銀行員の仕事   (営業係)_5_県外店_7_信用保証協会

ある日、信用保証協会の職員2名が、支店に挨拶に来た。
田中は、応接室で、支店長、融資係、営業係とともに名刺交換を行った。

信用保証協会の職員は、
「融資案件を、積極的に行いたいので、よろしくお願いします。ファックスでの事前協議も大歓迎です」と言った。

田中には、追い風となった。
信用保証協会付の融資案件は、融資回収が不可能になった場合、信用保証協会が全額、代位弁済してくれる。よって信用保証協会付融資案件は100%、融資可で決裁されるからだ。

田中も、過去に、短期手形融資、長期運転資金をお願いして社長達に借りて貰った事があったが、決算書が読めるようになってから、改めて見ると、融資の長短バランスがとれていない先が多い事に気が付き出していた。そこには銀行員による「お願いベース」での融資の弊害が現れていた。

そこで田中は、
他行の既存融資の肩代わりを信用保証協会付で行う事を思いついた。

①「他行融資を、保証協会付融資の7年返済等に一本化しキャッシュ・フローを改善する」提案書を作成する。
②決算書分析ソフトで作成した「貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書」等と企業要録、提案書を事前協議として信用保証協会にファックスする。
③2、3日後には、信用保証協会から、保証可否の連絡が入る。
 ※先日、支店に挨拶に訪れた信用保証協会の担当者は、ずば抜けて仕事が早かった
④社長に提案書を渡し、メリットを説明する。
⑤社長のOKが出たら、協議書を作成する。

前述した通り、信用保証協会付融資の、協議書は100%、融資可になる。
先に信用保証協会と社長の承認を貰う事で、融資スピードをアップさせた田中は、支店で1番の営業成績をとった。

前任の支店長の元では、死んだようになっていた田中だったが、信用保証協会の優秀な担当者の助けもあり、生き生きと営業に取り組んでいた。


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