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《絵本レビュー》ママ ほんとうにあったおはなし

今は亡き、祖母が飼ってた犬のペロと私は仲良しでした。

言葉は通じなくとも、一緒にお散歩したり、ドングリ拾いしたり、探検したり。

共通言語はなくとも、互いの声や表情で何となくコミュニケーションはとれて、子供の頃はそれが当たり前だとして成り立っていましてね。

とても良い思い出として今も心に残っています。ずっと、大好きだよペロや。

本日は、そんなことを思い出させてくれた、仲良しのカバとゾウガメの絵本【ママ ほんとうにあったおはなし】のレビューをしたいと思います。

〔作〕ジャネット・ウィンター
〔訳〕福本 友美子
〔初版〕2017年3月

《ストーリーについて》

『ママ?ママー?』
ママと津波によってはぐれて、一人ぼっちになったカバ(オーウェン)の赤ちゃん。

どんなに呼んでも、ママはみつかりません。一晩中波に流されて海岸にうちあげられたところを、保護されました。

その後、動物保護公園に送られ出逢った1匹のゾウガメ(ムゼー)のことを親と思い込んで….

津波でママをなくしたカバの赤ちゃん(オーウェン)が、新しいママ(ゾウガメのムゼー)をみつけるまでを追った素晴らしい実話の物語です。


《10コの視点》

【表表紙・裏表紙】
表表紙はカバ(オーウェン)が一晩中波に流されている様が、裏表紙も夜の海が描かれている。こんな中で、お母さんや仲間たちとはぐれるなんて恐すぎる。

【見返し】
海を感じさせるような青い用紙。

【題字の文字】
オーウェンが話しているような吹き出し文字になっている。

【絵】
パラパラ漫画のようにオーウェンの動き方がわかる。縁取り線がないので、海もオーウェンの絵も優しい。

【文】
全ページ、吹き出し文字だけで成り立っていて、言葉も『ママ・ぼうや・もぐもぐ』のみ。その一言一言にいろんな意味や感情が詰まってみえる。

【構成】
ママと安心の中で暮らすオーウェン

津波が来て、カバ(オーウェン)だけ他の仲間たちとはぐれる

野生保護動物保護官や地元の漁師によって保護。のちに動物保護公園へ送られる

そこで、1匹のゾウガメを見つけて駆け寄りママと勘違いし、いつも一緒にいる仲になる

【キャラクター】
・カバ(オーウェン)
・ゾウガメ(ムゼー)
・オーウェンのママ
・野生保護動物保護官
・地元の漁師

【舞台設定】
・海
・動物保護公園

【イチオシ】
ゾウガメをママだと勘違いした、オーウェン(カバ)が互いに心を開いて一緒にご飯を食べたり眠りについているところを賞賛したい。
よくぞムゼー(ゾウガメ)もママの代わりを受け入れたなって思う。ちなみにムゼーという名前は、スワヒリ語で『賢い老人』というそうな。(130歳になるオス)

【ハッピーエンド】
つらい目にあったオーウェン(カバ)も今ではすっかり安心してハッピーエンド。

《読み聞かせをしてみて》

『うみこわっ もういかない(7)』
『オーウェンちゃん よかったね(9)』
『このカメ おおきいね(7)』
と言っておりました。

私はですねオーウェン(カバ)になりきって、本文の中の『ママー』をいろんなバージョンで連呼しましたね。本文よりも多めに連呼しました。だって一晩中波に流された赤ちゃんカバなわけですから。

《おしまいの言葉》

いやはや、こんなことってあるんだなぁって思いましてね。

先日亡くなられたムツゴロウさんも生前は動物たちと果敢にコミュニケーションとられてましたもんね。

私とペロもそうですが、動物同士の意思疎通は何だか可能性に満ちてます。もちろん人間同士もそうですが双方の相性あってのことだと思います。

まさに絵本の理想的な世界観をノンフィクションとして描かれた物語でした。

ひとりぼっちと感じることも多いけど、ひとりぼっちじゃないんだなぁ〜


☆彡
with コボシより


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