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ロストギラティナの確率論【番外編】

始めに

Xで話題になったこの投稿、どちらが正解かという議論が巻き起こりました。

https://x.com/bSWwgPDyARJAVsD/status/1721724008989917363?s=20

議論のポイントとしていくつかありますが、大きく分けるとこの2点だと思います。
・どちらが理想の動きができるか
・どちらが思うようにいかない場合が多いか

どちらがいいかというのは本人のリスク許容度(安定を取りたいか上振れを狙いたいか)にもよって一概にも言えないのですが、おもしろそうだったのでそれぞれの場合での確率計算を行ってみました。

前にも書きましたがこの手の確率計算は上振れの計算をしようとすると、
めっちゃ複雑になって人間の手で計算できる範囲ではなくなります。
理由は上振れの場合は条件分岐がすごく多くなるからです。

この場合はそれこそAIにやってもらうか、気合で何百回とこのパターンをやってみて、どちらがよかったかを集計する方がずっと楽だし精度もいいです。
(このXの投稿にリアクションした人が何百人もいたので、その全員で1回ずつそれぞれのパターンまわしてもらって投票してもらったりしたらかなりいい結果が出る気がします)

一方下振れの場合はできる行動の選択肢が少なく、
パターンが限定できるので比較的確率計算が行いやすいです。

ということで、それぞれの場合で下振れの確率を計算してみます。

ゴールの設定

こういう計算をする場合、何をゴールとするかということを決めることが重要なのですが、今回の場合次のようなことをゴールとして計算をしました。

アクロマを選択した場合
1ターン目にギラティナを場に出せる確率

VIPパスを選択した場合
2ターン目までにアクロマを1枚以上使える確率

厳密には色んなパターンがあると思いますが、
今回の元となるはなえらびの選択はギラティナを出すこと優先させるか、
アクロマ使うことを優先させるか、という選択がメインだったので、
採らなかったもう一方の選択ができる確率を求めるのがいいのではないかと思いました。

計算方法

今回の計算方法は非常に単純です。

理由は大きく2つあり、
1つ目はどちらのパターンも目的とするカード最低1枚が引けるかどうかを計算すればいいだけだからです。
これまで計算してきたパターンの場合は例えばボール系のカードを1枚引いてくるパターンと2枚、3枚と引いてくるパターンを分けて考えなければならなかったですが、今回の場合は1枚引いてきさえすればそれだけでゴールに到達します。

2つ目は今回の場合基本は上から引いていく縦引きで、サーチしてから何かをする、というのがないことです。
それにより計算が楽になるのは、サイド落ちをほぼ考慮する必要がなくなることです。

あとはロスギラミラーであるため、次の相手のターン手札干渉を使ってくる可能性が少ないというのもよいです。

面倒になるのはサーチしてから山を見た結果、その後の行動が変わってしまうというパターンですが、今回の場合はサーチをしてもその後も目的が変わることはないので、サイド落ちを考慮しなくても影響ありません。
山を確認して、アクロマが1枚サイド落ちしていたからといって、その後の行動が変わることはなく、アクロマを引きに行くことがゴールのままです。
(ギラティナやアクロマが全部サイド落ち、みたいな場合はその後の行動に影響出ますが、それが起こるのは0.1%ぐらいなので無視します)

具体的な計算

やり方は非常に簡単で、1枚ずつカードを見ていって、目的外の外れを引く確率を出していきます。
それを続けていって全部外れを引く確率を出し、それを100%から引けば、当たりを最低1枚引く確率を出すことができます。

これまで再三出てきた「余事象」というやつです。

アクロマを選択した場合

当たりは以下の9枚です、数量はよくあるデッキを参照しました。

・バトルVIPパス 3枚(1枚ははなえらび時にロスト)
・ネストボール 3枚
・ギラティナV 3枚

初回に7枚、最初のドローで1枚、はなえらびで2枚、合計10枚既に引いているので、残っている札は50枚です。
つまりこの中で外れは41枚です。

この中から1枚ずつ引いて行って、外れを引く確率は

1枚目:41/50
です。

2枚目は総数も外れ札も1枚ずつ減るので、外れを引く確率は

2枚目:40/49

となります。
同様に3枚目以降は

3枚目:39/48
4枚目:38/47
5枚目:37/46

なのでアクロマを使って5枚引いて、その中から目的のカードを1枚も引けない確率は

(41/50)×(40/49)×(39/48)×(38/47)×(37/46)=35.4%

となります。

表にした方が分かりやすいので引ける枚数と目的のカードが引ける確率を一覧にしました。

引く枚数と外れ続ける確率、その余事象としての当たる確率

アクロマだけで引ける確率は約65%です。

アクロマで引けなかった場合は穴抜けのひもを使って2回目のはなえらびをしに行くと思います。
それをすると引ける枚数は7枚まで増えるので、引ける確率は77%まで上がります。

さらに、VIPパス、ネストボール、ギラティナVが引けなくても、その過程でキュワワーかゲッコウガを引くことができればさらに引くことができます。

"VIPパス、ネストボール、ギラティナVを引かない、かつ、キュワワーかゲッコウガを引く確率”

100%-[どれも引かない確率]-[VIPパス、ネストボール、ギラティナVいずれかを引く確率]

