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シティリーグのデッキ選択と、それによる勝数の確率分布の変化

始めに

シティリーグも始まっており、どんなデッキを使おうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はデッキと対面による相性によって、勝率がどんな期待値になるのかを考えてみようかと思います。

なんでこんなことを考えたかというと、CL横浜に出たときにとにかく安定したデッキを使いたいと思ってそういう構築を意識した結果、予定通り安定した結果が出たものの7勝という目標には足りないということを強く感じたからです。

参考記事

この記事のポイントとしては
「期待値(勝率)は高いが、上振れも下振れもしにくいデッキと、期待値は若干落ちるが、上振れする可能性が高いデッキ、どっちが決勝トーナメント行ける確率が高いのか?」
ということを検証しています。

それでは、本編です。

単純な勝利数の確率計算

まずは単純に1戦ごとの勝率によって勝数の確率分布がどのようになるかを計算してみます。

これまでも何度か出してきましたが、1戦ごとの勝率をpとして、予選5回戦行うとするとn勝する確率はこのように計算できます。

₅Cn×p^n×(1-p)^(5-n)

で計算できます。

例えば、1戦ごとの勝率が5割であれば、確率分布は次のようになります。

0勝:3.1%
1勝:15.6%
2勝:31.3%
3勝:31.3%
4勝:15.6%
5勝:3.1%
4勝以上できる確率:18.7%

完全に勝率が5割だとしても、2割弱の確率で4勝以上できる計算になります。毎回シティリーグで続けていればシーズンに1回ぐらいは決勝トーナメントに残れる可能性もありそうです。

これが勝率が1割上がって6割だとすると分布は次のように変化します。

0勝:1.0%
1勝:7.7%
2勝:23.0%
3勝:34.5%
4勝:25.9%
5勝:7.8%
4勝以上できる確率:33.7%

50%から5%刻みで同様の計算をすると次のようになります。

1戦ごとの勝率による、5戦しての勝ち数の確率分布

毎回のように決勝トーナメントに残っている猛者は、普段から8割以上の勝率を上げているものと思われます。

さて、自分はどうだったかというと、昨シーズンのジムバ、トレリ、シティ、CL等の結果を見返してみたところ次のような結果でした。
(記録取ってないものもあるのでだいたいの数字です)

220戦154勝66敗 勝率70%

ちょうど7割という勝率でした。クォーターごとに見ると

2022年9月~11月:69%
2022年12月~2023年2月:62%
2023年3月~5月:73%
2023年6月~8月:75%

後半に行くにつれ勝率が上がっているのは嬉しいです。
ちなみにシティとCLに限定すると45戦29勝16敗の勝率64.4%でした。

シティはジムバなどに比べてガチ勢が多いことと、直近の成績の良さを相殺して自分の1戦ごとの勝率を7割とします。
すると自分が4勝以上できる期待値は5割程度、かつ4勝しても半分の確率でオポ落ちすることを考えると決勝トーナメントに行ける確率は3割強というのが今の自分の立ち位置だと考えています。

デッキ相性を加味した確率計算

さて、ここからが本題で、どんなデッキを使うかという話になります。

今の環境でどんなデッキが多いかということに関して、こちらのデータを使わせていただきました。

パオジアン:15.1%
ロストギラティナ:14.6%
リザードン:13.7%
サーナイト:11.9%
ルギア:8.7%
ミライドン:6.8%
ミュウ:6.6%
ロストバレット:3.3%
インテウーラ:2.2%
その他:17.2%

私は今回ミュウを使おうと考えています、ミュウを使った際に、自分と同じぐらいの実力を持った人と対戦したら、だいたいこれくらいの勝率になるという印象があります。
(統計取ったわけではないので勘です、このデッキへの勝率はもっと高いだろ、低いだろ、というのはまた別の議論なのでここでは取り扱いません)

パオジアン:70%
ロストギラティナ:50%
リザードン:30%
サーナイト:40%
ルギア:50%
ミライドン:70%
ミュウ:50%
ロストバレット:45%
インテウーラ:75%
その他:65%

PTCGLをやっていると、レートによって自分の実力と同じぐらいの相手と当たるようになっているのでデッキ間の有利不利は推測できます。リザードンはやっぱきついしミライドンなどは普通に回ればだいたい勝てます。

この体感値と、デッキの分布割合を掛け合わせると、勝率の期待値は53%となりました。プレイスキルを考慮しなければ、ミュウデッキの勝率としてはまあだいたいこんなもん、という感じがしています。

