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ロストバレットの確率論

始めに

ちょっと前の話ですが、ロスバレデッキの後攻1ターン目でアクロマを先に打つのが良いか、ネストボールでかがやくゲッコウガ持ってきてかくしふだ打つのが良いか、議論になりましたよね。
(元ツイートが見つからなかったので画像だけ)

これについて、どちらが良いか計算をしてみました。

参考レシピは、いつも参考にさせていただいているこちらの記事の平均的デッキを例にしています。
https://note.com/vio_write/n/nba9530d01cb0

前提条件

こちらの議論について、議論が空中戦気味になってしまっているように見えたのですが、その要因は「ゴールが定まっていないから」だと思います。
この後攻1ターン目の動きとして、

  • ロストを4枚ためるところをゴールとするのか

  • おとぼけスピットを打つところをゴールとするのか

  • トドロクツキを動かすところをゴールとするのか

どこまでを目指すかによって動きが変わってきます。
今回計算においては、おとぼけスピットを打てるところをゴールとしようとしたのですが、考え始めたらあまりに条件分岐が大きすぎるので断念しました。

そこで、もうちょっと計算しやすいゴールとして、

  • キュワワーを2体置くことができる

というところをゴールとして計算しました。
手札に入れ替えあるのでそれができればロスト4枚は貯まります。

計算における条件整理

キュワワーを2体置ける条件として、まずサイドにキュワワーが3体落ちていない、という条件があります。ただ、キュワワーがサイドに3枚以上落ちる確率は0.1%程度の誤差なので無視することにします。
また、サイドに2枚落ちていてはなえらびで2枚同時に引いてきてしまう、などという条件もありますがこれも誤差レベルの確率なので無視します。

キュワワーを持ってくることができるカードは以下のカードがあります

  • キュワワー:4枚

  • なかよしポフィン:3枚

  • ネストボール:4枚(手札に既に1枚あるので実質3枚)

  • ボウルタウン:2枚

計12枚

(ヒスイのヘビーボールというパターンもありますが比較の上では影響がないので今回は省略します)

このうち、ポフィンを引いてくれば2枚持ってくるとことができるのでそれだけでゴールとなります。
それ以外の札の場合は、2枚持ってくることが条件になります。

具体的にな計算方法は今回は省略しますが、過去記事で説明しているのでよろしければご参照ください。
https://note.com/harigane_ippei/n/n6dfdf4172f9e

アクロマを先に使う場合

さて、具体的な計算です。
フローチャートを書いてみましたがこんな感じになりました。


オレンジになっているところがゴールを達成できた場合です。これだけでも頭が狂いえぐられそうになるのに、おとぼけスピットを打てるところをゴールにしようとすると入れ替え札を1枚以上引けるかどうか、さらにはアクロマやはなえらびでどれをロストするか、といった条件分岐が重なるのでとても人間の頭では正確な計算ができるレベルではなくなります。

簡単に条件分岐のパターンを説明すると

まず、アクロマを使った5枚の中にポフィンがあるかどうかで分岐します。
ポフィンがあればそれでゴール達成なのでそこで終了です。

ポフィンがない場合、引いてきた5枚の中に当たり札(キュワワー、ネストボール、ボウルタウン)が何枚あるかで分岐します。
2枚以上あればゴール達成なのでそこで終了です。

(補足:1枚引いてくれば、手元にネストボールがあるのでそれで持ってきて本来は終わりなのですが、今回の命題はアクロマかかくしふだか、というお題なのでネストで持ってくる優先順位としてはゲッコウガ>キュワワーとします)

1枚以下の場合はさらに分岐して、アクロマで引いてきた5枚の中にかがやくゲッコウガがあるかどうかで分岐します。

元々手札にあったネストボールでゲッコウガを引いてくる予定だったので、アクロマでゲッコウガを引いてくることができれば、ネストをキュワワーに使えます。
そのため、アクロマで当たり札を1枚引いて、ゲッコウガも引いてこれればそれでゴール達成です。