で表すことができます。

こんな感じ

VIPパス、ネストボール、ギラティナV、キュワワー、ゲッコウガいずれも引かない確率はこれまでの計算から、外れとなるカードが、山に残っているキュワワー2体とゲッコウガ1体、
合計3枚が減り38枚のカードから7回連続で引く確率になるので

(38/50)×(37/49)×・・・×(32/44)=13%

ここまででVIPパス、ネストボール、ギラティナVいずれかを引く確率が77%なので、

100%-77%-13%=10%

キュワワーかゲッコウガのみを引いてくる確率は10%となります。

この10%になると、さらに2枚引けることになります。

その2枚で目的のカードを引いてくる確率は
残っている山札が43枚、外れカードが34枚なので、

1-(34/43)×(33/42)=38%

これに前提条件の10%をかけると、3.8%の確率でこのパターンが発生することになります。

これをチャートにしてそれぞれの発生確率を表すと次のようになります。

アクロマを使った場合の行動のチャートとそれぞれの発生確率

3回目のはなえらびを行った後に、さらにかくしふだを使った、みたいなパターンもありますが、さすがに誤差レベルだと思うので無視します。

以上から、アクロマを使った場合、そのターンのうちにギラティナを出せる確率は

81.2%

ということになりました。

8割の確率では出せるし、残りの2割の場合もウッウは出せて攻撃はできる、
次のアクロマを引いて次のターンにつなげられる場合もあるので、
まあ悪くない動きのように見えます。

VIPパスを使う場合

こちらの場合は、VIPパスを使ってギラティナとゲッコウガを持ってくる動きをすると思います。
この場合だけはゲッコウガがサイド落ちしているかどうかでその先の行動が変わってくるので、
分けて考える必要があります。

まずゲッコウガがサイド落ちしている確率は1枚しかないカードなので非常に単純で、今残っている50枚のカードから6枚を選び、その中にゲッコウガが入っている確率なので

6/50=12%

となります。

こちらは先にチャートを書いてしまった方が分かりやすそうです。
下図のようなパターンがあり、そのそれぞれの確率を求めます。

この先にも2ターン目にジェットエネルギーだとか入れ替え札を使って
はなえらびを1回、もしくは2回引くパターンがありますが、面倒なので最後にざっくり計算します。

VIPパスを選択した場合の行動チャート

かくしふだを使ったときに、ジェットエネ、入れ替えカート、穴抜けのひもを引くかどうかでその後の行動は変わると思います。
引いてくればもう一回後ろのキュワワーではなえらびをするし、
なければそのままアビスシークを打ってしまうと思います。

かくしふだを使って、
・アクロマを引いてくる確率
・アクロマは引かないが入れ替え札を引いてくる確率
・どれも引いてこない確率
はアクロマを使ったパターンでやった
VIPパス、ネストボール、ギラティナVは引かないがキュワワーかゲッコウガを引いてくるパターンと同じ方法で出すことができます。

あとはこれまでと同様に引ける枚数によって目的となるカードを引ける確率を計算していくだけです。
今回の場合、当たりカードはアクロマの3枚だけなので、引く枚数と当たる確率の表は次のようになります。

引く枚数とアクロマを引ける確率

これをチャートに重ねると、それぞれのパターンの発生確率は次のようになります。

合計すると2ターン目までにアクロマを引いてこられる確率は46.1%となりました。
ここから2ターン目に入れ替えを引いてきてさらに2枚、もしくは4枚引ける確率を出すと5%~10%は上がると思われるので、
最終的には50%強になると思われます。
(あとかくしふだでナンジャモを引いてくる確率も2枚採用なら8%程度あり、それでさらに6枚引いてアクロマを引いてくるという場合もその8%中の3~4割あるので、それも含めると55%ぐらいまでは上がると思われます))

意外と低いですね、はなえらびでアクロマをロストしてしまって、当たりカードが3枚しか残っていない影響が大きそうに思います。

試しにアクロマが4枚残っている前提で計算してみたら、
46.1%→56.0%
と10%程度上昇しました。

山に残っているアクロマの枚数が3枚の場合と4枚の場合の比較

ちなみに、1ターン目にアクロマが使える確率は13.5%で、これはあまり期待しない方がよさそうです。

まとめ

2ターン目にアクロマを使えない可能性の高さを考えると、はなえらびでの選択は、アクロマを選択した方がいいような気がしました。
VIPパスを使った場合、1ターン目のロストは3枚で、2ターン目アクロマを使えたとして5枚、さらにはなえらびを2回してようやく7枚に到達するので、その後の動きを考えてもアクロマ選択の方が広い気がします。

また、12%の確率で発生するVIPパスを使ってゲッコウガがサイド落ちしていた場合、まあまあ悲惨なことになりそうです。

ただ、これは一つのパターンの確率計算をしただけで、
実際にはさらに多くの行動パターンがあるので一概には言えないのですが、
実際の対戦での選択基準の助けになれば幸いです。

けど、何度でも言います。
頑張って数百回単位でシミュレーションしてどっちの方が強い動きができた
実験してみた方が色んなパターン加味できるので実用的です。

この定義違わない?とかこんなパターンも考慮した方がいいのでは?みたいな話があれば教えて欲しいです。

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