さて前半部分の計算を用いて、勝率が53%の場合の勝利数の確率分布は次のようになります。

0勝:2.3%
1勝:13.0%
2勝:29.2%
3勝:32.9%
4勝:18.5%
5勝:4.2%
4勝以上できる確率:22.7%

これはどんな対面でも53%勝てる場合での確率分布です。
これを、前述のようにリザードンには3割しか勝てない、けどパオジアンには7割勝てるというように対面ごとの勝率とそのデッキの存在割合(当たる確率)を考慮するとこのように分布が変化します。

0勝:4.4%
1勝:14.5%
2勝:24.1%
3勝:27.4%
4勝:21.3%
5勝:8.2%
4勝以上できる確率:29.5%

並べてみるとこんな感じです。

相性を考慮した勝率、4勝以上する確率も上がるが、0勝、1勝で終わる確率も上がる

見てわかる通り、4勝以上する確率も上がっていますが、スコ負けする確率も上がっています。統計的に言うと、期待値は同じであるが、分散(標準偏差)が上がっているという状態になります。

これを、私の昨季の勝率に合わせて、トータルの勝率の期待値が53%→70%になるように適当に数字をいじると、勝数の確率分布は次のように変化します。

数値は直感なので参考程度に

ミュウを使おうと思ったのは直感だったのですが、このように計算してみると、まあいい選択であるように思えました。トナメ行けるのは4割程度、まあそんなもんあれば上出来だなーという印象でもあります。
またこういう計算をしてみると、スコ負けしてもしゃーない、と諦めが付くようにも思えます。

デッキごとの分布比較

次に得意不得意がはっきりしているデッキと、不利対面が少ないデッキとの比較をしてみます。
不利対面が少ないデッキの代表格としてロスギラが挙げられると思いますが、自分がロスギラを使ってて、自分と同じぐらいの実力の人と当たった場合の勝率はこれくらいのイメージです。

パオジアン:60%
ロストギラティナ:50%
リザードン:60%
サーナイト:50%
ルギア:40%
ミライドン:55%
ミュウ:50%
ロストバレット:45%
インテウーラ:40%
その他:70%

デッキの使用率を考慮すると、勝率の期待値は55%になりました。わずかではありますがミュウより高い期待値となりました。
これを5戦しての勝ち数の確率分布を計算するとこのようになりました。

1戦ごとの期待勝率はギラティナの方が高くても
4勝以上する確率はミュウの方が高い

興味深い結果で、1戦ごとで見るとギラティナの方が勝率は高いですが、4勝以上する確率はミュウの方が高い結果となりました。
(くどいようですが数値は感覚で設定しているので、構築やプレイ方法によって大きく変わってきます)

ここまでの結果を見ると、シティリーグで4勝以上する、あるいはCLで7勝以上するためには

  • (当然ながら)勝利の期待値は高ければ高い方がいい

  • 同時に、分散が大きい方がいいい(勝てるデッキと勝てないデッキがはっきりしている)

デッキを使うことが確率を高める方法だと言えます。

難しいのは分散が大きい方がいいからと言って突飛すぎるデッキを使うと平均勝率が下がってしまってしまうところです。
その意味で、パオジアンなどはその両者がバランスが取れているように思えて、人気があるのも納得できる結果に見えます。

最後に

SNS等で流れてくるシティの結果を見ていると、環境をメタった「なんでこんなデッキが勝つの?」というようなデッキが目立って見えますが、数百の単位で行われている大会を見れば確率的にも当然のことのように思えます。しかしその一方で大外ししてスコ負けしている死屍累々がいることも忘れてはいけません。

基本的な考えとして、普通にやれば8割ぐらいは勝てるわ、という自信のある猛者は苦手対面の少ない、安定したデッキを使う方が期待値が高いように思いますし、

いや、そんなに勝てませんわ、という方は勝てるデッキにはほぼ負けない、けどデッキによっては全く勝てない、というピーキーなデッキを使う方が期待値が高くなるかと思います。

しかし、個人レベルでいえば誤差の範囲と言ってもいいし、それよりも基本的なプレイスキルやデッキの練度の方が影響としてはずっと大きいので、最終的には自分が好きなデッキを信じて使うのがいいと思いますが、こんなことを考えながらデッキ選択を悩むのもこのゲームの楽しさの一つだと思います。

それでは、これから出場される方の健闘を祈ります。

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