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電動キックボードの法改正はおかしい

7月1日に法律が改正され、電動キックボードが話題になっています。

どういう改正かというと、原付の区分がこれまでの原付バイクに該当する「一般原動機付自転車(一般原付)」、電動キックボード等の車両に割り当てられる「特定小型原動機付自転車(特定原付)」の2種類に分けられるようになりました。

特定原付の条件は以下の通りです。

・長さ190cm以下/幅60cm以下の車両
・電動の原動機で定格出力が0.6kW以下
・最高速度が20km/h以下で走行中に速度設定ができない構造
・AT機構の車両
・最高速度表示灯の搭載
・道路運送車両法で定められた保安部品の装着

さらに、ヘルメットの着用が努力義務となっただけでなく、一番の特徴は免許が不要であるところです(ここが一番問題だと思います)。

実験を行って、免許がない人は違反を起こしやすいことを明らかにしているにも関わらず、免許不要としているのが異常です。

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会という検討会の資料があります。この資料でその実験の詳細が記されています。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/saisyuhoukokusyo.pdf

被験者は、各年代の運転免許を受けている人10人、受けていない人10人、計50人×2の100人で行われました。

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会

実験は、下表の課題に対して、被験者がどのように行動するかがチェックされました。

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会

違反の種類ごとに採点基準が設けられており、例えば信号無視をすれば50点、車間距離を十分保持しなければ10点と違反に応じて点数がつけられます。

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会

要するに教習所のコースを使って、電動キックボードを色んな人に走ってもらって免許有無で点数に差があるのかないのかを見てみよう、という実験です。

次の表がその結果です。

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会

この表を見ると、ほぼすべての項目において、免許なしの違反点数が高くなっています。特に指定場所不停止(とまれのところで止まっていないと思われます)、信号無視が高くなっています。

とまれで止まらないということは、見通しの悪い交差点で車を運転していたら、電動キックボードが止まらずに突っ込んでくるということです。

信号も同様で、信号無視をして突っ込んできます。また、わずかながら逆行もあります。ツイッターで話題になっていましたが、実際にも電動キックボードで逆走している人が撮影されていました。

そして、一番衝撃的なのが、次の文章です。

運転免許の有無で一部の項目を除き、運転者の運転行動に大きな差はない…????

述べ点数の全体平均は免許ありが36,585点、免許なしが120,665点なんですが???

これを差が無いと結論付けれるの?

そして、このような違いが出た理由として、「交通ルールに関する知識の差が要因」と言っています。

うん、そうだよね。だから免許いるよね。

なぜ免許不要にした??アホなんか?

この実験をやらなくても、想像だけで免許がない人は事故起こしそう、違反が多そう、って思うじゃないですか。で、実際実験していると。そして無免許は違反が多くなると。ちゃんとデータ取ってこれ?いや意味わからんよ。

まあこういうのは異常に点数が高い人がいれば、平均が上に引っ張られて、高くなってしまうこともあります。しかし、このデータを見ると…

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会

中央値でも免許なしの方が圧倒的に高いです。

これで差が無いというのはあまりにもお粗末、こんなの上司に報告したらしばかれます。

さらに、電動キックボードはヘルメットが努力義務となっていますが、この資料の図によると、ヘルメット着用有無で致死率が3倍も変わる結果になっています。

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会

こんなに変わるなら、努力義務じゃなくて着用義務にすべきでは…

さらに、JAFの動画を紹介します。電動キックボードの衝突実験を行った動画です。

電動キックボードは車輪が小さく不安定なため、路面の凹凸や障害物などで簡単に転倒してしまいます。電動キックボードで縁石に突っ込んだ場合、前につんのめって転倒し、ヘルメットを着用していても頭蓋骨骨折のリスクがある数値になりました。

ヘルメットが無い場合は、頭部損傷値がヘルメットありの6倍以上の数値に上昇しました。

また、歩道走行が認められている6kmで歩行者にぶつかった場合、歩行者は頭部障害のリスクが高い結果になりました。

電動キックボードの衝突実験【JAFユーザーテスト】

こちらはヘルメット非着用で20km/hで自動者に衝突した場合です。

電動キックボードの衝突実験【JAFユーザーテスト

こちらも頭部に重篤な障害を受ける危険性が高い結果となりました。他にも様々な実験が行われており、電動キックボードの危険性を示す結果が得られています(詳細は動画をチェックしてみてください)。

このように、非常に危険な乗り物であるにもかかわらず、ヘルメット着用努力義務、無免許OKという法改正に強い憤りを感じています。

歩道でも人にぶつかれば脳に障害が残る可能性がありますし、ドライバーとしては、電動キックボードをはねて取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。

車のドライバーとしては、本音を言えば電動キックボードは即刻禁止してほしいところですが、最低限、ヘルメット着用義務、免許必要ということにしてほしいです。

この文章を読まれた方は、電動キックボードは乗らないことをお勧めします。危険ですし、周りにも迷惑が掛かります。せめて免許を取って道交法を理解してからにしてください。お願いします。

おわり


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