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地球規模の宝探し ジオキャッシング

この遊びをご存知のかたは、どのくらいいらっしゃるだろうか。
私はパートナーと出会うまで、この遊びについて全く知らなかった。
その名も、ジオキャッシング。

これは、2000年にアメリカで作られたという宝探しゲームだ。
現在の登録者数は、全世界で600万人。
世界中に、約300万個のお宝が隠されていて、この数は年々増え続けているそうだ。

私はポケモンGOで遊んだ事はないのだが、そのゲーム同様に、GPS情報を使い、街の中に隠されたお宝を見つける遊びといえば分かりやすいだろうか。

隠されたお宝というのは、すでにメンバーになっている誰かが隠したもの。
GPS情報と、簡単な説明文を頼りに、お宝を探す。
例えば、ベルリンの地図はこんな感じ。

緑のマークがお宝で、グレーマークはプレミアム会員用なので、私の地図には表示されない。
お宝を見つけると、この緑が黄色のスマイルマークに変わる。

お宝といっても、何か物質的なお宝が隠されているわけではない。
このお宝はキャッシュと呼ばれており、ログブックと呼ばれる小さなノートが、雨水に耐えられるようなタッパーやプラスチック容器に入れられて、どこかに隠されているだけだ。

時々、お菓子のオマケのような小さなフィギュアやキーホルダーが入れられている事もある。これは、もらってももらわなくても良い。
そのお宝をもらう時は、自分も代替品を残すのが約束事。

このキャッシュは大きさも様々で、大きなタッパーだったり、ボールペンを半分にした位の小さな物もある。
また、難易度も設定されており、見つけやすさが分かるようになっている。
木の幹の窪み、看板や標識、ベンチ等に磁石を使って隠されている事が多い。

キャッシュを見つけたら、ログブックに日付とニックネームを記載し、アプリ内で『発見』のログを残す。
大抵は、小さなノート型のログブックが入れられているが、紙の切れ端が入っているだけという事もある。
中には、ジオキャッシング用のスタンプを持っていて、それを押すだけの人もいる。
(この写真には、日付と名前が入っているので、少々加工しました)

こんなマクロサイズのものも!

アプリには、見つけた個数、隠した個数が表示される。
ただそれだけの遊びだ。
しかし、これがなかなか面白い。
初めてその国や州でキャッシュを見つけると、スーベニアと呼ばれるオマケが、アプリ内でプレゼントされる。
期間限定の物もあるようだ。
それを見て、あの年のあの月に、あの街に行ったと思い出したりする。

キャッシュ自体が見つけにくいところにあるので、もちろんそれを見つけ出す楽しみがある。
昔は携帯ではなく、方位磁石のような専用器具を使って探し出していたので、今よりもずっと大変だったとか。
今はアプリで目的地までの距離、方角などを教えてくれる。
キャッシュの詳細や、ヒント、写真などが掲載されているので、見つからない時はそのヒントを頼りに探し続ける。

しかし、やっと目的地に到着しても、キャッシュが見つからずウロウロしてしまう事も多い。
そのため、周りからは不審者のように見えてしまうかもしれない。
ベンチや看板、木の周りを、何度もグルグルと周り、上から下まで食い入るように見つめ、時にはちょっと汚れた場所にも手を入れて探すのだから、充分過ぎるほど怪しい行動だ。
キャッシュは紛失したり、隠した人がメンテナンスをしていたりして、せっかくその場まで行っても見つからない事は多々ある。
それでも観光地でキャッシュを探していると、同じ目的の人々に会い、一緒に探すなんて事も度々起こるから面白い。

ある時、こんな事があった。
私達がキャッシュを見つけた後に、それを元に戻そうとしていた時のこと。
5歳くらいの男の子が携帯電話を片手に、両親と一緒に私達のほうへ歩いて来た。
男の子は、この辺なんだけどなぁ、と言いながら歩いているので、キャッシュを探しているとすぐに分かった。
パートナーは、ほらここにあるよ、とキャッシュを元の場所に戻さず、その男の子に手渡した。

私達は、散歩後にそのキャッシュのログを付けようとしたのだが、パートナーが『あぁ、しまった』と大声を上げた。
ログは時間順に記載されていくのだが、そこには先程キャッシュを手渡した男の子の笑顔の写真と、彼のご両親が書き込んだらしきログが、私達より先に付いていた。
その内容を見て、私達は愕然とした。
それは、その男の子にとって、人生で初めてのキャッシュだったのだ!
パートナーは、男の子がキャッシュを探し当てる楽しみを奪い、なんと迂闊にもそのキャッシュを手渡ししてしまったのだ。
取り返しのつかない事をしてしまったと、パートナーは随分落ち込んだ。

しかし、しばらくすると、男の子が2つ目のキャッシュを見つけたとログが付いた。
小さな男の子が、ようやく初めての宝探しを成功させた事を、私達は拍手をして喜んだのだった。
ちなみに、その男の子の父親は、キャッシュをすでに一万個近く見つけているかただった。
家族揃ってこんな楽しみがあると、週末のお出かけもきっと楽しいだろう。

これは難しかった!

見慣れた街が、一気にゲーム場に変わる。
あちこち歩くので、気晴らしや軽い運動にもなる。
観光地であれば、その地の有名な場所である事が多いが、「知る人ぞ知る」というような眺めの良い場所に誘ってくれる事もある。
隠した人が、何故ここにキャッシュを隠そうと思ったのか、そんな事に思いを馳せるのもまた楽しい。

ジオキャッシングをしていない時でも、例えば幹に大きな穴が開いた木に出会った時、もしやここにも隠されているのでは?という妄想が湧き、毎日が宝探しゲームの延長に思えてくる。

ドイツを含む欧州では、3月29日からイースター休暇が始まり、3月31日には冬時間も終わる。
これから春になり暖かくなるこの時期、外出の際に、この宝探しをしてみるのも面白いのではないだろうか。
2022年時点、日本には27000個のキャッシュが隠されているそうだ。

私の見つけたキャッシュは、もう少しで3桁になる。
スーベニアも、30個を超えた。
大抵の場合はパートナーが、この辺りにキャッシュはあるかな?と言い出し、探し当てたものばかりで、私自身が探し当てたキャッシュは、10個程度かもしれない。
それでも、それを見つけた時の高揚感はたまらない。
携帯電話に表示されたコンパスを片手に、目的地まで近づいていく。
10メートル以内になると、振動で知らせてくれるのだが、その瞬間、私はお宝に近づいているのだ!とワクワクしてしまう。

私の人生の小さな冒険は、こうしていつでも、目の前に広がっている。

鳥の巣に模したこの箱も、隠し場所の一つ

以下、サイトを載せておきます。
ご興味のある方は是非!

イースターについて、以前こんな記事を書いていました。
みなさま、パッピーイースター🐣🐰

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