも金稼ぎの本や自己啓発の本、Pythonの技術書と言ったところではないでしょうか?

別にそれでも良いのですが、たまに優れた文学作品を読むと心を揺さぶらたりするわけです。同じ作品を読んでも人によって感じ方は違うわけですが、それも含めて文学作品の良いところだと思います。

さて今回は2024年の本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りに行く」についてちょっと語りたいと思います。ちなみに本屋大賞は書店員が売りたい本というコンセプトでそもそも商売っけが結構ある賞なのです。ですがその加護を得る前に成瀬はすでに40万部を突破しているとのことです。ここ最近の文学作品としては異例の大ヒットと言って良いでしょう。業界は違いますがちいかわ並みのヒットと言えます。売れているものは基本的に面白いことが多いというのは私の持論です。大衆は馬鹿じゃないですからね。

まずこの作品はタイトルにインパクトがあります。成瀬というのは主人公の名前が「成瀬あかり」だからなのですが、「天下を取りに行く」という単語は戦国時代でもなければなかなか使われない表現かと思います。でもこの作品の舞台は現代の滋賀な訳です。

読んでいくと「天下を取りに行く」の意味はなんとなくわかるのですが、それは実際に読んだ時のお楽しみかと思います。天下を取りに行ってるなってわかります。

この本は主人公成瀬あかりを中心として周囲の人たち視点で描かれた短い物語がいくつかあって、最後の章で全部が繋がるという構成になっています。私の記憶では伊坂幸太郎さんのアイネクラフトマハトムジークでこのタイプの構成に最初に出会いました。当時としては斬新でちょっと驚いた記憶があります。

もちろん今となってはこの構成はありふれたものなのですが、成瀬は天下を取りに行くではこの構成でないとこの群像劇を上手く描けなかったと思いますので、それは作者の力量と言ったところですね。素晴らしいです。

ちなみに続編の「成瀬は信じた道をいく」も同様の構成なのですが、より洗練されていて私個人としては2作目の方がより面白かったです。もちろん1作目ありきの小説なのでこの作品が気に入った方は2作目も読んでいただければと思います。

読めば滋賀・大津の膳所に行きたくなります。必ず笑

(おわり)



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