アクロマでゲッコウガを引けない場合はネストボールはゲッコウガに使い、次にかくしふだを使います。
アクロマで当たり札を既に1枚引いている場合は

  • かくしふだで当たり札を引いてくる

  • かくしふだで引かなかった場合はキュワワーではなえらびをする

という分岐が発生し、アクロマで当たり札を1枚も引けなかった場合は

  • かくしふだでポフィンを引く

  • かくしふだでポフィン以外の当たり札を2枚引く

  • かくしふだでポフィン以外の当たり札を1枚引き、その後はなえらびで当たり札を引く

というパターンがゴール達成の条件となります。

さらに、ネストでゲッコウガを持ってこようとしたときには、ゲッコウガのサイド落ちの確率も考慮しなければなりません。
ゲッコウガがサイド落ちしていない場合は上記のパターンですが、落ちていた場合はキュワワーを持ってきて、必要ならばはなえらびを行います。

こんな条件分岐を考慮し、それぞれの確率を計算してみたところこんな感じになりました。

オレンジのゴール達成の確率を合計すると77.7%となりました。

これにおとぼけスピット打つにはプライムキャッチャーも含めれば残り7枚ある入れ替え札のどれかを持ってくる必要があるのでそこまで行ける確率は60%~70%ぐらいな感じがします。

かくしふだを先に使う場合

かくしふだを先に使う場合のチャートはこんな感じになります。

こちらの方が若干シンプルですね。
こちらも簡単に条件分岐を解説しますと、まず最初にゲッコウガがサイド落ちしているかどうかで分岐します。
ゲッコウガがある場合は持ってきてかくしふだを使います。
そこでポフィンを引くか、ポフィン以外の当たり札を2枚持ってくればゴール達成です。
引けなかった場合はアクロマを打って当たり札を引く、1枚しか持っていなかった場合ははなえらびを打って引けるかどうか、という分岐になります。

サイド落ちしていた場合はキュワワーを持ってきてアクロマ⇒はなえらびという順番で実施して、ポフィン、もしくはポフィン以外の当たり札を2枚以上引ける確率を計算します。

この条件で計算してみたところこんな感じになりました。

ゴールを達成できた確率を合計すると75.1%となりました。

こちらの方が若干低い確率になりました。

なぜ差が出るのか?

なぜ確率に差が出るのか、その原因は今回の手札の場合「ネストボールをアクロマの結果を見てから打てる」というオプションがあるからだと考えています。

もうちょっとわかりやすくするために条件を次のように簡略化してみます。

  • 50枚の山札の中に当たり札は1枚

  • 山札を上から5枚見ることができる

  • 山札の中に追加で2枚見ることができるカードがあり、これは好きな時に持ってくることができる

  • 5枚見た中に追加で引けるカードがあった場合は、その権利は目的のカードを引くために使える

目的のカードはキュワワー、追加で2枚見ることができるカードはゲッコウガで、それは先でも後でも持ってこられるという感じです。

先に追加カードを持ってきて、2枚見る権利を先に使う場合は、残り49枚のカードから7枚を引いて目的のカード1枚を引ける確率になるので、いつものように余事象を使って次のようになります。

1-(₄₈C₇/₄₉C₇)=14.3%

次に、5枚先に見てから目的のカード、もしくは2枚追加で見られるカードを引けなかった場合、2枚見られるカードを持ってくる権利を行使して追加で2枚見る場合です。

まず、最初の5枚でどちらかのカードが引けない確率は

₄₈C₇/₅₀C₇=80.8%

引けなかった場合に2枚追加で引いて引けない確率は

₄₃C₂/₄₄C₂=95.5%

これを掛け合わせてトータルで引けない確率を100%から引くと引ける確率になるので

100%-(80.8%×95.5%)=22.9%

となりました、14.3%と22.9%、だいぶ差が出ましたね。

今回の場合、
「アクロマを使ってゲッコウガを引いてこられるかもしれない、その結果を見てその後の行動を変えられる」
というオプションが確率に大きな影響を与えており、キュワワーをちゃんと並べる、という目的ではアクロマを先に打つ方が確率が高そうです。
多分ロストをためる、おとぼけスピットを打つ、ということをゴールにしても数%の差だとは思いますがアクロマの方が高く出ると思います。

金融の不確定要素を見た後に、確定要素を行使する方が利得が高いというオプション理論とも同じような考えかと思いました。

最後に

毎回書いていますが、こんな計算するより同じ条件作って1,000回ぐらい回してみた方がずっと早いし精度も高いです。
こういうお題が出たら、ゴールは人それぞれでいいので、1人10回ずつ試して「どちらが理想の動きできたか」というアンケート取った方が手っ取り早いと思います。
いまは便利な一人回しツールもあることですし。

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