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《絵本レビュー》ばぁばは、だいじょうぶ

うちの母は今年63才。

更年期を乗り越えて、私の娘たちに母親の如くキーキーピーピー言っている人だ。どちらかと言えば私の方が覇気がなくおばあちゃんっぽい。

まぁそんな母は、娘たちにとっては、元気なおばあちゃんなんですよね。何より何より。そして、いつも育児のサポートありがとうございます。

今日はですね、そんなおばあちゃんに関係する絵本【ばぁばは、だいじょうぶ】のレビューをしたいと思います。

〔作〕楠 章子
〔絵〕いしい つとむ
〔初版〕2016年12月

2018年に映画化されています。


《ストーリーについて》

ばぁばは、いつもぼくの味方。
部屋に行くと『つばさは、だいじょうぶだよ』って言ってくれる。

ある日ばぁばは、飼い犬のココのおやつを1日に何回もあげていた。
おかしくなっていくばぁばに、僕は部屋をのぞかなくなった。

そして事件が起きた。ばぁばが行方不明になった…

認知症を発症したおばあちゃん。変わっていくことを認められない主人公の苦悩・葛藤・愛をリアルに描いた物語です。

《10コの視点》

【表表紙・裏表紙】
表表紙には主人公つばさがおばあちゃんにおんぶされている様が、裏表紙にはつばさが住んでいる町が描かれている。愛されていることが良くわかる。

【見返し】
ピンク色の用紙

【題字の文字】
おばあちゃんの温かみを感じるような書体。縦書きというところも、この絵本にマッチしている。

【絵】
にじみのあるタッチでコチラも温かみを感じる。特に、おばあちゃんの手と足のゴツゴツしている部分を表現している絵にグッとくるものがある。

【文】
おばあちゃんの好きなものや、認知症が進行していく中での、つばさが感じる心の模様が文体から手に取るようにわかる。あとは、認知症というものを少し垣間見ることができる。

【構成】
いつも味方でいてくれたおばあちゃんが大好きだった主人公つばさ

おばあちゃんが認知症を発症し進行していく

つばさは距離をとっていたが、ある日おばあちゃんが失踪

つばさが自分の気持ちを乗り越えて、おばあちゃんに寄り添う

【キャラクター】
おばあちゃん・つばさ・つばさの両親・警察・おじさん

【舞台設定】
つばさが住んでいる町

【イチオシ】
つばさの心の模様ですかね。作者がご自身の母親と重ねて書かれているということを踏まえて読むとより現実感が湧く。

【ハッピーエンド】
おばあちゃんが失踪から見つかって、つばさの中で何かの感情(愛)が生まれてハッピーエンド。

《読み聞かせをしてみて》

『おばあちゃん わすれていく びょうきなの?(7)』
『もしさ ばぁばが びょうきになったらね めんどうみるけん(9)』
『よるにさ でるのは あぶないよ(7)』
と言ってました。

私の感想は、父方・母方の祖母をそれぞれ想いながら読み聞かせしました。あとは、うちの母にとっても孫がいるわけで、なんだかそう言うことが感慨深かったですね。みんないつかは、おばあちゃん、おじいちゃんなんですよ。

《おしまいの言葉》

結構考えさせられるような絵本でした。

私の母方の祖母は健在で、90才近いのに畑仕事を驚異的にこなしてます。

父方の祖母が、この絵本のおばあちゃんの様に認知症で当時老人ホームに入ってました。
その頃わたしは地元から離れていて仕事が忙しかったというのもあったんですが、会いにいくことをためらってもいたんです。なんだか、その時は恐いという感情があったように思います。

会いに行ったあの日、老人ホームの玄関から祖母の部屋を案内してくれたヘルパーさんの笑顔とは逆に、私はこわばった顔をしてました。

ドアを開けると、目を閉じたまま横たわって話すことができない祖母がいました。近づいて見ると眉毛や鼻毛、爪が伸びてて少しは安心しました。

『おばあちゃん来たよ』

そっと手を握ると、ものすごい力で握り返してきて、その強さのまましばらく帰してくれません。

その後、会うことはないまま亡くなったんですが今でもあの時の手の感触を鮮明に覚えています。

私は、どうしたら良かったのか、後悔とか未練とかそういう言葉が当てはまらない複雑な気持ちのまま、祖母は旅立ちました。

長くなってしまいましたが、この絵本を通して思い出したので、書きました。

〝おばあちゃん、天国は楽しいですか?
わたしは、それなりに頑張ってます。
あの世で会う時には、大好きな相撲と料理の話聞かせてください。
あっ、今年の大相撲春場所は霧馬山が初優勝したよ!




☆彡
この世で生きてるコボシより


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